Interview

writtenafterwards / 罪と罰 2/2

“直接的なものをもっとやりたかったですよね。フセインチャラヤンのようなシュールなユーモア。でも結局そういうのを削ってしまった。モデルに嫌われたくなかったんです”

―ランウェイをベーシックなものにした理由はなんですか

今回一般の方、初めてファッションショーを見る方がこられるイベントでした。ですので、ファッションショーとしてクラシックなかたちで見て頂こうかと。またタブロイドでやるとなった時に2階があって1階がああいう空間なので何がベストかとなるとステージをあげて2階からも近くなってスカートの中を覗き込めるような臨場感を感じる演出が出来てってことでランウェイだったんです。「べたべたなランウェイしましょうか」というところで。80年代から90年代前半にかけてのランウェイを想い出してくれればいいかなと思って。

―今回の服は一番洋服に落としこんでいますよね。その中で今までwrittenafterwardsが追求してきたいたずらとかユーモアは服にはあまりなかったですよね

服そのものにはあまりいれることが出来ませんでした。むしろそれを敢えて削ったんです。しかし今は削りすぎたかなと。だからその部分は反省しています。

―では逆にいえば服にユーモアを入れても女性に着てもらえるものは出来るのでしょうか

そこは難しいところなんですよね。だから削ったんですよね。見せ方にしろもっと何か出来たのかなっていうのはありますね。

―例えばどんな部分を削ったんですか

直接的なものをもっとやりたかったですよね。最初の案としてはフセインチャラヤンのようなシュールなユーモア、そういうことをやりたかった。あれってちょっと変えたら笑えるなって思うんです。そういう凄い真面目な中にあるユーモアというのが気になっていてでも結局そういうのを削っちゃったんですよ。例えばパンツがぽんって落ちる演出とかもやりたかったんですけど削ったんです。本当はニットのパンツじゃなくて普通のパンツでも良かったんですけど僕にはやっぱり出来なかった。ローティーンにモデルをやってもらってそういうことをやったら本当に性犯罪になってしまう。単純にモデルに嫌われたくなかった。例えば前々回とか何人かのモデルは服を着たくないと言って凄く怒っていた。今回自分が好きな子をモデルに選んだから嫌われたくなかったんです。

―そういう意味ではバックステージも和やかな感じで進んでいましたよね

そう本当に和やかだったんです。モデルは凄く楽しんでくれた。

―難しいですよね。モデルを楽しませるのか、客を楽しませるのか

だから今回ある意味僕は女性(モデル)に負けてしまった。嫌われたくなかったから。今回僕の一番の葛藤として女性観を出したら面白くなくなっちゃうというのが出てしまった。女性観を出すとどうしてもそういう面白い要素が無くなってしまう。僕は普通だから。

―twitterにはとても大事なものを学んだと書かれていました

スタジオが終始和やかだった。だから単純にチームとしてやっている感じが楽しかった。そして日常での服としてのコレクションを作っていくということを学んだ。人と人とチームワークで作っていくということ、心地よく仕事が出来た。それって大事だなって思ったんですよね。でも洋服にユーモアが足りなかった。

―中は凄く良かった、でも外に伝わらなかったというのは課題になるかもしれないですね

ただ初めて若い子達が自分のコレクションを可愛いって言ってくれた。今回はそこも狙ってやっていたから完全に失敗ではないんです。若い子達の意見を聞くと凄い良かったとか、感動しましたという意見が多かった。ただもともと僕のことを知っている人達からしたらなんなの?という反応になってしまった。

―ちょっと矛盾として感じられるのはもし今回のショーを今更な話かもしれないけど若い子達に売るとか若い子に見せたいのであればらむしろこういうショーほど3月にやるべきだったのかなって。ごみとか神とかだったらこの時期でも良かったんですけど。その方がちゃんとした反応を見れたんじゃないかなって。バイヤーにしても。雑誌社のことも含めてそうですよね。この時期にやると(掲載する)枠も無いし、本当の反応が見えずらい。だからこそもったいないですよね

そうなんです。それは出来なかったんです。やりたかったのですが3月の時点では0着だったので。

―でも予想をはるかに超える人数でしたよね。目標は800人でしたが500人行けばいいって言われてたのが最終的には1000人を超えました。実際お金を払ってでもファッションショーを見たいという人がそれだけいたっていうことだと思うんですよね。その理由はなんだと思いますか

それはわからないんですよね。でもTwitterとか口コミで広がっていったというのも大きいのではないかと思います。ウェブの力というのはやっぱり凄く影響力があると思います。

―今回のイベントはショーの出来どうこうは別としてお金を取るイベントでも千人集められるそれがわかりましたよね

色んな視点があるけど今回のイベントもいろいろな挑戦だったんです。バックステージ見せたり、告知してやっていったりとか、そういう意味では何か今後のヒントとなるイベントだったなって思います。

―今後も一般の方に見せる形は続けたいですか

何らかの形で続けていきたいと思いますね。やっぱりこれからの時代、ショーは一般の人にも見せていかないといけないと思います。そこは今回確信しました。初めて見るファッションショーだからこころに残るし、泣いたっていう子もいたそうです。

―一般の方とプロの目線では評価が完全に別れたコレクションでした。次回以降その両方の差をうめていけるようなヒントは見つけたんですか

周りの冷めた空気と一般のお客様との温度差というのは全然違っていたのですが向かって行かなきゃいけないところは見えました。難しいことだけどそれはやっていかなければいけないなって思いました。

―次回のコレクションですが次回は今回と同じテーマでやるそうですね

1シーズンずつだと繋がりが無くてディべロップが出来ない、だからそれをディべロップさせるという意味で年に一つのテーマを決めてそれの延長線上で作るというところでやろうと。今回のショーは色んなサポートがあって場所も提供していただいたから出来たことなんですが常にそういう形でやっていくのは難しいと思うのでそういう意味で一つのテーマでじっくりプロダクトとして作れる期間を見つめながらうてるときにうつということができたらいいなって。自分の精神的なバランス的にそれくらいがちょうどよいのかなと思います。

―今までのコレクションの中でご自身が一番好きなコレクションはどれですか

やっぱりごみ(#04 〜 0 points – graduate fashion show 〜)と神(#05 〜 “The fashion show of the gods” 〜)は特別なコレクションですね。今回のコレクションも勿論好きですけど。今回は得たものは本当に凄く大きかったんです。ある意味製作過程で一番学んだシーズンが今回だった。ちゃんとした日常の洋服を作ったからこそ、初めてコミュニケート出来る方がいます。ごみと神、2つのコレクションをやってから日常での服を作ったからこそ届くものもあるんじゃないかなって。しかし大きな課題を残すコレクションだった事も事実です。それに関しては、時間をかけて慎重に表現をして伝えていかなければなりません。

Interview:Change Fashion

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