Interview

idea by SOSU 後篇

日本は海外に比べて若い人がブランド物を買う文化があるからそこをターゲットにしたデザインをしなければいけない

—バイイングをする上で最も重要なこととはなんですか

お客さんとの温度差が出過ぎないようにというのとデザイナーさんの世界観を大切にということですね。

—バイヤー兼マネージャーとしてお店にも立たれているわけですがそういった面で大変なことってありますか

最初は全て一人でやっていたので展示会に行けない、ショーを見に行けないというのが特に大変でしたね。でも最近はスタッフも3人になったので2人ずつお店 に立てるから1人を残して外に出れるようになったというのは大きいですね。ただお店にも立っているという点では逆に良い事の方が多いと思いますね。

—それはお客さんと直に接してるからということですか

そうですね。前に大きいところにいたときはバイヤーさんはバイヤーさんで別にいて、売る人は売る人で別にいて(バイヤーが)なんでこんなの入れたんだろうとか思う時があったんですね。そんなんじゃ売れないだろうと思うしもしそうだとしたらバイヤーさんがこういう理由で(商品を)入れたんだよとか説明をすべきだと思うしそういう温度差をなくすために他のお店もスタッフの子をたまに連れて行ったりだとかしてるんだと思うんだけど(バイヤー兼スタッフだ と)そういうめんどくさいところが全て省かれるから便利というのはありますね。販売もやってお客さんに接することが出来るというのは一番良いのではないかと。お客さんとデザイナーの間に自分しかいないほうが(伝える情報としては)凄い早いけどたとえばデザイナーさんがいてバイヤーさんがいてお店の人がいて お客さんがいてとなると伝言ゲームじゃないけど少しずつ情報が変わってお客さんに伝わってしまうこともあり得るわけでそういうのがない分良いと思います ね。

—ただ責任も全部自分が覆うことになりますよね

そうですね。大失敗もたまに感じるしサイズ間違いなどもあるし責任逃れは出来ないですが意外と楽しいですよ。

—世界恐慌とも言われる時代でファッション界も大打撃(淘汰されてきてる)を受けてるわけですがなにかそういったことに対策とかは講じられているのでしょうか。また今後生き残っていく上で何が重要となってくると思いますか

対策は特にとってないですね。逆にこういう時代だからこそこういうやり方がよいと言うのもあると思います。自分も一お客さんとして買ったりするけど不景気 になって買い控えするようになってもいつも行ってるお店や仲の良いお店だったりとかは別にいつも通りだと思うしふらっと入って衝動的な無駄遣いだったりは控えたりはするかもしれないけどこの店は顧客商売なんで今の所(世間で言われてるほど)不景気というのは正直感じてないですね。

—ただ逆も考えられますよね。世間が好景気になろうと特需を受けるわけではないと

そうなんですよ。そこは凄く残念だけど。でもこんなにお店があってあえてここでお客さんが買い物をしてくれるというのはなにかしらそのお店で買おうとか、この店だから安心できるとかその店で買う理由ってあると思うからその理由をスタッフが作ってあげないといけないよねってスタッフ同士でよく話をしています ね。何の気なしにお客さんが来て普通にそつない接客をして終わっていったらそのお客さんの頭にはこのお店のことはきっと残らないだろうし、このお店に行けば例えば自分の知らないことを何か一つ教えてもらえるだとかあそこに行けば自分の欲しいものがあるとか何か理由があるだろうからそういう理由を(お客さんに)作ってあげられれば良いですね。

—お店には口コミで来るお客さんが多いんですか

そうですね。口コミで来られるお客様が多いですね

—正直あまりメディアとかに露出は少ないじゃないですか。ネットにも情報少ないしここに来る人達ってどうやってきてるんだろうと思うんですが

そうですね。ネットにはむしろ敷居が高いと書かれていたりもするし・・・。でもどうしても洋服が好きで探してるものがあってあそこだったらあるかも見たいな人は多いかもしれないですね。もしくは人の紹介だとか。ただ人に紹介されても一人で来る人はあまりいなくて誰かが誰かを連れてくるというパターンの方が多いですね。1回来てくれれば「こういう感じなんだなー」とか「こんなフランクな店なんだー」って感じてくれて次から一人で来てくれるっていうパターンは多いんだけど最初の1回目が相当怖いみたいで・・

—電話して予約が嫌ですよね

そうですね。まず電話の段階で相当振るいにかけられているよね。でもそこまでしてきてくれる人達だから服が好きなお客さんが多いって言うのはありますよね。 1回来てくれれば距離は縮まるから2回目、3回目は普通の店より全然楽って言うのはありますよね。普通の店だと次来ても「前に来たことありましたっけ」っ ていう探りが始まったり、何回か来てるけど毎回店員さんが違うっていうこともあるけどそういう問題はここにはあまり関係なくていつ行っても同じ店員さんがいるって言うのはお客さんからしてみれば意外と安心感があると思うし。ここに来るからには(最初の人は別として)喋らなきゃいけないなっていう覚悟もお客さんにはあるだろうし、喋りかけてくるんだろうなとかは2回目以降の人は絶対にあるだろうし。こういう形態をとってるとお店で話すのは電話の後だから2 回目になるわけだし「先ほどお電話いただいた方ですよね」とも話せるし楽ですよね。

—逆にあまり接客しないでくださいって言う人はいないんですか

依然働いていたお店では「大丈夫です」とかいわれたりしたことはあるけどここではいないですね。

—でも予約したからには買わなきゃいけないって最初の人は思うかもしれないじゃないじゃないですか

そう思われるのは申し訳ないですね。だから一番最初に来たお客さんには次も来てもらいたいから必死で「そういうお店じゃないんで」っていうところをアピー ルしますね。だからさっき言ったようにこういう理由でアポイント制にしただけで特に買わなければいけないって言うのもないしそういうのじゃなくてただゆっくり見てもらいたいからこういう形態にしたんだってことを伝えますね。そこで頑張って接客して買ってもらったりして緊張されるよりもこの店のことをまず理解してもらって次から来やすくなったと思って帰ってもらったほうがいいですよね。お店に来るお客さんは店につくのではなく人につくと思うんだけどでもここは店につかせたくて。だってこの店についたらそこのスタッフは3人しかいないわけだから店についた=人についたってことだと思うし。

—個人的に今気になっているブランド等ありますか

Rick Owensは文句無く格好いいというものを作るうえでは天才だと思うけどデザイナーとは違う気がしますね。RickはRickというか。

お店で扱ってないブランドでいうとどなたかいますか

今メジャーになってしまって少し言うのは恥ずかしいですが僕はGareth Pughが好きなんです。昔のものが凄く好きで期待していた部分はありますね。

—では日本人で言えば誰でしょう

日本・・・・Aguri Sagimoriさんのデザインは凄く好きですね。前々回のシーズンに一度ショーを見させていただいて凄いなーと。ただこのお店に会うかどうかというのはまだ全然考えてもいなくて・・・

あとはお客さんとの温度差がでないようにと思ってるから気にしないようにはしているけどやっぱりロンドンのブランドは気になりますね。一度ちゃんと見に行きたいって思っています。メンズ版Marios Schwab的なブランドとかあればいいですけどね。Nokiとかは未だにちょっと気になっていますけど・・・Gilesはやっぱり良いと思うし。でもそういうのを買ってしまうとお客さんとの温度差がでてきてバイヤーのエゴになってしまうわけで・・・

—では最後にパリやミラノに行っているバイヤーとして東京ブランドはどう映るのでしょうか

言葉にするのは難しいですがターゲットにしてる層が違うのかなって。日本は海外に比べて若い人がブランド物を買う文化があるからそこをターゲットにしたデザインをしなければいけないし海外は日本に比べて経済的に自立した人がブランド物を買うっていうのがあるので必然的にそこをターゲットにしたもの作りをしなきゃいけないというのはあると思います。全体的なレベルは高いと思うし日本は日本にしかないものがあるし海外には海外でしかないものがあるし。ただ逆にパリやミラノなど海外を意識しすぎたブランドがあるのであればそれは東京っぽくないのかなと思います。

dea by SOSU(アポイント制)
東京都渋谷区神宮前1-22-1 オークラビル4F
Tel03-57757941
取り扱いブランド
2009 S/S
Rick Owens, Kris Van Assche, Damir Doma, Nicolas Andreas Taralis, Ute Ploier, Giorgio Brato, Superfine, Hvana, Anrealage, AM Eyewear, Von Sono, AG, Siva, Adam Jones, JeanPaul Gaultier, Ann Demeulemeester, Ann-Valerie Hash, Veronique Branquinho, M Missoni, marieseguy, Ligia Dias, Balenciaga (Shoes, Bag), Alexander McQueen (Shoes, Bag), Siwy, Christopher Cane, Passarella Death Squad

(Interview,Text,Photography/Masaki Takida)

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