Interview

Kristina Ti ~女性像への美意識と日本女性~

Kristina Ti の 期間限定 スペシャルポップアップショップが10月19日(水)〜25日(火)、新宿伊勢丹にオープンした。22日と23日はデザイナー、 Cristina TARDITO (クリスティーナ タルディート)も店頭に立ち会った。
ミラノで発表されたばかりの2012S/Sのコレクション、11月に店頭にお目見えするカプセルコレクションの発表、さらにK-Wayとのコラボレーションアイテムの披露と様々なトピックスで話題のCristina TARDITOに話を聞いた。

―新作のカプセルコレクションが11月に店頭で披露されますが、このコレクションについて詳しく教えてください。

カプセルコレクションは今回が3回目のコレクションで、30ピースと型数を決めて制作しています。Kristina Tiのメインラインとは少しイメージを変えて作っているラインで、柔らかいカラーであったり、ロマンティックな雰囲気だったりといつものKristina Tiのコレクションラインとは違った女の人をイメージしてデザインしています。今期のEntre-Deuxは、Sogno di una notte(一夜の夢)がテーマで、2つの色黒とゴールドを夜空に見立てたコレクションに仕上がっています。これは、ランジェリーの縫い方の名前でもあります。2つの生地を繋げる縫い方のことなのですが、ここから2人の女性を統合させるといいますか、女性の瞬間的なものを合わせるという意味も持っています。またイラストレーターがコレクションごとに絵を描いて世界観の演出に協力してくれています。私は洋服を着ることはしゃべることと同じであると思っており、気分によって着るものを変えることができればそれが何より素晴らしいことだと思います。
また10月21日に aquagirl 青山店でEntre Deux 2012コレクションのウインドウディスプレイを行い、 VOGUE FASHION‘S NIGHT OUT (FNO)まで飾られます。

―新宿伊勢丹ではイベントに合わせて店頭にも立たれたようですが実際に接客されてみてどうでしたか?

とても楽しむことができました。最近ではよりお客様と近くにいたいと思うようになりfacebookにKristina Tiのファンクラブを作り直接コンタクトできるようにしています。以前は自分に自信が無く、ジャーナリストの方とコンタクトを取っていましたが、少しずつ自信がついてきて、お客さんとも直接接することができるようになりました。消費される方が何を欲し何を求めているか、やはり直接接することでその点が分かるようになってきました。facebookのファンはいいことも悪いことも言ってくれるので、それはとても参考になります。

―9月にミラノで発表された2012 S/Sのコレクションについて教えてください。

メインコレクションは全く違う境遇の人同士の結婚、ブラジル東部とパリの融合をテーマにしています。フランスのソニア・リキエルとブラジル東部の都市バイアが舞台となった小説「フロル婦人と2人の夫」の主人公ドナ・フロルという相反する2人を思い浮かべ合体させるようなイメージでデザインしました。「フロル婦人と2人の夫」はお葬式のシーンから始まります。ミラノでのコレクションもそれに合わせ黒い服を最初に登場させ、そのあとカラフルな色のものを披露しました。丈はすごく長いか短いかの両極端で、アシンメトリーであったり、ディテールに拘ったコレクションになっています。金糸銀糸のラミネート糸を使うなど素材にも拘っています。

―Kristina Tiはランジェリーブランドからキャリアをスタートされていますが、素材の選び方等にその経験は活かされていますか?

勿論です。柔らかさやしなやかさだったりといったランジェリーのもつ特徴を、素材選びでもベースとして考えています。加えてわたしは元々化学繊維にアレルギーがあるので、シルクやリネンなどの天然繊維を好んで使っています。

―今回、伊勢丹でのイベント用にシルクを14種類選ばれていますが、選んだ基準を教えてください。

14種類の素材はイベントに合わせてTi-Shirtsをカスタマイズする為に選んだものです。
アーカイブの生地はたくさんありますが、全体をみてハーモニーが保てるように選んでいます。

―ではランジェリーブランドの経験が、デザイン面で影響を与えている思う部分はありますか?

ランジェリーらしさということも踏まえていますが、Entre-Deuxを見てもわかるようにランジェリーらしさは垣間見えないと思います。しかし細かくディテールを見ると縫い方、縫製にランジェリーの技術が使われています。イタリアではランジェリーのデティールを活かしたブランドと認知されていると思うのですが、だからといってランジェリーらしさがなければいけないとは考えてはいません。

―来年の1月にはK-Wayとのコラボレーションのコレクションも発売されるようですね。少し意外にも思えるのですが、コラボレーションの経緯について教えてください。

オファーがあったので受けました。K-Wayは他のイタリアブランドともコラボしていますしね。
日頃からイタリアのブランドから色々とコラボの依頼があるのですが、K-Wayは老舗のブランドでもありますし、わたしも幼少期からK-Wayのパーカーを着て自転車に乗っていました。ですからオファーがあったときにはすぐやりたいと思いました。コラボアイテムはK-Wayのお店での販売またはオンラインでの販売になるので、自分の顧客とは違う方々にも見てもらえるということでうれしく思っています。

―Cristinaさんが物を作る上で大切にされていることはありますか?

難しい質問ですね。大切にしていることはたくさんありますが、やはり一番は女の人を美しくみせることができる洋服を作るということですね。私はアーティストだとは思っていないので、すごく独創的な服を女性に着せたいとは思っていなくて、女の人のパーソナリティというかその人をいかに美しくみせれるかが大事と考えています。流行であることにはこだわりはなく、女の人が洋服を選んで、実際に着て、日常のなかで表現できるなにかといいますかそれを発信することが重要であると思います。だから私の昔の服を今でも着ていてくださるお客さんに会うとすごくうれしいです。
女性の一番の魅力は頭だと思っています。各々が自分の頭で考え、自分の着たい服を着てほしいと思います。

―つまり美しい女性像というのは自分の頭で考えることができる自立した女性ということを指しているのでしょうか?

そうですね。精神的に独立した女性がすごく好きで、力強く何事も生き抜くそういった女性に魅力を感じます。ただ強さを全面的に出すのではなく、どこか控えめなところも兼ね備えた理想の女性像が私の中にはありまして、昔は男性の前では半歩下がってくっついてくる女性がいて、ただ手綱は女性が握っている。そういう女性をイメージしています。

―その観点から日本の女性についてどう思いますか?

そうした理由から私は日本の女性が好きなのです。内向的で控えめなところがある一方で、イタリアの女性の1000倍強さを持っていると思います。教育がその要因にあると私は考えているのですが、日本と比べるとヨーロッパはまだまだ遅れていると思います。テクノジーの発展も必要ですが、日本のように伝統的なスタイルが残っていることは素晴らしいことだと思います。ジャーナリストの前だからといってお世辞を述べているのではなく、ちゃんと本音をしゃべっていますからね(笑)。

―日本が好きなのですね。

気が狂ってしまうほど大好きです。5歳になる娘がいるのですが、彼女も日本人に会うとすぐ話しかけたり、構ってもらおうとしたりしていて、前世は日本人だったのではないかとすら思っていますよ(笑)。

―では最後に今後のことについて決まっていることがあればお聞かせ下さい。

夏用のカプセルコレクションのデザインがまずあります。タイトルもまだ決めていませんが、日本滞在中に決めようと思っています。そうすれば思い出として日本のことが記憶に残りますし。あとこれはシークレット情報ですが、ファストファッションとのコラボの話も決まっています。是非今後も私どもの活動に注視していただければと思います。

Kristina Ti:http://www.kristinati.com/

Interview & Text:Fumiya Yoshinouchi, Masaki Takida

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