Interview

Astrid Andersen

デンマークの大学を卒業後、今年RCA(Royal College of Art)の修士号を取得したアストリッド・アンデルセン。在学中にもいくつかの賞を受賞し、ITS#NINEではファイナリストにもノミネートされた。ストリートとスポーツを参照項として制作をする彼女は、さまざまな手法を用いてファッションにおける「男らしさ」の概念を問い直している。

―あなた自身とあなたのブランドについて教えてください

デンマーク出身のアストリッド・アンデルセンです。私は、ストリート・ファッションやスポーツウェアを参照して、男性をパワフルでセクシーに着飾るのが好きです。男性にとっては、男らしく見えるだけでなく、この男らしさという概念の境界で戯れることが重要だと思うのです。私は色彩、プロポーション、そして生地/表層を用いて、男らしいと認識される服の境界を押し進めたいのです。

―RCAでの卒業コレクションについて教えてください

卒業コレクションはスペインの闘牛士とアメリカのヒップホップ・カルチャー、そして力と男性性の表現方法に関する両者の類似点からインスピレーションを得たものです。あのコレクションはヒョウ柄のプリント、ピンクのシープスキン、デボレの技法、ファー、ビーズ飾り、ゴールドのチェーンでの刺繍など、まさにフェミニンな要素を使っていたのですが、闘牛士やヒップホップ・カルチャーの強烈な姿勢に影響されることで、それがクールでフレッシュなメンズウェア・コレクションになるのです。

―ロンドンで学ぼうと決めたきっかけは何ですか。デンマークで通っていた大学と比べてRCAでの勉強はどうでしたか

RCAはメンズウェアを学ぶには世界で最高の学校ですので、この選択はそれほど難しいことではありませんでした。私はシニア・チューターのIke Rustにデンマークの大学(TEKO)で会ったことがありました。そのため、私がメンズウェアのデザイナーとして成長するのを彼が助けてくれるとわかっていたのです。
TEKOはまさに技術学校で、モノを作るということに重きを置いていたので、そういう意味ではTEKOでの学部時代はまた違ったものでした。一方、RCAはデザインの展開や強い個性をもったスタイルを創ることを学ぶところです。その両者を学んだので、私はとても強力な教育を受けたと思っています。

―あなたにとってロンドンとは?そこからあなたの制作にどのような影響を受けましたか

間違いなくロンドンにいることでデザインに対して大胆になれますし、デンマークでは見つけることができないであろうクリエイティヴな精神をこの街は与えてくれると思っています。

―男性にどんなアイテムをもっと着て欲しいと思いますか

ファーやバスケットボール・ショーツですね。私にとってはこれが究極のコーディネートなのです。

―なぜメンズウェアのデザインを選んだのですか

自然にそうなりました。現代のメンズウェアの領域はもっと開拓すべきことがあるので、より楽しくて刺激的だと思います。

―あなたの作品に強い影響を与えたデザイナーや人物はいますか

特に誰ということはありません。コレクションを展開していく間中、私の作品について様々な人々が違う意見を言ってくれますが、彼らは私の想像以上に作品に影響していると思います。

―他の人とはここが違うという、あなたの特徴的なスタイルについて教えてください

若々しくてフレッシュな姿勢をもった着心地の良い服だと思いたいですね。それは大胆で楽しいけれども強烈な思考が細部に落としこまれたもので、バスケットボール・ショーツがラグジュアリーなアイテムになるのもそのためです。

―あなたが作品を制作する際にもっとも重視する要素は何ですか

自分がすることを楽しむことです。私は作品への執着心が強いので、この大事な点を忘れてしまいがちですが、これはとても大事な要素です。また、私は自分の服が気楽で楽しみやすいものにしたいのですが、それは作品に対するこのアプローチ方法があって初めて可能になるものです。

―あなたがデザイナーになったのは偶然ですか。それともそう望んでいたのですか
常に私はクリエイティヴでありたいと思っていました。ファッション・デザインに出会ったのはともかくきわめて自然なことです。

―今日のデザイナーが直面する困難はどこにあると思いますか

仕事の量に比べて、いたるところに良いデザイナーがひしめいていることです。

―今後数年間のブランドの展望をどう考えていますか

認知度を上げ、コマーシャルになっても大胆でフレッシュなままでいたいと思っています。私はすでにロンドンの高級なショップから注目を集めつつありますが、これは本当に不思議でびっくりします。というのは、私の服はロンドンを狙ったものではなく、むしろパリや日本に向けたものだと常々思っていたからです。しかし、このことはロンドンの驚くべき部分でもあります。そういうわけで私はここに残るつもりですが、数年後にパリでショーができるようになるためには、時間が私のブランドの最終的な展開だと言えるでしょう。

Interview:Masaki Takida Text & Translation:Hiroshi Ashida Photo©Giovanni Giannoni

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