Interview

POTTO 後篇

言葉に出来ない気持ちを作品を見て何かしら感じて欲しい

-最初の頃と比べると洋服のスタイルは変わりましたか

作る物は全然変わりましたね。ベースは同じかもしれないですけど表現の仕方は変わって来ていると思います。最初の頃はぬいぐるみでファーのコートを作ったりというのをやっていたりスニーカーのコルセット作ったり、ぬいぐるみのテディーベアの型紙だけで洋服を作ったりをやっていました。

-ぬいぐるみの型紙で洋服を作られるんですか

ぬいぐるみのパターンてありますよね。それを洋服のパターンを使わずに組み合わせて繋いで形にして洋服にしたんです。

-お店を始められた理由ってなんだったんですか

一番は直接お客さんに触れてもらうってことですね。

枝光-ショーをやってバイヤーさんやジャーナリストさん、お客さんもたくさん来てくれるようにはなったんですけどそれで終わりなんですよ。POTTOはショーをやっていたんですけど売れないから私がスタイリングで使ったり、私が着てたりしたんです。そうしたら周りから凄い欲しいとか、作って欲しいとか言われてそれがジレンマみたいなとこがあって。だったら小さくてでもいい、家の一室でいいから直接売れるところがあったらって。ショーがやりたいとは言ってるんですけど実際着てもらいたいのもあって「やりたい」と言いだして。私自身スタイリストも嫌になってきた時期でもあったのでこういうのをやろうかって。誰かに着てもらって嬉しいというのはやっぱりあると思うので。お店にはPOTTOとREREがあってお店はメインでREREをやっています。

-お店のコンセプトについて教えてください

生活することと作ることというのを一緒にしたかったということですね。服作ることにしても、絵描くことにしても、物作るのも同じことで。

-お店をやることによって価値観は変わりましたか

実際に着てくれたり、買ってくれたりお客さんに直接接するようになって細かい部分まで気にするようになりました。

-REREを始めたのはいつですか

枝光-それはここを始めたときと同じです。自分がスタイリストだったんですけど自分の考えてることと生活していること、スタイリストという商業ビジネスとのギャップが凄くて病気になりそうだったので自分で地道に出来ることをやりたいなって思ったのがきっかけです。エコだからというのではなくて可愛いのが結果的にエコだったみたいな物を作りたかったんです。

-REREのコンセプトについて教えてください

枝光-大きくしようと思うからひずみが出来るんじゃないかと思うんです。だから小さく自分達の出来る範囲でひずみの出ない自産自消みたいな感じで。コンセプトは「出来ることをやる」みたいな感覚です。自分がフェアートレードに興味を持った時ってエコショップに行ってたんですけど興味ない人は本当に行かなく て、可愛いとかファッションとかみたいな感覚で着て、偶然布ナプとかオーガニックコットンの物などを知らずに買って興味出ることって些細なきっかけだったりするので、それは自分もそうだったので。人形が何で可愛いんだろうって思ったらフェアートレードでそこから好きになったりとか。ここがきっかけで色んなことを意識するようになってくれた人もいますし、私自身もそういう方と情報交換することによって色んなことを学んでいます。

-REREは枝光さんが作られているんですか

私が絵を描いて山本がパターンを起こして作るという感じですね。私はあまりデザインにこだわりをもっていなくて逆に可愛いだったり、もてたいだったり、着たいだったり。スタイリストをしていたのもあるので女の子の気持ちがわかるので抽象的に軽く絵を描いて伝えるだけなんです。シーズンとか展示会とかもしないで出来ることをしてる感じです。

-REREもPOTTO同様一点物という感覚が強いのですか

枝光―REREは生地次第という感覚ですね。全てハンドメイドだから一点物を打ち出しているわけではなくてパターンがあるのでまたいい生地があったら作ってという感じです。REREはシーズンが違うから作らないとかじゃなくて良いと思う物はシーズンを超えて昔の物でも作ったりしますね。

-山本さんがインスピレーションを受けるのはどういうところなんですか

普通に生活している中でですね。本読んだりとか。普通にずっと考えていて面白そうだなとか。

-人が見て面白いとか楽しいって思えるような物を作りたいっていう感覚はあるんですか

面白いなって思ってもらえる物を作りたいなっていうのはありますね。自分もそういう物が好きなので。

-自分で着る服を作ったりはしないのですか

自分が着る為に作ったりとかはないですね。メンズは作っているんですけど。着たいものの範囲でいいなって思う物を作ってはいるんですけど。



-女性の洋服については女性像を意識されていますか

枝光-POTTOの洋服には女性像とかは特にないんです。誰が似合う服とかそういうのもまるっきりなくて、女性がきれいに見える服とかは意識してないですね(笑)。

-女性の見え方を意識された洋服作りはあまりされてこなかったのですか

最近はその部分も意識していて次は女性が綺麗に見える洋服を作ろうと思っています。女性像というのがテーマなので。言葉で表現するのは難しいんですけど。その中にもPOTTOなりの遊びはあると思います。

枝光-でもそれは山本流の判断なのでもしかしたら女性が綺麗に見えるというのは外している可能性もあると思います(笑)。

今までは服によっていて服が面白ければという感覚なところはあったんですけど、今回は人によった服作りをしています。

-テーマ性って重要なんですか

今はあまり重要じゃないんですけどブランドを始めてからショーをやってた頃は重要でしたね。最初にテーマを決めるわけじゃないんですけどこういうのが作りたいなっていうのがあってそこから何をやりたいのかを探っていくという感じなんです。絵はほとんど描かないんですが最後のまとめ的な感じで自分の為だけに絵を描いているんです。普通は逆だと思うんですけどそれは自分で全てやってるから必要なくて。忘れないように描いたりはするんですけど。言葉では最後まで出てこなくて最後に言葉でまとめるという感じですね。テーマが決まるのは最後です。

-レザーやファーなどの素材を使わない理由はなんですか

最初は何も考えずにやっていたんですけど自分にとって必要の無い物はだんだん整理が出来てきた感じです。自分でも着ないですし。でもそれ自身(レザーや ファーを使わないこと)がテーマになったりとかはなくて、それは自分の問題なので打ち出したりもしたくないです。普通のこととしてやっていきたいなって思っています。

-POTTOの作品は自分自身を表現する物という感覚ですか

その時の自分が思っていることですね。

-それによって自分が何か訴えたいという気持ちもあるのですか

基本的にはそういう気持ちがどこかにあります。言葉に出来ない気持ちを作品を見て何かしら感じて欲しい。作品をコミュニケーションだとして、それを積極的にやりたい時もありますし逆にそういうことをしたくない時もありますね。コミュニケーションしたくないから何かを作るときもありますし、目的があって作りたくないときもあります。

-ぬいぐるみやスピーカーなど洋服以外のものを作ろうと思うのはなぜですか

自分の中であまりそれを分けて考えていなくて、理想的なのは洋服も作るし他の物も作る。それが全部同じ物として見られるのが一番嬉しいですね。

-山本さんはデザイナーですか

デザイナーということになっているんですけどその言葉自体に凄く違和感はあります。デザイナーというのが良くわからないところがあって、服を作るのがデザイナーであるのであればデザイナーですし、デザイナーというのは何かを作って売れないといけないというのであればデザイナーじゃないのかもしれないです し。人に手渡すことを前提にみんなが欲しがる物を作るのがデザイナーだったら僕はデザイナーじゃないと思います。

HP – http://www.potto-web.com/

Interview, Text/Masaki Takida

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