Interview

Jenny Faxの”エマニエル夫人” 2/2

“今はコレクションをちゃんと続けることが大切、それがブランドにとっての成長に繋がると考えるようになった。自分のブランドを始めて以前より凄くポジティブになった気がします”

→Jenny Faxの”エマニエル夫人” 1/2
→Jeny Fax Interview
→Jenny Fax 2011-2012 A/W Collection

―最初はネットだけのブランドとしてはじめたわけですが今回は展示会も行いバイヤーにも見せています。それはなぜですか

お金が欲しいからです(笑)というのはジョークなのですがもっとたくさんの人に見てもらえると思ったからです。
今回嬉しかったことは(雑誌等)プレスには載らなくても自分のブランドを「やりたい」と言ってくれるお店があったこと。ショーの前にもう買い付けを決めてくれていたんです。
前回のコレクションもネットだけでやったのでどこにも載ることはなかった。でも坂部が着ていて「これどこの服ですか」と聞かれることは多かった。お店におろせば地方の人ももっと私の作った服を見ることが出来ると思ったんです。

―次回もプレゼンテーションもしくはショーはしようと思っているのですか

そうですね。何かしらの形でプレゼンテーションはしたいと思っています。ただ他のブランドのようにオーソドックスなランウェイショーをやるという形は私には似合わないと思っています。次回は(今回来れなかった)妹をモデルに何か面白いことを出来ればなと思っています。

―これからは不定期ではなくシーズン毎にJenny Faxを発表するようですがMIKIO SAKABEとしてのシュエ・ジャンファンの役割も少しずつ変わって来ているのですか

それは一緒です。だから(玉井)健太郎さんから「もう少し(このブランドに集中)出来たらもっと良くなるのに」と言われたのですが、彼は私がどれだけ頑張っているか知らないんです。
実際まだまだ小さなコレクションだけど時間は凄くかかっている。このブランドはMIKIO SAKABEと違ってお金をかけることも出来ないからパターンだけでなくサンプルもほとんど自分で作っているんです。
MIKIO SAKABEでは坂部がコンセプトを決め、ショーをどう見せるかと言うことをメインに考え、その他の部分を私がサポートする。これは昔もこれからも変わらない。ただ、今は良いアイデアが浮かんだ場合はどっちのブランドに使おうか悩んだりすることは正直ありますね。坂部に聞くと「良いアイデアなら両方に使えば良い」と言われるんですけど。

―実際今回の柳さんも両方のコレクションでコラボレーションしていますよね

そうですね。

―今のところJenny Faxに専念するという考えはないんですね

今のところそういう予定はありません。勿論このブランドに集中してみたいという気持ちも少しありますが。先程柳さんと私が似ていると言いましたが私は誰かの為にやることの方が自分の為だけにやるよりモチベーションを維持してやることが出来る。だから坂部と一緒にMIKIO SAKABEをやっていた方がよりモチベーションは高く持つことが出来るのです。
それに今はコレクションをちゃんと続けることが大切、それがブランドにとっての成長に繋がると考えるようになった。自分のブランドを始めて以前より凄くポジティブになった気がします。精神的にも凄く幸せなんです。

―実際にJenny Faxの洋服を購入してくれた方はどんな人達なんですか

私の服を今回買ってくれたのは私より年上の女性達が多かったです。逆に自分より若い女の子からは「可愛い過ぎる」という意見が多かった。

―今のところカプセルコレクションのような感じですが今後はもっとルック数も増やしていく予定ですか

本当は増やしたくないです(笑)でももっと増やした方が世界観を表現しやすいしバイヤーにも提案しやすいので増やした方が良いかなとは思っていますが自分的にはあの量でも問題ないと思っています。
ただあまりコレクションが大きくなると先程も言ったようにランウェイをしなければいけない。そうなるとプレスの方の前で囲みインタビューをしなければいけないですよね。自分のコレクションを口でうまく説明することなんて私には出来ない。坂部は喋るのが得意だから良いけど私は喋るのが得意ではない。真逆なんです。
ショーをやるだけで自分のやりたかったことを理解してもらえるならショーをやるかもしれない。でもランウェイショーをやったらその後にみんなの前でコンセプトなどを発表しなければいけない。ジャーナリスト達は「このコレクションのコンセプトは?」とか「このコレクションがどう今の東京を表現しているのですか」とか聞きますよね。実際そこに関係性なんてほとんどないんです。勿論「みんながどんなものを着たいのか」ということを考えて服作りは行っています。でも”今”というキーワードや”東京”というキーワードを入れて話すことは私には出来ないし全てのデザイナーがそういったことを考えて服作りをしているとは思えない。そのような場所ではまるでそういうことを言わなければいけないかのように言わされてる気がするのです。私にはそれは出来ないし、詳しいコレクションの説明も出来ない。だから自分のコレクションではショーよりプレゼンテーションの方が良いと思っています。

Interview & Text:Masaki Takida

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