Interview

Rhiannon Jones of Bol$hie

およそ一年前に初めて彼女の商品を目にしたとき、その商品が放つ独特のテンションとそれらの全てがたった18歳の少女によってつくられたという事実に大変驚かされたことを覚えている。そのレーベルはBol$hie(ボルシー)、デザイナーの名前はリアノン・ジョーンズ。
SohoのMachine-Aにエクスクルーシヴで取り扱われ多くのメディアにも取り上げられた後、Bol$hieは今やロンドンのSickだけでなく日本やシンガポールのショップでも販売されている。セレブリティのうわべだけの世界に気を留める暇もなく、リアルなことを行うリアルな人々に囲まれた自身の毎日のリアルな人生にインスパイアされながら、リアノンは年齢にとらわれることなく進むべき道を自ら切り開き、自身が望むこと全てを実現するようなパワーを秘めている。

―リアノン、まず始めに今までの半生について話してくれる?リアノンはもともと北イングランド出身で、学校を辞めてロンドンに来て、Bolshieを立ち上げたんだよね。そういった今までのストーリーをもう少し詳しく話してくれる?

私はハルっていう街で生まれ育ったんだけど、ここは私には合わないっていつも思っていたわ。両親はもともとロンドン出身で私がまだ赤ん坊だったときに北に引っ越したから、定期的にロンドンには来ていたの。その間、7歳くらいの頃からバイオリンやトランペットを弾いたり、ギターにドラム、それに詞を書いたりとか、手にとれるものは全てやってみて常にクリエイティブに育っていたわ。スポーツも大好きで、ボクシングをしたりスポーツチームに入ったりしていたんだけど、そこからもう私は私らしかったの。ママが言うには、私はちゃんと話せるようになる前からもう自分で着飾ったりとか、自分のしたいことをしっかりわかっていたの。ずっと独立心もすごく強かったからうまくいかないことが多くて、いつもトラブルになっていて、それが14歳のときに学校から追い出されるっていうところまでいっちゃったの。そのときからもう毎晩レストランで働いていて、学校を辞めてからはロンドンへ出てくるお金を貯めるためにフルタイムで働いて、休みの日にはイギリス中のいろいろな街に出かけて探索して、自分の目で「本当の教育」、クラスにじっとしているのではなくて人生についての教育を経験したわ。それに私は実際14歳よりずっと年上に見えたからうまくやりすごして、16歳の誕生日の前の週に資金をため終えて、荷物を詰めてロンドンにやってきて、住み込むスタジオを見つけてっていう感じね。

―どうして自身のレーベルを「Bolshie(革命後のロシア社会民主労働党ボルシェビキを語源とし、左翼的、反抗的な人などの意味を持つ)」って名付けたの?あと基本的なレーベルの美学とかインスピレーションは何?

Bol$hieは私が昔グラフィティの印に使っていて、ママも私のことをBolshieって呼んでいたの。それが頭に残っていたから、レーベルを始めたときに名前になっただけで、ずっと使い続けるとは思っていなかったけど、すごく早くいろいろなことが進んだから今でもそのままにしているわ。

―リアノンは自分自身で服の作り方を勉強して、特に学校でファッションやデザインを勉強した訳ではないけれど、今までどこかの学校に行きたいと思ったことはある?

いいえ、全くないわ。クリエイティビティや才能っていうのは人が生まれつき持っているもので、教えられる何かっていうことではないと思っていて、もし自分が人生において得たいものをわかっていて知性と才能があれば世界は自分のものになるわ。話した通り私は14歳のとき何の資格もないはずの先生達に学校を辞めさせられたわ。先生達は私のことを信じてくれずただトラブルメーカーだと思って、いつか刑務所にいくことになると思っていたのだと思うわ。全然私のことをわかってくれていなかった。でも私はバカじゃなかったし自分がすべきことを明確に知っていたし、実際にやってきたわ。抑制された環境の中でうまくやっていく人もいるけれど、個人的には考えられなかったわ。

―コレクションだけでなく、リアノン自身のファッションも他の人とは違っていつもすごく印象的だよね。それとリアノン自身のスタイルも以前とはずいぶん変わったよね。どのように自身をスタイリングしてるの?あと最近のファッションのインスピレーションは何?

「自身をスタイリングしている」と言う訳ではないわ。私は今現在感じていることを何でも着ているだけで、すごく言葉にはしにくて説明するのは難しいのだけど、私が他の人たちとは違うファッションをしていることはわかるけれど、わざと「人と違うようにしよう」とかなんとかしてる訳ではないの。有名人からインスピレーションをもらったりアイドル化したりっていうのはなくて、頭に思い浮かんだことをしているだけなの。ある日友達のDavidとも似たような会話をしたわ。あるイベントのとき座ってあたりを見渡して、私たちはどうしてこうも違うところまできたのか、他の皆はいわゆる「普通の」ファッションをしていて、そういうひどいイギリスの一般的な人々を見て、世界の大部分の人は自身を着飾ることを全く知らなくて、でもそういう人たちは私たちを他の惑星からやってきたかのように見て、彼ら自身の何がおかしいのかわかっていないの。おかしいよね。

―今ハマってる音楽は?

私の音楽のテイストは覚えている限り変わっていないわ。Channel U (現在はChannel AKA。UKのヒップホップ・TVチャンネル)、SBTV(グライム、ダブステップをフィーチャーした音楽TVチャンネル)、A64(SBTVのアコースティック・セッションシリーズ)とかね。知ってるひともいるだろうけど、、ほとんどの人は知らないかもね。ジャンルで言うとヒップホップ、R&B、ダウンテンポされた生のアコースティック、Streetz, Grime & Lifeとかね。

―若手デザイナーもビッグなラグジュリーブランドも含めて、誰か好きなデザイナーとかブランドはある?

ううん、ファッション・レーベルにはそんなに興味がないの。私のバックグラウンドはすごく労働階級だから、そういうのファッション・レーベルは周りになかったし興味も特に持たなかったわ。そういうブランドの半分は発音もわからないし、子供のとき周りにあった一番デザイナー的なものと言えばMarks and Spencer(UKのスーパーマーケット・チェーン店)だったわ。つまり私の生まれ育ったところでは人々はバーバリーとか以外のファッション・レーベルのことは知らないし生活に全然関係ないから必要としないの。私は13歳のときにWAGルック(Wives And Girlfriends、スポーツ選手の妻や恋人のファッション)にハマってフェイクのルイ・ヴィトンのハンドバッグとかシャネルの大きなブリンブリンのアイテムを持っていたけどね(笑)。でもまぁほんとそんな感じ。今はアディダスの方向性は大好きだけど、それ以外のは全然。全部つまらないしファッション・レーベルの99.9%は全部ゴミだしワンパターンね。

―Bolshieの偽物について聞いてもいい?僕はBolshieの偽物の写真を見たとき、ほんとにBolshieの商品にそっくりだったし、しかもそのモデルが日本でもすごく人気のある韓国のポップスターのBig Bangだったからすごく驚いたよ!いったい何が起こったの?

偽物は最大級のお世辞ってことを物語っているんじゃないかしら。

―ニューヨークで過ごした4月はどうだった?あとリアノンは日本にも来るべきだと思うよ。東京のクレイジーさはすっごくインスピレーションになると思うから!

ニューヨークは今までで最高のときだったわ!ブロンクスの奥深くの暗いゲットーに泊まっていて、私の人生で一番最高でインスピレーションにあふれた時間を過ごしたわ。ストリートではタトゥーだらけのギャングスタとかストリートラッパーやダンサーとか、挙げたらきりがないほどの人々に出会ったわ。正直ロンドンが全然ダメに思えたわね!ニューヨークは最高のエナジーに満ちていたから、理想的にはロンドンとニューヨークにアパートを持って両方で過ごせたらいいわね。私のリストで次にあるのが日本!来年の3月、4月にショップでのSS12の立ち上げに合わせて日本にいれたらいいわね!ずっと行ってみたいと思っていたし、行けば大好きになるってわかってるから!

―最後にリアノンのニュースを教えてくれる?近い将来リアノンの周りで何が起こる予定?次のロンドン・ファッション・ウィークでは何かするの?僕はリアノン初のショーを早くみたいって思ってるよ!

現在本当に沢山のことが起こりつつあるわ。ずっと本当にハードに働いていて、もうすぐ出てくることが沢山あるの。すっごくエキサイティングなコラボレーションもいくつかあって、そのうちの一つはセックス・ピストルズとのもので9月にはハイストリートのショップで発売になる予定ね。残りはまだ言えないんだけど、、、(笑)。それと9月に向けて自分のSS12コレクションも制作しているわ。先シーズンはコラボレーションがあって自分のメインラインはやってなくて、次のコレクションはBolshieのソロ・コレクションとしては一年ぶりになるから待ち遠しいわ!一人の人間としてもデザイナーとしてもすごく成長してきたし、旅を通じて世界のこととか私がいるこの業界のことをすごく学んできて、その全てが新しいコレクションに昇華されると思うわ。今言えるのはそれだけ、あとは全て9月に明らかになるわ、できればロンドン・ファッション・ウィークのキャットウォークでね。

http://www.getbolshie.com/

Interview, Translation & Text:Yasuyuki Asano

Comments are closed.