Interview

sneeuw 雪浦聖子 ~ Simple≠clean+humor=* ~ 2/3

プレーンな素材で切り替えで色の配色を見せたり、単純な形をしているけれど着るとなにか発見があるような、シンプルだけど仕掛けのある服というのがsneeuwらしさかなと思います

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―現在のアトリエはSTOFとシェアされているようですね?

専門学校で同級生だった友達がSTOFで働いていて、そこからの流れで谷田さん(STOF/bedsidedramaデザイナー)が最初の展示会に来てくれて。
そのときはほとんどしゃべらなかったので正直怖いなという印象でした。同い年なんですけど(笑)。
その展示会でみせたネックレスの手法を気に入ってもらって、その後、STOFとのコラボレーションでネックレスを発表して、そこからちょくちょく話す機会が増えてという感じです。
今も工場を紹介していただいたり、お世話になっています。
シェアとはいっても、STOFとは別の部屋で、同じ部屋にはbethourireさんが入居していて、ひとつ下の階にもTrancevestiteさんが引っ越してくるので、にぎやかになりそうです。
アトリエはもうすぐ改装が終わるので、今年から本格的に通おうかと思っています。

―谷田さんから学んだことは多いですか?

はい。素材のこととか、ものの見せ方とか、商品の構成とか、色々相談させてもらってます。

―東大での経験は何か反映されていますか?

学んだことではないですけど、人の繋がりは今でもあります。おもしろい人がたくさんいましたね。向こうは覚えているか分からないですが、有名な人で言えばTeam Labの猪子さんとか。私の1つ上の学年で、学内でも変わった格好で歩いていて目立っていました。そういうおもしろい人が周りにたくさんいたことはよかったなと思います。

―ブランドコンセプトである「clean & humor」はどういう経緯で?

ESMOD JAPONってコンセプトをしっかり打ち出すことに力を入れていて、毎シーズンポートフォリオを作っては「コンセプトは何か」と厳しく問われるところなんです。実は「clean & humor」という言葉はそのときから使っていた言葉で、卒業して服を作っていてもしっくりくる言葉だという実感があったのでそのまま使うことにしました。作っているモノも学生の頃と比べてあまり印象は変わらないんじゃないかなと思います。

―服作りはデザイン画から始まるのですか?

歩いているとアイディアが浮かんでくるので、それをざっくりした絵でメモとして残して、いざデザインするぞとなったときにそのメモを取り出して、粗い絵のイメージを詰めていって形にしていくという感じで作っています。実際は最初の絵は当てにならなくて、制作の途中で手を動かしながら完成させていくことがほとんどです。

―アイディアというのは具体的に言えばどういうことになるのですか?

例えば、新宿駅で歩いている人のなんでもない服を見て「ここはこうなっているけどこうしたらおもしろいな」とかそういうイメージがふとわいてくるんです。そういうアイディアを集めて作っているのでシーズンのテーマは決めていないです。作っている間に「これは面白い」と展開していき、結果まとまりが出てくることはあると思うんですけど。

―パターンも全てご自身でされているのですか?

デザインと寄り添っているので外にお願いすることは難しいです。言葉で伝えるほうが難しいと思いますし。

―プリントもオリジナルで作られているのですか?

無地が多いのですが、今期のジャガード生地はオリジナルで、2シーズン前の柄物の生地もオリジナルで作りました。無地の配色でみせていくほうがsneeuwらしくていいのかなと最近は思っています。

―sneeuwらしさとは何でしょうか?

プレーンな素材で切り替えで色の配色を見せたり、単純な形をしているけれど着るとなにか発見があるような、シンプルだけど仕掛けのある服というのがsneeuwらしさかなと思います。逆にジャケットなどの定型がかっちりと決まっているものはsneeuwの仕事ではないのかなと思っています。

―展示会でおっしゃっていた意味のあるデザインということですか?

そうですね。でも感覚で線を入れてみたりというように、全てに理由や意味があるわけではないのですが、ただフリルを付けて可愛いというような「装飾をつけること=可愛い」という感覚はあまり持っていません。装飾ではなく、切り替えでの配色の見せ方や、着方や服そのものの構造に意味を持たせることができればと思っています。

―それはやはりプロダクトデザインに興味を持っていたということが関係していそうですが。

そうですね。TOTOで働いていた頃というのはミニマルデザインが隆盛な時期で、携帯電話も白でツルンとしたデザインが流行っていました。TOTOでも機能的で飾り気のないプロダクトを製作していたので、そうした背景は関係していると思います。ブランドコンセプトの「clean & humor」のcleanの部分はそことリンクしています。ただそれだけではつまらないという感覚もあったので、humorという言葉を入れました。humorには大学の頃に新宿でDroogの展示を見て衝撃を受けたのも影響しています。Droogの本は今でもなにかあったときに見返したりしていて、ルーツのひとつです。それもあってsneeuwというオランダ語を使っています。

―1点もののアイテムもあるのですか?

ないですね。全て量産になります。アンティーク生地などを使用すれば素材がそれだけしかないから1点ものになり得ると思うんですけど、私は古いものを使ったアイテムを作ったこともないですし。あと量産品っぽい雰囲気が好きで、以前ブルーシートでバッグを作っていたことがあるんですけど、そういったホームセンターにあるような普遍的にたくさんあるものを使っておもしろいものができればと思っているんです。それはDroogの影響もあると思いますがその手法だとたくさん作れてしまうので1点ものはやらないかもしれないですね。作りがすごく凝ってる場合には一点物にするかもしれないですけど。そういう理由でホームセンターにはよく行きます。ケミカルな素材とか好きなので。

―ケミカルな素材はあまりイメージになかったです。

実際あまり使えていないかもしれないんですけど、アクセサリーはプラスチックとか使っています。出来上がりは柔らかなものになっていますけど、作る途中で出てくるものやプライベートで作るものはそういう素材をよく使います。

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