Interview

Obsess 後篇

ブランドやってて工場に出して洋服やってる人いるじゃないですか。その時点で自分が作ってないわけですよ。僕の中のブランドってそういうもんじゃないと思っているんですよ。

-物作りのプロセスを教えてください

デザイン画は基本的に描かないんです。まず何を作りたいのか頭の中でぼやっとしているので素材選びから始まってそこから立体とか何も起こさないで型紙引いて裁断入っちゃって作るという感じですね。一点物に拘ってるわけではないし欲しいという人がいれば作りますけど今はそんな余裕も無いので作れないんですけど。

-自分が着たい服とは違うのですか

ていうか着れないし(笑)。でも次作るカットソーは着れたら着たいと思いますよ。色んな人に着てもらいたいと思うのでカットソーを作るんですけど基本は手作りなので縫製の雰囲気とかも変わって来ると思うので一点物に近い物になると思うんですけど。

-手作りに拘る理由はなんですか

これ言うと御幣があるかもしれないですけど、例えばブランドやってて工場に出して洋服やってる人いるじゃないですか。その時点で自分が作ってないわけですよ。僕の中のブランドってそういうもんじゃないと思っているんですよ。全部作って「これ僕の服です」そう思っているので。僕はビジネスとかなしで作ってい ます。ビジネスでやると色々な制限がかかってしまうので。

-S/S、A/Wとシーズン毎にわけたデザインはされていますか

シーズンは気にしてないです。全く。秋冬春夏で括っているデザイナーさんというのもやっぱり着れるの前提で作ってるからシーズン毎の割り振りとかあると思うんですけどそういうの僕はとくに設けてないんで。だから季節毎に分ける必要ないと思っています。

-Obsess初めてどのくらいですか

1年くらいですね。

-最初の頃と比べて変わったことはありますか

見てくれる人がいて、例えば「こういうのやってみない?」とかこういう機会(インタビュー)もそうですし、色んなことが増えたのでやってて面白いですよ。色んな発見があるので。

要するにつまらないんですよ。周りで起こっていることがあまりにも。日本人なんで日本がとか言いたくないんですけど日本なんてくそつまらないし色んな雑誌が出てますけど見る気も起きないですし。学生の頃は見てましたけど今はコレクションとかも興味ないですし。見てても印象残らないですし。見てて格好良いなとは思いますけどでも本当に頭にこびりつくような物は全く無いですね。

-昔はそういう頭にこびりつくようなコレクションがあったと

昔はわりとあったかな。洋服知らない頃なんで。初めてのもの見ると興奮するじゃないですか。今大体の成功しているデザイナーさんやそれなりに出来る人って尊敬できる人がいて影響を受けた人とかがいて、例えばギャルソンとかマルジェラとか影響受けましたって言う人いるじゃないですか。でも僕は全然興味無くて。それはなんでかっていうと勿論やってることとんでもなく凄いことだとは思いますけど、僕自身がそこに興味が無いというか。例えば「俺マルジェラの服見て超凄いと思ったんだけどこれ見てどう思う?」ってなっても別に「凄い」って思えない。初めてじゃなくてそういう服ってぶっちゃけ知っていたので。

一昔前だと思うんですよね。それこそ僕らの年頃ってギャルソンとかマルジェラみたいな服が在って当たり前の時代に生まれたと思ってて。ああいうのを知らなくて育ったもうちょっと上の世代っていうのは多分凄い新鮮に見えたと思うんですよ。今までの服の概念が壊されたというか。でも僕らの世代ってそうじゃないと思うんですよ。服凄いと思うけどそこに衝撃も何もなくて。デザイナーじゃなくても尊敬できる人がいないんですよね。目標という人が。影響を受ける人は勿論いますけど。でも本当に尊敬できる人って発見したらやっぱり気になるんで凄い調べると思うんですよ。そういう気もおきないんですよね。

-では尊敬できるデザイナーはいないと

一人いるんですけどKei Kagamiさんという。その人くらいですね凄いなって思うのは。あの人の服はギャルソンでもマルジェラでもないし、純粋に「すげー」って思えて超興味わいて。一番最初にDINNERやったとき「見に来てください」ってKagamiさんともコンタクト取ったんですけどその半年後くらいにメールが帰ってきて「連絡遅れました」みたいな。その人間性にも惹かれて。普通そんな忙しい人が得体の知れない人にメールなんか返さないじゃないですか。凄い丁寧に返してくれて。僕の作品と一緒に送ったんですけど「この作品のコンセプトとかバックグラウンドとか詳しく教えてもらえますか」って逆に聞いて来てくれたんですよ。 その人間性に惚れて「若い人応援したいんで頑張ってください。今の日本じゃ難しいかもしれないですけど続けることが大事なんで頑張ってください」って。その人の作る作品にも惚れて人間性にも惚れて。彼くらいですね、尊敬出来る人は。あの人の服作りの姿勢にも惚れるんですけど活動してて長いんですけど一番初 めにやってることと今やってることの軸がぶれてないんですよ。しかもあまり表には出てこないですし。僕なりの解釈なんですけど(Kagamiさんは)服としての可能性というか、本質をつきつめる可能性というのを広げようとしているのかなと思うんです。同じ日本人なんで僕もそういうことをやっていきたいんですよ。まずはそこに向かっていきたいですね。

-海外に出たいとは思いますか

機会があったら出たいですよ。でも機会があったらと言ってる時点で甘えなんです。出ようと思えばいつでも出れるじゃないですか。出ようと思う気持ちはありますけどまだその勇気はないですね。

-自分自身の作品から影響を受けることはありますか

それはあまり無いですけど幅を広げるという意味では今までやってきたことを振り返ることもありますし、服としての可能性を広げるという意味では着るだけが服じゃないというか、着れなきゃ服じゃないですけどそれ以外にもっと新しい可能性があるんじゃないかなと思っているんです。
たとえば僕が一番最初に作った服というのが着れない服なんです。苔をいっぱいつけて。今ってビンテージとか流行っているじゃないですか。何がビンテージなのかなと思って。「だったら苔とかいっぱいつけてリアルなビンテージにすればいいじゃん」と思って作ったんですけど。絵になる服で。良い服って壁にかけてても凄い綺麗だなって思うこととかあると思うんですよ。その可能性をもっと広げたいなって思って一番初めにやったのが着れない様なぼろぼろの退廃したようなかなり時間が経過した服。それをKagamiさんに見てもらったときに「新しいことをやるにはチャレンジも大事だけど服は服であってアー トになっては駄目。着れる服も展開しつつ最終的にたどり着くのが着れない服という表現力が前面に出された服。表現力のそぎ取られた物と表現力がくっついた服というのを両方展開出来る方が作品の幅も広がりますし表現としての幅も広がりますんで是非そういう風にやってみて下さい」という意見をいただいたんです。だから一回目は着れない服だったんですけど二回目はある程度袖を通せる服で次作ろうと思って。三回目の次の服は綿ジャージーで誰でも着れる服というのを作ろうかなと思ってるんです。

ただ着れる服には近づいているんですけどそうなると今までいる日本のデザイナーさんと変わらなくなっちゃうんでとりあえずそこで幅広げたらまた何かいかついの作ろうかなと思っています。

あり方としては色んな幅があった方がいいと思うんですよね。誰もそこに不自由するわけじゃないし。売れる売れないに制約をおくと見える服が見えなくなっちゃうんで。でもそういう着れる服で成功してる人ってある程度やってる人っているじゃないですか。畑違いと思っているんで。そういう人はそういうファッションやれば良いと思いますし、僕は僕の中のファッションというのがあるんでそこの中をどんどん突き詰めていく感じです。必要なくないですか?女性が女性であるための服とか。そういうのもういいと思うんですよね。やってる人いっぱいいるじゃないですか。僕よりも凄い人はいっぱいいるんでそういうのは企業がやればいいと思うし。僕には僕でしかできないことがあると思っているんで。

Interview/Takahito Sasaki, Masaki Takida

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