Interview

Tim Van Steenbergen 1/2

Tim Van Steenbergen AW2012コレクションの展示会がファッションウィーク中にパリで開かれた。ベルギー出身のTimVan Steenbergen は 2000年にアントワープ王立術アカデミーを首席で卒業後、Dries Van Noten、Olivier Theyskensで経験を積む。その後2001年にアントワープを拠点に自身のブランドを立ち上げて以降はアイウェアブランドtheoとのコラボレーションやインテリアデザインの他、イタリアで最高峰とも言われるスカラ座オペラのコスチュームデザインなど様々な活躍を繰り広げている。今回、ニューコレクションの発表に合わせて彼の多岐に渡る彼の活動の原点であるファッションデザインを中心に質問を投げかけ、全てのクリエーションの根底にある想いを伺ってみた。

―デザインに関してはどの様な形で取りかかられるのですか。

机に向かって、というよりは日々の中でオペラなど他の事に取り組みながらその時々の空気を読む事から始めています。そして何を伝えるのが大切か、自分がメッセージを通して何を見せたいかを考えます。インスピレーションを得た後はそれらを簡潔にドローイングしてすぐにファブリックに向き合い製作に取り掛かっています。いつもデザインはその後です。それ程、クリエーションの中でファブリックは重要視しています。着る人がデザインを見るときには必ず、素材も見られてしまいますので。いくらデザインがよくても素材が良くなければ意味を成さないと思っています。酷い材質で良いデザインの服を買う人はいないでしょう。ある程度ファブリックをチョイスした後はデザインと組み合わせてトライアルを行い、更に厳選していきます。

―ファブリックへのこだわりというのはテクスチャー、肌触りの良さを指しますか、それとも扱いやすさ、形の良さでしょうか。

今季は快適であることを重視しています。今はデザインだけでなく着心地の良さが追及されますので。今季のコレクションでは全てのファブリックには多かれ少なかれストレッチが入った素材を選んでいます。

―それでは、あなたのプレタポルテコレクションは日常的に着られる事を目的としているという事ですね。

はい、それは大切にしています。更に、服を作る上で50年経っても着られて後の世代に残せるという事も重要です。祖母が私に昔から大事にしていたドレスを見せてくれていて、そういったクリエーションをしていくべきだと強く思っています。

―今回のテーマは「Ecological Reflection」だとお伺いしましたが…

「Ecological Concern」です。単に人と環境の関係だけでなく地球に纏わるなるべく多くの物を表現しました。現在多くの人が自然を省み、それぞれの解釈をデザインに反映させていますが、私は自分の答えをデザインに表現するというよりは、自然の、例えば山や星空の前に立ってそれらを想い、自然由来の素材を使う事で自然と私たちの体がどう関わっているかを直に感じ、そして自分たちに何が出来るかを考えるという事自体をテーマにしたいと思ったのです。そしてまた、関心を持つという事だけでなくそれらへのリスペクトの念も伝えられればと考えています。

―他にも様々な問題や注目すべきテーマはあるかと思いますが、どうしてこのテーマを選ばれたのですか。

今、私たちが考えるべきトピックだと思ったからです。生態系は変わってきていますし、次から次へと消費出来る時代ではなくなっています。今後この状況が更に深まっていくことを踏まえて、このコレクションによってこれらの事柄について考える時間を作り出す事が出来ればと考えました。

―着る人がそれらの問題を考える事を目的とした、という事でしょうか。

はい、ただ着る人に対しては服飾品を消費する時にどこで作られたものなのかを考え地球の前に謙虚になる事の他にインテリジェントな消費の仕方というのでしょうか、タイムレスなものに対するリスペクトの念やその価値も伝えたいですね。

―コレクションの中には自然とは対照的に都会的な印象を受けるピースも見受けられますが。

シルエットに関してはそうかもしれません。ただ、ファッションの中で自然と関わりのあるファブリックやテキスタイルの選出には必ずネイチャーというコンセプトを置きました。全てのファブリックは理由や意味を持っていますし水と関係があります。また火と風と、地球と関係があります。そういった自然由来のストレッチ素材やなめらかなファブリックを遊ばせてめりはりのあるシルエットを作り、都会的でフェミニンなデザインに仕上げました。服を作る際にこのコントラストを私は楽しんでいるのです。

―今季コレクションのルックスはブラックをベースにいくつかのカラーカテゴリーに分けられているように見えます。

それも全て自然を表しています。寒色で表した山などのコールドネイチャーから始まり、ギャラクシーを意識したピースにはや赤など暖かみのあるカラーを使いました。地球、水、火、風など、自然界の全てのエレメントが地球にとって重要なので、これらをそれぞれのカラーで表現し、掛け合わせました。

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