Interview

Adam Andrascik

ペンシルベニア出身のアメリカ人デザイナーAdam Andrascikは今年の2月London Fashion Week期間中に行われたセントラルセントマーチンズのMAショーにてキャットウォークデビューを果たした。独特のシルエットに積み重ねられたファブリック、彼が披露したエルザ・スキャパレッリとサルバドール・ダリのドレスから着想を受けたコレクションは様々なメディアから注目を集めた。

―あなたのことについて少し教えてください

私はペンシルベニアのピッッツバーグで生まれ高校を卒業後FIT(Fashion Institute of Technology)で勉強する為にニューヨークに移り住みました。大学を卒業した後1年間フリーランスとして様々なデザインハウスで働いた後にセントラルセントマーチンズの大学院で学ぶ為にロンドンに引っ越しその翌年から大学院に通いだしました。ロンドンに拠点を移してからは3年ほど経っています。

―MAの卒業コレクションについて説明してください

私の卒業コレクションはエルザ・スキャパレッリとサルバドール・ダリのコラボレーションで作成した涙がこぼれおちたようなドレスが元になっています。スキャパレッリは敗れた穴にクレープ素材で補てんするということと対照的に穴のあいた部分をドレスからつるしスタイリングされたフリンジのように見せるというテクニックを使いました。

―FITとセントマーチンズでのMAのことについて教えてください。そこでの勉強はどのようなモノでしたか。2つの学校での教え方に何か違いはありましたか

FITは実技に偏ったデザインのコースでした。技術的な側面の建築ということによりフォーカスしておりその一方でセントマーチンズのMAは自身の創造性を高める事に集中したコースでした。セントマーチンズは常に私にとってのゴールでありただ自分の束になったアイデアを紙に並べたり、その中の一つだけがうまくいけばいいような状況を作るのではなくリサーチやデザインのアイデアをどのようにまとめるのかという部分によりフォーカスしたものでした。しかしFITでさせられたブロックを積み上げるような作業なしに私の大学院でのコレクションは完成できなかったでしょう。だからどちらの学校もそれなりに利点がありましたしそこから何を学びたいのかによると思います。

―ファッションデザインにおいて最も重視することはなんですか

しっかりとリサーチのされたコレクションはデザイナーの能力をより強力なものにし、コレクションをデザインすることにおいてリサーチは最も必要不可欠な部分だと言えるでしょう。なぜならリサーチは全てのデザインの過程においての礎となるからです。

―あなたのファッションデザインのインスピレーション源はなんですか

インスピレーション源は常に変わります。しかし大抵の場合は本や雑誌などのリサーチから始まりテキスタイルのテクニックの開発と並行して、見たことも無いようなテキスタイルを生産する為に全く異なる2つの素材を組み合わせたりします。そこからシルエットの決定に移るのですがそれもリサーチやフラットなパターンにおいての繰り返しの実験からくるものです。

―あなたの作品に強い影響を与えたデザイナーやアーティストはいますか

マルタンマルジェラとラフシモンズそれに加えてコスタスムルクディスと既に無くなったてしまったブランドCloakは常に私の作品に影響を与え続けています。

―あなたがデザイナーになったのは偶然ですか。それともずっと望んでいたことですか

それは偶然でした。小さい頃ヒップホップに夢中でそれが後にファッションに興味を持つきっかけとなりました。何かクリエイティブなことをしたいと思っていたのでファッションかファインアートの2つの選択肢がありました。私がファッションを選んだのはアーティストになるための素質が私には備わっていないと気付いたからです。

―英国のファッションシーンについてあなたの意見をお聞かせください

私にとって英国のファッションはより独立し、恐れ知らずなモノだと感じます。勇敢なデザイナー達は一般的に良いとされている物の境界線を越えデザインする事を恐れません。

―今日のデザイナーが直面する困難とはどこにあると思いますか

若手デザイナーにとって最も大きな問題はキャッシュフローにあると思います。ほとんどのデザイナーはインディペンデントでありたいと願い、自身の会社の株を所有しています。それがさらにプロダクションやランウェイショー、プレゼンテーションの資金を捻出することを難しくさせています。

―あなた自身のスタイルとはどのようなものですか

私自身のスタイルは大抵ブラックジーンズとTシャツです。とてもシンプルなものです。

―あなたにとって“ファッション”とはなんですか

私にとってファッションとは最も自身を持って自身のアイデアを表現出来る媒体です。

―あなたの将来のヴィジョンについて教えてください

例え私のブランドであれ私が信頼するブランドの為であれデザインを続けたいと思っています。

Interview & Translation:Masaki Takida

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