Interview

Sean Mcgirr 1/2

Sean Mcgirrはロンドン•カレッジ•オブ•ファッションでメンズウェアを専攻しているロンドンの若手デザイナー。学業だけでなくBurberryやVogue Homme Japan等でのインターンの機会を経て自身の美学をつきつめ、日本で発見した子供の純粋さと彼自身の青年時代の想い出にインスパイアされた、自身初のフルコレクションをAW11に向け発表した。今回のコレクションは6月7日に行われるロンドン・カレッジ・オブ・ファッションのプレスショーでも披露される予定である。

—まずはじめにショーン自身のことについて教えてくれる? 何をしているかとか、、、。

うん、僕の名前はSean Mcgirr。メンズウェアのデザイナーで、今はロンドンに住んでいて、ダブリンで育ったんだ。

―どのようにしてファッションに興味を持つようになって、ファッションを勉強しようと決めたの

えっと、確か11歳か12歳くらいのとき、自分で服を選んで着始めて、、、服を通して自分のアイデンティティを形成するとき、それ以上のいろいろなことを学ぶと思うんだ、、、将来はどうなるんだろうとか、どんなスタイルが好きなのかとか。そうして、すごく服に興味を持ち始めたんだけど、同時にドローイングとかペインティングにも興味があったんだ。だから服とかファブリックにイラストを描いたりペインティングをしたり、縫い始めたりしたんだ。13歳くらいのときには、持っていた服を解体して袖を違うものに変えたりしていたよ。色々なアートや服を通して、ファッションに興味を持つようになったんだ。ロンドンでファッションを勉強する事については、すごく自然なことで、他に選択肢があるような気がしなくて、それで「よし、ロンドンに行こう」と思って、実際にロンドンに来たんだ。

—なるほど。僕が今おもしろいなって思ったのは、僕も小さいころからファッションに興味を持っていたのだけれど、僕の場合はただミュージシャンとかアーティストとかのスタイルをコピーしようとしていただけだった。でもショーンはファッションを通じて自分自身を表現しようとしていたし、DIYして服を自分で作っていたわけだ

そう、多少はね。でも僕もマリリン・マンソンとか色々な人を見てかっこいいって思っていたよ。特に音楽は自分にとってすごく大きなものだったよ。ナインインチネイルズからマライア・キャリーまで全て聞いていたね、、、だから自分のスタイルとか着たいと思っていた服には絶対影響を受けていると思うな。

—じゃあ、ショーンがファッションに興味を持った当時のヒーローとかアイコンは、マリリン・マンソンとかマライア・キャリーとか、そういうミュージシャンだったの?

そう、ミュージシャンだね。レディオ・ヘッドとかのバンドもそうだし。ミュージック・ビデオは僕らの世代にとってすごい大きなものだったと思うんだ、それにアルバムジャケットとかのイメージも。今思うに、概念的に服と一緒にそのようなイメージをもたらしてくれる歌手やアーティスト、パフォーマーを見ていたと思うんだ、、、全ての要素が一つのものになっているような。そういうイメージにすごく惹かれていたね、、、ロックなスタイルとかね。

—服だけじゃなくて、全体の雰囲気ということだね。

そう、だから今も服だけじゃなくて全体のイメージをつくりたいと思っているよ。

—具体的には、子供の頃はどんな服を着ていたの?

うーん、確かバギーなものだったかな。

—スケータースタイル的な?

そう!僕自身はスケートボードは全然うまくなかったんだけどね(笑)。周りの友達はみんなスケーターだったんだ。とにかく、体にあっていないようなバギーなパンツとかパーカーとかが好きだったね。

—スケータースタイルで、そのような服をリメイクしていたってこと?

そう、バッジを着けたり袖をカットしたりね、、、マーケットとかヴィンテージショップとかで買って来て、パッチを取り付けたりとか。

—それはとても興味深いね。僕がそういうDIYなスタイルをイメージするときは、もっとパンクとかロックスタイルを想像するのだけど、ショーンはスケータースタイルだったのにDIYしていたのだね。

そうだね、当時は服の作り方なんて全く知らなかったけどね。実際、今回のコレクションはティーネイジャーのころに好きだった服を思い出したり、未だに愛着をもったりすることについてのものなんだ。10代の頃のワードローブ。13歳とか14歳の頃のワードローブから服を取り出してスタイリングしてみたりとかね。今回のコレクションでは少年が服を着る事を通じてアイデンティティを形成する時に好む服、というのを表現したくて、そのためにアップリケでできた昆虫のプリントやパッチ、そしてデニム素材がキー・ファブリックになっているんだ。ちなみにこのパッチは僕とイラストレーターのViet Tranとのコラボレーションだよ。

—なるほど、ニューコレクションはショーン自身の元々のルーツとか興味を反映しているんだね。
そうだね、実際コレクションのタイトルは「Adolescent years (青年の日々)」というんだ。

—今のショーンの普段のスタイルは全然スケーターっぽくないから、僕がこのファーストコレクションを見たときどうしてスケータースタイルの要素が入っているのかなと思ったんだけど、ショーンがティーネイジャーだった頃の興味が反映されているんだね。

そう僕が知っている事だね。成長していくうちに体験した事とか学んだ事だね、、、いつもドローイングをしていた事とか、聞いていた音楽とかね。とてもパーソナルなもの。僕は自分の一部ではないものからは何もつくらない。今まで色々なものに興味を持って来たけど、スケータースタイルは僕の人生のある一部の期間に夢中になったものだね。既存の服を少しおもしろくするためにパッチとかで装飾したりとかもね。でもそこには沢山の自己表現が含まれていると思うよ。キッズ達がどのように服を着るか、、、ただ単にtopshopに行ってトレンディなものを何でも買うってことが嫌で、自分で着るものをつくったりとかね。そういうのがファッションのあるべき姿だと思うし、、、

—なるほど、いいね。今少し今回のコレクションについて話したけど、まずこれがショーンのファーストコレクションなんだよね?

そうだよ。

—今回のファーストコレクションの基本的なコンセプトとか、不可欠な要素について教えてくれる? 既にもう少し話してくれたけど、、、

オッケー。実際、去年の夏日本にいったんだけど、その滞在中に広島のある展示会に行ったんだ。その展示会は平和記念資料館の中にあって、原子爆弾の被害があったころに子供が描いたドローイングを展示してあったんだ。平和記念博物館は、何が起こったのかっていうことについてのもので、様々な事実が展示されていたのだけど、その中に学校の子供達の絵が展示されている小さな小さなスペースがあったんだ。それらの絵はとてもエモーショナルで、本当に力強くて、、、すごく印象に残ったんだ。それで何かしなきゃと思って。子供達のクレヨンや色の使い方でその出来事のイラストを描いていて、、、とてもイノセントで美しくて、純粋なスピリットが感じられて、、、もちろんすごく悲しい絵なんだけれど、それと同時にすごく美しくて。それで子供達と彼らの考え方や青年期について見ていこうと思って、自分が子供だったときのことも考えてみたりして、子供達の純粋さをコレクションに反映させようと思ったんだ。そこからリサーチが始まっていったんだ。その展示会のキュレーターの方にインタビューしたり、日本の伝統的な着物のシルエットを研究して、着物のシルエットをメンズウェアに持ち込んだら男性をすごく美しくすることに気づいたり、京都でファブリックを見てみたり、、、多くのリサーチは日本にいる間にしてしまったんだ。そこから自分の少年時代を思い起こして、、、だからこのコレクションは日本で出会った子供達の純粋さと僕自身の少年時代のミックスだね。ある意味、イースト・ミーツ・ウエストとも言えるかもしれないね。僕が夢中だったスケートボードスタイルの要素と、日本で出会った純粋さや着物の伝統的なシルエットなどの要素の両方を含んでいるからね。

—そうだったんだ、去年の日本での経験がすごくインスピレーションになってたんだね。あと、今回のコレクションでは、ヘアスタイリストのチャーリー(Charlie Le Mindu)とコラボレーションしたって聞いたんだけど、どうしてそうすることになったの?そしてチャーリーは具体的には何をしたの?

チャーリーは僕の友達で、今回のルックブックの為にウィッグを作ってくれないかって聞いてみたら、実際にしてくれたんだ。チャーリーの手がけるウィッグが大好きだったし、彼は本当に個性的で自分のスタイルを持っていて、ロンドンに彼のような人は他にはいないから、彼とコラボレート出来て本当に感謝しているし嬉しかったよ。実際ウィッグもすごく素敵だしね。

—ルックブックのウィッグ(金髪のマッシュルーム・カット)のアイデアはどこから出て来たの?あの髪型は何を示しているの?

まず70年代のバンド、ラモーンズを見始めて、ギタリストのジョニー・ラモーンがいつもああいう前髪の髪型をしていたと思うのだけど、髪が目を覆っているあの髪型を単純にかっこいいと思って。コレクションにも影響しているロックスタイルの要素も表現できるしね。ただ今回のコレクションのカラーパレットがダークだったから、ブロンドのウィッグにしてコントラストが美しくなるようにしたよ。

—今、ファーストコレクションを終えたばかりだと思うんだけど、どう感じている? コレクションを制作している期間はおもしろいこともあったと思うけど、プレッシャーもあったと思うからストレスでもあったと思うんだけど。

服をつくる事は本当に大好きだし、製作期間はとても長い時間だったしいつもコレクションのことを考えていたし、社交的な活動もあまりできなかったけど、自分がハッピーだと思える結果を出せる限り、僕は全然気にしないよ。本当に忙しかったし、時にはストレスも感じたけどね。

—すごく制作に夢中だったみたいだね。

そう!でも実際多くのデザインは日本でしたんだよ。新幹線で移動している間とかにね。そしてロンドンに戻って来てからそれらのデザインを少し修正して、コレクションを制作し始めたんだ。

—去年の夏に日本に行ったときから既に今回のコレクションに向けての活動は始まっていたんだね。

そう、去年の7月だね。日本に夢中になったし、リサーチも始めたしね。

—日本に行った事は今回のコレクションをスタートするよい機会となったみたいだね。

本当にそうだね。

—それでは、コレクションを終えた今はどう感じている?

次のコレクションのことを考えているよ(笑)。

—今回のコレクションの出来には満足している?

もちろんだよ。全てにおいてハッピーだよ。去年の7月にスタートしてからずっと頭の中にあったことだし、毎日毎日色々と分析して、時には分析しすぎたりして、変更したりそのままにしたり、、、だからもう僕の頭の中の一部のようだったね。だから今そのコレクションをし終わって次の違うものに向かう事が少し変に感じるよ。でも、本当に今回のコレクションに関してはハッピーだよ。

—今は少しは休みたいって思う?

全然。

—ただ次のコレクションをしたい?

そうだね。次の日曜日に次のコレクションのリサーチも始めるよ。

続く

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