Interview

SEIKO TAKI


080 Barcelona 09 A/Wで賞を受賞したSeiko Taki。そのデザイナーである瀧せい子氏に今回のコレクションのコンセプト、海外をベースにしている理由など様々なことについてショー後にインタビューを行った。

—ショーを終えて率直な感想をお聞かせください

今回アウェイ(地元ではないところ)でのDefile(ショー)ということで(メイク、ヘアー、音楽、映像など)スタッフ全ての方々本当に良いグループだったので完成度が低い中ここまで来れたのは本当にみなさんのおかげだと思います。

完成度が低いとはどういうことですか

もう全然駄目ですね。スタイリングの最後の段階でも時間が無くてうまく着せてあげられなかったので完璧なスタイリングとかそういうことは出来なかったです。あの時間の中ではやれることはやったのですが。アウェイでのはじめてでのショーでそこまで出来たのは周りのみんなのおかげだと思います。まわりのスタッフの方が本当に良い方なのでそれが凄く良かったです。

—今回は他の方々のショーも見ていられますがそういったものを見てどう思いますか

今回はショーといっても映像がメインだったり他のところに力を入れたりそれぞれ特徴があって面白いなと。それはそれで非常に良いし(参加者自体の)レベルも悪くは無いと思います。ただもう少し観客の動員の面(朝の早い段階では空席の目立つショーも多かった)とか考えれば地元の方のモードに対する意識とかも 高まって良いのではないかと思います

—今回のコンセプトについてお聞かせください

今回のコンセプトはchic, dry womenということで写真家のPatrick Demarchelierの写真の乾いた感じ、そしてその中にあるシックなエレガント、そこから非常にインスピレーションを受けました。それに加え私の既存のSeiko Takiというものをプラスして根底にあるものとドライなNYとかマンハッタンのタイムズスクエアだとか人のことを感知もしないような人とのコミュニケーションを絶っているようなそういうところと優しさとかをぶつけてみる。映像も柔らかいものではなく壊していくようなその中で何かを生み出していく、強さとか裂かれるようなものの中に生まれてくるものとのミックスしたものを出したかったんですね。だからそれがヘアーとかそういった全てのところに現れています。

—ではあの特徴的なヘアーやメイクも瀧さん自身がイメージしたものということですか

そうですね。ウエットな感じにしていただきたかったんです。髪の毛はコンパクトにして広がらないように。服に集中して見ていただきたかったので。

—モデルの顔を覆ったネットも印象的でしたね

時間のないコミュニケーションのなかでさすがにプロの方々が自分のイメージしたものを作り上げてくれたと思っています。

—今回全て自分一人でやられたんですよね。バックステージ見ていて大変そうだなと感じたのですが

大変でしたね(笑)特にアウェイということで言葉の問題、アウェイって慣れていない、何も知らない状態で始まるので大変でした。ただ周りの人がとても協力的だったので結果的に良いものになったのではないかと思います。

—スタイリングとかも自分でやられてるんですよね。そのイメージとかってどういったものなんですか

スタイリングは自分の得意とするところなんです。それが自分のなかの根底にある強さとデリケートというものをスタイリングの中で微妙なところで表現していく、なのでラックにかかっている服と着せたときの服って全然違うように見えると思うんです。

—全然違いましたね。微妙なレイヤードでこうも違うんだってくらい

レイヤーの微妙なところが自分の持ち味なので。人に着せて動いて見せるというところが私の持ち味です。動いたところで服がどういう風に生きていくかっていうのが。

—洋服を見た感じでは女性らしいデザインをする人だなと思ったのですがそういったところ意識とかありますか

自分の中では非常に男っぽいと思っているのですが多分根底では女性らしいのかもしれないです。自分の中の中身をさらけ出しているってだけなんですね。

—自分が着たい服をデザインしているってことですか

そうですね。着たい服とあと私の描く女性・・・

—理想の女性像とはどういった人なのでしょうか

しっかり自分の足でたって歩いていくそういう方です

—デザイナーさん自身のことみたいですね

そんなことはないですけど・・・なので年というのは関係ないんです。私の服はしっかりした意志を持って前に進んでいく人は本当に似合うんです。年をとられていても若くても、それは不思議なんですが。なのでやっぱり自分の意思をもっている人が私の服が似合う人だと思います。自分の意思とか生き方とかをもっていれば本当にナチュラルで素敵に着こなしていただけるんです。

—今回のイベントに参加されることになった経緯についてお聞かせください

こちらのほうからこういうものがあるんだけども出てみないかと。興味があればデッサンだとか書類だとかそういうものを出して欲しいと。それでみんなと一緒に審査されてという感じですね

—このイベント自体も審査されてるんですよね。賞のこととかも考えたりしますか(受賞前)

考えないとは言えません。スポーツでもそうですが参加することに意義があるっていうんではなくて勝ったら疲れがとれます的なことはありますのでやっぱり勝負には勝ちにいきつつ自分の持ち味を忘れないでいくことが勝ちに繋がっていくんではないかと、独りよがりでは勝てないので。特にアウェイなのでみなさんを巻き込んでみんなを自分の味方にするような。大変なんですがやればどんどん道が見えていくのかなーって。

—今パリをベースにやられてるわけなんですが、海外でやる理由って言うのはなんですか

私は以前教員をやっていました。凄く幸せで自分の天職と思えるくらいでなにが辞める必要があるんだってくらい幸せで本当に自分のやりたい職業についていました。でもそれを辞めてまでやるってこと、それだけやりたいんだったらやっぱり世界でやるしかない、中途半端な考えでなく本当に世界の中でやっていく、それだけやりたいんだったらやってやろうってところで無茶だったんですが飛び出してきました。やはり私の中でファッションならパリだろうと思って来ました。

—パリに住んでその思いは変わりましたか

変わらないです。やはりファッションはパリだなって思います。それは歴史もそうですし。私はデザイナーではないです。クリエーターなんです。ほんとうに新しいものをつくっていくだとかそういうパーセンテージが高いのが特徴なのでそういうクリエーターが何をしていかなければならないのかという役割をきちんと受け止めてクリエイトしていけたらと思っています。自分の持ち味のクリエイトするところをどれだけ消化して自分にしかないものを求めていくか、自分のなかにある既存のものをまた壊してそして更にまた新しい自分を発見したいです。今ショーが終わってそれはそれでいいんです。もう次は始まっているというか。

—次のイメージはもう既に頭の中にあるんですか

イメージはどんどんぶち壊していきたいなーと。ただ仕事は丁寧に、丁寧な中にどんどん恐れないで壊していく、壊していくエナジーをもっていくというのがいいのかなと思います。やっぱり自分の中で慣れたものをどんどん壊して次にいくっていうのが(ブランドをはじめて)2年経ってやっとわかってきた感じがします。

—今後の展望について教えてください

まず続けていくこと、ブランドを続けていくということが非常に大切だと思います。

—それはショーをやるとかということではなくですか

そういうことではないです、私の中ではショーをやるっていうことがメインだと思ってないんです。アートではないので人が着てかっこいいな、あいいなとおもえる服を作り続けることが大切だと思っているのでショーはお祭りみたいなものでしっかり地味な毎日を送っていければと思います。自分がそうさせていただいている環境、全ての方々に感謝を忘れないでいることが大事だと思います。私は100パーセント日本人だといつもいろんな場所で言うのですがフランスにいても、それは世界に来てやっていても自分のDNAは日本人だと常に感じています。

—それはデザインしていて感じるのですか

そういうわけではないんです。それは心のなかのことで、日本人の良さだとかそういうものを忘れちゃいけないと。それはバルセロナにいてもどこにいても、フランスでブランドはやっていますが心やDNAは日本人で。日本人て素晴らしいんだなって気持ちでやっていけたらと思います。

最後にショーの挨拶のとき涙を浮かべられていましたがあのとき思ったことってどんなことですか

私自身元々涙もろいのですがバックステージでみんなに盛り上げていただいてそういったことやこのショーを支えていただいたみんなに対する感謝の気持ちで涙が溢れてしまいました。

—(賞を受賞後)感想を求めると

やっぱりこれが進まなければいけない道なのかなそしてまた始まるのかなという気持ちです。嬉しかったのはやっぱりこのメンバーとショーを出来たことです。賞にはじないように自分の脚でいっぽずつゆっくりと進めていけたらなと思います。

Seiko Taki
高校の保健室の先生を辞め東京の専門学校でファッションを勉強。渡仏後パリコレデザイナーANNE-VALERIE HASHでの経験を経てブランドを設立。フランスを始め世界各国のバイヤー、ジャーナリストに評価される日本人デザイナー。
HP – http://seiko-taki-paris.com/

Interview,Text/Masaki Takida, Photography/Takahito Sasaki

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