Interview

さとうかよ 6

アーティストになりたいと思ったこともないし結果なんですよ今は。ただやりたいことをやりたいようにやりたいだけやってたら今の状態になってただけで・・・

-製作過程においていつが一番充実していますか

ひらめいた時ですね。後は奴隷です。ひらめきの奴隷。

-生みの苦しみはありますか

ないです。常に形にしたいものがあります。どのストックを使うのかみたいな。(アイデアは)ずっと思ってたり、書き留めたり、シンプルテキストに箇条書きになってたりとか自分の携帯に入ってたりとか、無限ですね。でも凄い頻繁に死にたいと思います。多分年齢のせいだと思うんですけど友達も言ってましたし。「なんか生きてる意味とかわからなくない?」みたいな話をしていて「あーわかる」みたいな。なんか「宇宙のこと全部わかったよねー」って。松本力さんて人がいるんですけどその人も「この前宇宙のことが全部わかった」っていってて。「わかるー」みたいに思って。「でもわかった感じに思っていただけだ」みたいことも言っててそれもわかるみたいな。なんか凄い意味のない長いメールのやり取りをするんですよ。全然意味のない。で途中で終わってるんですよ文章が。全部言いっぱなし。だから私も全部言いっぱなしのメールを送って。

-夢を見なくなったらクリエイションのアイデアは生まれなくなるんですか

どうですかね。楽しみは減ると思いますけど作らなくならないと思います。ストックがあるから。なんか学生の時は本当に怖くて、夢を見なくなったら作れなくなるんじゃないかと思っていて。でも割とそうでもなくて幼少期のことを思ってよく作品を作っていたんですけど、ありがちな記憶的な作品をよく作っていたんですけど。そんなこと言ってたらもう記憶なんてなくなっちゃうじゃないですか。自分が生きてるまでの記憶。でも一分前も記憶だとしても、新しい記憶ってなんか梅酒が熟してないみたいな人間になることが凄い怖くて怯えていたんですよね。ストックがない状態に。多分ずっと作ることとか妄想してトレーニングしてたからもういっぱい出すぎちゃって。でも多分捨てネタとかはいっぱいありますよ。これは作れないだろうみたいな。いいこと思いついた、そうでもないだろうみたいな。そういうのあるんですけどそういうの思いつきます。

-インスピレーションはどこから得るものですか

なんなんでしょうね。急になんですよね。昨日見たテレビの瞬間とかそういう感じです。なんかこれがこうなってる状態を見てたら「はーーー!」みたいな。(生もうと思って生むという感覚は)ないです。なにか見ちゃうと影響になっちゃうじゃないですか。私着地点がしっかりしてるのって嫌いなんですよ。ああいうの作ろうと思ってたらそれそっくりになるじゃないですか。でも着地点がないと知らないものが出来るんですよ。見たこと無い物だとか。でも大抵の物って着地点が見えてるんですよ。だからみんな似てるものが出来るんですよ。ほんと絵も洋服も歌も着地点が決まってるからみんなが安心する着地点に到着するんですよ。それって到着するまでにぶれがおきてると思うんですよ。ほんとはこれはここにいくかもしれないのに無理やり「ぐいん」っとここにきてるんですよ。凄いへんと思って。私はそこに従いたくないと思って。

-東京生まれの東京育ちがクリエイションの根底にあると思いますか

あるかもしれないですね。

-悪そうなやつは大体友達なんですよね

(ブログより)このまえ車の中のラジオで聞こえてきて知ったミラクルフレーズドラゴンアッシュのことはよく知らなかったけど、なんか俄然興味でてきたです ぜ~アタシ、東京生まれの東京育ちだから東京生まれ=HIP HOP育ち東京生まれHIP HOP育ち 悪そうな奴は大体友達べつにそんなことないけど、かっこいいからそれ使おうかとおもう

あの歌(Grateful Days)聞いた時感動しましたね。ラジオで流れてきてなんだこれと思って。最近聴いたんですよね。シマチュウの帰りに車の中から聞こえてきて。不良が友達じゃなくて友達が不良になっちゃったんですよ。私はずっと韻踏んで喋ってたからヒップホップ育ちかな。すぐ韻踏んじゃうんですよね。

-アートは自分自身を表現する物ですか

それって格好悪いですね。恥ずかしい。そういう風に言いたくない感じはありますね。なんか嫌だ。違うか違わないかといったらそうかもしれないけどなんかアーティストになりたいと思ったこともないし結果なんですよ今は。ただやりたいことをやりたいようにやりたいだけやってたら今の状態になってただけで、今もアーティストかどうかわからないんですよほんとに。だってアート界からもちょっと何だろうみたいになってるんですよ。あいつ何だろうみたいな。なんかそれが寂しいですよね。

-テーマ性、コンセプトは重要ですか

タイトルは重要かもしれないですね。よくわからないけど作って最後に名前がつくみたいな。これは何を思って作ったんだろうって考えるとぴったりな言葉が出てくるんですよ。ただ作るまでは名前が付けれないんですよ、知らないから。だから作品の作る前にタイトル決めろって言われたら凄い困って何にでもあてはまる白い言葉をつけるんですけどでもぴったりした言葉じゃないから後から変えたくなるんですけど。タイトルが最後に言いたかったことをまとめる言葉なんですよ。

-過去にアート,bedsidedrama共にTwin Peaksのテーマでやっていますがアートとファッションはリンクしているんですか

はい。その時はそのことしか考えられなくてTwinPeaksでいっぱいで。なんかTwin Peaksって映画のTwin Peaksもそうなんだけど同時に二つのことが起きてると思って。私はいとかいいえとか迫られると答えないんですよ。はいでもいいえでもない答えがあると思うんですよ。なんか日本人てはい、いいえ、どちらでもないというのがあったらみんなどちらでもないに○をするんですよ。なんか多分それが正解ってこともあるんじゃないのって。それは絶対だと思うんですよ。「どちらでもないというのが絶対です」って言いたくって。それを証明したかったんですよ、ずっと。そ れが絶対ならそれでいいじゃんって。着地の問題とも関係してくると思うんですけど。ここが正解なわけじゃなくてここも正解なわけじゃなくてここが正解ってこともあるのになんでみんなそこを正解ってしないのっていうのが。それをみんな「なんで白黒はっきりするの?ぐれーでいいじゃない」って。私色んなことにそう思うんですよ。科の分別とか。ファッションのどうことか色んなことにグレーでいいじゃんて思うんですよね。なんとか系ファッション、可愛い系がいいの?格好いい系がいいの?グレーだよみたいな。真ん中なんだよっていう討論をいつもしてるんですけど。なんとなく絶対なんですよ。なんとなくという絶対を知ってるんですよ。普通にいうなんとなくとかどうでもいいどっちでもいいとかじゃなくてそこのグレーに絶対が見えてるんですよ。

-作品作りは恋愛と同じとのことですが

はい。なんか他のこと見えなくなるんですよ。でも恋愛の力で作品を作ることも出来るんで最近どっちもどっちかなって思ってるんですよ。でも(恋愛してたら何も)作れなくなっちゃいますね。(恋愛のせいで)幸せな作品が出来ちゃって初めての個展が凄い恋愛真っ最中過ぎてなにもしたくなくて作る物作る物がハッ ピーになっちゃって、「もうハッピーだよ」みたいな展示になっちゃいました。

-それは結果的に良かったのですか

もうなんだかわからなかったですね。どうでも良かったんですよほんとに。恋愛が充実しすぎてどうでも良かったんです。楽しすぎて毎日が。でも作品が上手くいってる時もどうでもいいんです周りのことが。無敵というか。

-今はどっちもバランス取れているんですか

今はどっちも慌ててますね。落ち着かない感じです。なんか落ち着きそうで落ち着かない、落ち着かないみたいな。グレーな感じで。

-ブログや作品から女性的な感性が伝わってきますがそういった女性的な物が好きなんですか

(姫的な物)好きでしょうね。ベルサイユのバラを読んじゃってわーとおもって次のテーマがお姫様的なんですよ。bedsidedramaのなにかあの馬鹿みたいなゴージャスな感じが面白くてしょうがなくて「優雅すぎて嘘だろ。馬鹿みたい」と思ってその馬鹿みたいな感じを馬鹿みたいって思いながらゴージャスにやりたいと思って。でも私はドレスを作れるわけでもないしそういう思ったものを再現してもしょうがない。だから私はそこではないところでお姫様できないかなと思って。塗り絵的なお姫様なんですよ。凄いお姫様に憧れている子供の時に憧れたお姫様みたいな。簡単なお姫様を表現したいん ですよ。

-自分がお姫様になりたいわけではないんですか

私お姫様だと思っているんですけど・・・。すぐ疲れちゃうしすぐ横になって寝てるし、ヒールはいて外出たらすぐ疲れちゃってすぐ帰ってくるし、なんかお姫様ってこういう感じだろうなって。自分が「お姫様だわ」って思っていると気分がいいんですよね。なんか馬鹿みたいな話なんですけど「姫じゃん」って思ってたらわりとなんでも突破出来て。「しもべよ」って思ってたらわりと嫌なことも大丈夫なんじゃないかなと思って。

-いつも猫に無視されるそうですがCat Toy Strapを作ったのはなぜですか

犬の臭いがするんですよ私多分。(作品である)Cat Toy Strapをつけてると凄いみんなに突っ込まれるんですけど、私これで猫をじゃらしたいだけなんですよ、街の猫を。(Cat Toy Strapで)携帯がめちゃ傷ついてiphoneに変えたんですけど。でもまだつけてるんですよね。猫という猫を手名付けたくてこれをつけてて、そんな馬鹿な発想にみんなもくいついてくれたからこれを大量買いして付け替えたんですよね。でみんなに「ぎりぎりだろ」っていわれて。「ぎりぎりだよ」って言っ て。それがアートじゃんって。発想はアートなんですけどめっちゃ消費的なんですよ。凄いバランス取れてて「私はなんにもしてません」っていう言い訳が出来るというか。

作品すぐ出来るんですよ、私。集中力が半端ないので。すぐ作品作れるんですけどストックもいっぱいあるんですけど作りかけがめちゃ多くて「あーーなんか断念」みたいな。急に言われたときに割りとその断念が復活してきたりするんですよ。「あ、お前今日使えるんだな有難う」みたいな。有難う作りかけって。

兎に角

-アントワープ6展で強い影響を受けたようですが

(ブログより)真剣にまっすぐに奥深いとこまで苦しまないと生まれない。楽しいだけなんて有り得ない。戦いと挑戦の結果が服にみえて、ほんと感動した。でも、同時に思ったのが、服を展示するっていうのはやっぱり違和感で触れないし、その服の動きもわからない。ショーとか写真で見せるんだろうけど、ちょっともっと深く知りたくなっちゃってあたし、ああいう技術を服で習得するのが無理なら完全にイカレたい。アートかどうかわからないけど、アートとしてつくってるものの方向からああいう完璧を目指したい

あれを見て私ほんと洋服作ってるのごめんなさいって思いましたね。あ、服なんて作ってません。あれが服を作るということなんですねって。でも洋服自体というかコレクションとかを見て思ったんですよ。コレクション、演出、ポスター、アレンジ。最高のフォトグラファーを使い、最高のモデルを使い最高の着付けを して写真を撮ってるその一枚の写真に込められているコレクションメッセージというか「あーー」っと思ってもう全然駄目だと思って。もうこんなに大御所ばっかり揃えて、でもきっと友達とかなんでしょうよとか思って。わざわざ大御所連れて来た感じじゃないんだろうよと思って。グルーブ感というか、そこにその人達がいたから出来たというその感じがおかしすぎて、あーわたし全然そんな仲間もいないし駄目だって思って。ショックでしたね。届いていないという感じです。比べてというか熱意ですね。そこまでやりきるということ。今写真家が誰がいいのかというのもわからない状態で友達が写真家だから頼んだりとか、モデルも写真を見てこの子が可愛いからこの子にしようとかもう作業が凄い簡易的なんですよ。違うと思うんですよ。街歩いてて「あの娘超可愛い、ちょっとモデルやってよ」みたいな。話してたらカメラマン「どういう写真撮るの?」、「えーーいいじゃん」みたいな。そういうのがクリエイションな気がして。今なんかこ うカタログ見て発注しましたみたいなその感じが全然へぼいというか日本的というか。だから「そういうクリエイションとは違うクリエイションだなっていう感 じでしたね。

-アートは誰の為の物なのですか

自分じゃないですか?いてもたってもいられないから多分アートとかしてないと生きてられないんだと思います。何か発散できないというか、無理かな。本当に集中する時にその場にいない気がするんですよね。作ってて意識が半分飛んでるんですよね。ランナーズハイみたいな感じなんですよね。それがそこに見えてるものが出来るようになるまで手を止めないんですよ。だからトイレ行きたいときとか凄いピンチで、水が飲みたいとか超ピンチで「あーー」みたいな。集中力が 切れるみたいな。見えてるものが見えなくなるというか。

小さい頃に画用紙ジーーっと見てるとなんか見えてきたんですよ。木をずっとみてると一部が顔に見えてきたりとかと同じ現象だと思うんですけど。なんか変な形が見えてくるんですよ。なぞったりしてたんですけどなんだこれなんかでてきた。私のじゃありませんみたいな。だから本当はそこに宿っている物をひきだすじゃないですけどそういうこと信じていて。
あと、電話してる時に無意識で書いている線とか本物だとか思っていて。だって自分で描こうと思っていないから。何かをしようと思わずに最大限、無の状態で作ろうと思って。それって一番凄いんじゃないかと思って。それって一番自分なんだと思うんです。だから私(自分の作品は)まだ表面的に作ってるからそれがアートだとかクリエイションだとか言いたくなくてもっと「わーわーわー」って痛感したら言いますよ。でもまだ浸透率が低いんで出来ないです。

-今までで一番思い入れのある作品はなんですか

多分一番思い入れが多いのは薄い犬で、他の作品はもっと社会的なことを考えて作っているので。

-社会的なことを考えるとはどういうことですか

「これをやったら嫌われるだろう。」とか「これをやらなければ嫌われないだろう。」「これをつけたらキャッチー。」だの、そういうあざとい感情が入っていて。そうじゃないのが薄い犬が一番ですね。古い布団綿をよって作っていて、布団綿って打ち直すんですけどそれを打ち直さない状態って雑巾みたいな色をしてるんですよ。茶色みたいなごみみたいのが入ってて、それをようと汚いモップみたいになるんですよ。でそれで一束、一束、毛玉みたいのを全部手作業で作ったんです。編み物って想いがこもるっていうじゃないですか。編んでる時間その人のことを思ってるみたいなそういう感覚があって、念をこめたみたいな。その薄い犬のことだけを考えてずっとやったという時間がまんま見える状態で現れるって全部の時間がこもっちゃってるというか、時間を操れたというか、ぶれない感覚でなんか一個いけたっていう。一部ぶれたけど一番あいつが素直かなって。

-その薄い犬はまだ持っているんですか

多分ぺたぺたってかごに入ってると思いますよ。

-今までの作品は全部自分で持ってるんですか

売れてないやつは持っていますね。良く出来てるやつは売れちゃいますよね。そうじゃない場合もあるけど。怖過ぎてパワーがあり過ぎてみたいな。最近作った物がよく怖いと言われて。自分でも怖いと思うんですけどだから(作品を)隠したりするんですよ、怖いから。一回怖い状態になってから怖いのを抑えます。 「どうしたらポップになるかな?」みたいな。で展示して。だから私が一番良い状態見てるんですよ色んな作品の。作りかけが一番怖いです。レコード再生、再 生後みたいな。色んな部品が散らばっていて結構恐怖なので耳とか点々としている状態であれがあったこれがあったみたいな作業状態を見ている人は「ひいい いーー」って言ってますね。

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Interview/Masaki Takida

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