Interview

Steve Doyle

2008年イギリスの若いクリエイティブな男性の為のライフスタイル雑誌として創刊されたBuck。現在は紙媒体からウェブ上にコンテンツを移し Buckstyle.comとしてファッションを中心とした幅広いコンテンツで支持を集めるBuck/Buckstyle。その編集長を務めるSteve Doyle氏に話を聞いた。

-あなた自身について教えてください

Steve Doyleです。26歳で、イギリスのバーミンガム出身です。今はロンドンに住んでいてBuckstyle.com.というwebsiteを編集しています。

-あなたの雑誌について教えてください

BUCKという雑誌を2008年の10月に創刊しました。3号が発行されましたが、残念なことに現在のこの経済状況のため、今年の2月に終了しなければなりませんでした。5月に改めてBuckstyle.com.というwebsiteを立ち上げ、今のところ順調にいっています。

BUCKとBuckstyle.com.の創案は、独創的なことをしていて、ファッションやデザイン、スタイルの最先端を見出すことに関心があるような、若くてクリエイティブな男性のための雑誌を創ることでした。それ以外にも食についての記事もあり(私自身、料理も食べることも好きなので)、ライフスタイル雑誌といった感じでした。
私たちは、ストリートスタイルの記事のように、多くの’リアルな人達’について取り上げました。指導っぽくなりすぎないよう心がけ、最新のニュースを紹介し、提案をするようにしました。

-どのようにして雑誌を創刊することになったのですか

数年前に両親が亡くなった際、私は遺産を受け継ぎました。私はそのお金を自分の夢の実現のために使い、メンズファッションの雑誌を立ち上げようと決めまし た。私のインスピレーションは、2001年に東京に住んでいたときにファンになった‘メンズ・ノンノ’でした。ロンドン大学のSOASで日本について学び、専攻の一環として一年間東京で暮らしました。その間に、東京のファッションシーンについても詳しくなりました。

雑誌を創刊するのはもちろん大変なことでしたし、多くの時間がかかりました。というのも9ヶ月間、一日の休みもない状況でした。
雑誌を始めようと考える前、経験を積むためいくつかの雑誌社で働きました。GT, Wonderland, Dazed & Confusedそして最後にイギリス版Vogueです。
この後私は、たくさんのことを盛り込んだ長いto-doリストを作ることに取り掛かりました。そしてついにそれらをやり遂げることができたのです。

私が雑誌で一緒に働いた人の多くは、公開インタビューで採用された人達でした。私が求人の公募をしたのです。数人は以前一緒に働いたことのある人達でした が、中心となっていたスタッフの多くは全く面識のなかった人達でした。そして記事を書くときには、お互いのつてを最大限に利用しました。

-あなたの雑誌と他のものとの違いは何ですか

イギリスでは他に若い男性向けのファッション雑誌というものがなかったので、そういう意味でBUCKは他と違っていました。
それに、食についての比率の高い男性向け雑誌というものも他にはありませんでした。Buckstyle.com.は、‘ファッションビデオ論説’をweb の中でやっているのが変わっています。これはMTVで見るような3分間の音楽ビデオなのですが、歌を宣伝する代わりに、私たちが今一番面白いと思う服のア イテムをいくつか紹介しています。これには、これまでに大きな反響をもらっています。

-記事のアイデアはどこで得ていますか

私の雑誌では決まった特集記事があります。ショッピングガイドとファッションショーのレポート、そしてインタビュー記事です。これらは大抵、私自身が読みたいと思うことから来ています。

-最近一番気に入っているデザイナーは誰ですか。注目している新人はいますか

SS2010 コレクションで私が好きなインターナショナルレーベルはLanvin, YSL, Givenchy, Les Hommes and Louis Vuittonでした。(春のLVの靴は最高でした!)

新人では、Omar Kashoura, Carolyn Massey, Lou Daltonが本当に好きです。彼ら3人はイギリス人で、見る価値があります。

-ロンドンのファッションシーンはどうですか

面白いです。エネルギッシュで非常にクリエイティブです。

LCFやCentral St Martinsといったロンドンのファッション専門校は世界でもトップのデザイナー達を輩出しているので、競合する空気があります。また、ここではユニー クで参加すると楽しい根強いクラブ文化があります。ロンドンは若者が新しいものや経験に挑戦できる場所です。とても自由で、‘次に起こる大きな事’をいつ でも受け入れる準備ができているので、学ぶには最高の場所です。ですが本当に成功したいと思うのであれば、多くのデザイナーはパリやミランへ出て行き、そ こで商業的概念を身に着けます。John GallianoやAlexander McQueenらがそうです。

-ロンドンで、最もおしゃれな場所やエリアはどこだと思いますか

最近は、Broadway Market やHackneyのLondon Fieldsが大好きです。
一般によく知られていることですが東ロンドンはクリエイティブな人たちが多く住む場所です。

-この経済不況の中で求められるデザイナーとはどういった人達でしょうか

ハイブランドの高級志向のデザイナー達は、その場所にい続け、その境界線を押し広げていくべきだと思います。不景気の中、すべての人が価格に敏感になって いますが、デザイナーの創るものの価値はその独自性にあるのです。平均的な人がより保守的になり、黒や紺のものを買い始める一方で、デザイナークローズを 買い求める人が必ずしも正しいわけではありません。同じものをもっと安くユニクロで買うことができるのであれば、誰がデザイナーものの黒いセーターを買う でしょう?

もちろん、私が前述したYSL, Givenchyなどといったレーベルは他のどこでも買えない商品を作り続けています、、今のところ。

-SS09で見られた流行の中で、静かに消えていってほしいと思うもの、しばらくは見続けたいと思うものは何ですか

レディースについては答えられませんが、メンズだったら、嫌いなものは今のところそんなにありません。スタッズが大好きなので、まだしばらくは押していきたいですね。

-次に取り組むことは何ですか。将来についてはどのような計画がありますか

実は次に考えている計画がたくさんあります。まだすべては明かしませんが、今はとても楽しみです。どうしても、Buckstyle.com.での実際的な 役割は減っていってしまうので、Webの仕事は他の人に引き継いでいくつもりです。その代わり、引き続きファッションに関連した、新しいプロジェクトをいくつか始めるつもりです。もちろん随時お知らせします!

HP – http://buckstyle.com/

Interview/Masumi Saito, Masaki Takida, Text/Masaki Takida, Translation/Yuko

Comments are closed.