Interview

HIRO × JUVENILE HALL ROLLCALL ”HONEY’S DEAD”

JUVENILE HALL ROLLCALLとHIROによる旗艦店”HONEY’S DEAD”が4月28日、原宿にオープンする。
HIROは2002年に渡英後、独学にて服作りを勉強したHIRO(以下H)氏によってスタート。2009年には恵比寿に”HIRO SHOP”をオープンし、翌年には原宿へと場所を移し、2012年4月8日惜しまれつつも閉店した。
JUVENILE HALL ROLLCALLはデザイナー入江泰氏(以下J)によって2002年に設立。今回が初の旗艦店となる。
以前から合同で展示会を開催する等互いのクリエイションを認め合う2人。ショップオープンを間近に控え開催された2012年秋冬の展示会場で今回のショップに関する想いを聞いた。

―展示会は以前は一緒にやっていましたが最近は別々でやられていました。なぜ今回2人でお店をオープンしようと思ったのですか

J-展示会はHIROがお店を持ったから一人でやりたいと言ったので・・・・
H-それは違いますね。
2人で始めようとは結構前から決めていて「いつから始めようか」ということだけだったんです。

―HIROさんは自分のお店「HIRO SHOP」が原宿にあったのになぜわざわざ場所を移し、他のブランドとショップを始めようと思ったのでしょうか

H-HIRO SHOPは土日だけだったのですが、お店にお客さんも来るようになったので毎日開けれるようなショップがあったらいいなって。
J-そういう話をHIROとしていて、自分もHIROを見ていて自分で作ったものは自分でお客さんに届けた方がいいのかなって思ったんです。

―大分今更ですね。ブランド始めてからかなり経っていますよね

J-そうですね。何をやるにも時間がかかるんです(笑)。大体俺何歳か知っていますよね?もう10年くらいブランドやってるけど、一人じゃ全然気付かない。なにをするにも遅いんですよ。

―一人でやるという考えはなかったんですか

J-やる気がないというかそういうことは考えたこともない。実際にやることになったのは事故みたいなもので家を決めるのと一緒で内見して「あ、いいかも」って。

―でもまずなんで物件を見に行こうと思ったんですか

J-それは単純に友人がその近くでアトリエの物件を探していて、「いい物件あるんですよ」って連絡をくれて。
H-それで行ってみたら結構良くて。広いし、条件も良かったので、(見に行った)次の日に契約しに行ったんです。
J-だから動機とかもなくて・・。それ見に行ったのも1カ月ちょっと前くらいで。
H-初期衝動みたいなものですね。「じゃ、やろう」って。
今のHIRO SHOPは原宿といっても奥まった場所にある。僕が良いと思ったのは(今度の場所は)原宿の中でも恥ずかしいくらいのど真ん中にあるということ。あえて感というかそういうところでやることによって「逃げ場なくそうかな」みたいな。

―ということは場所が見つかったから2人でやろうということなんですね

J-ぼんやり「やりたいね」とは言ってたけど特に動いていたわけではなかった。
H-その前の週に現実的に一回探しに行き、不動産屋に電話をかけたりもしました。でも条件が全く合わなかった。それで「無いな」って。でもそのすぐ後に丁度良い広さのところが見つかっらんです。

―やるなら原宿というのは決めていたんですか

H-原宿ですね

―折角HIRO SHOPを続けてお客さんにも認識されたと思うし、あの場所で固定ファンも得たと思いますが新しい場所で、新しい人とやることに対して不安ってないんですか

H-そこは前向きに考えていますね。自分と入江さんの服って好きな人しか結局買わない。だから探してでも来る。
HIRO SHOPを土日だけやっていて最初は暇だったけど今は本当に人がたくさん来てくれるようになって並ぶくらいにまでになった。根拠はないけど看板ないし、あんなマンションの一室でこれだけたくさんの人が来てくれるんだったら「いけるんじゃないか」って無駄な自信があって。それで「勝負欠けてみようかな」って思ったんです。
今までよりもっと条件が良くなるし、スペースもHIRO SHOPの6倍くらいだし、毎日開けれる。いいことづくめだと思うんです。

―それでJuvenileはその人気に便乗しようと

J-そうですね(笑)。今までのHIROSHOPのお客さんには絶対に見てもらえるので。
H-でも新しく場所がそこに移るので、また新しい人が来てくれるはずです。
J-新しいお客さんも来るだろうし、僕等のブランドって似ている部分もあるし、違う部分も結構あるから化学反応が起こるかもしれない。基本はHIROのバーター(抱き合わせ)でいいんですけどね。

―店舗名「Honey’s Dead」という名前の由来はなんですか

H-僕はネーミングセンスがないから入江さん任せです。
J-それは完全に思いつきなんですけど最初から「Honey良いよな」って思っていたんです。「Honey’s Dead」という名前はジザメリ(The Jesus and Mary Chain)のアルバムのタイトルから取っているんですけど、Honeyという言葉からジザメリの「Just Like Honey」という曲からジサメリを思い出してそこから「Honey’s Dead」いいなって。自分の中でHIROの服の印象がジザメリっぽいと思ってたのでそれでいいかなって。とにかくハニーという言葉を入れたかっただけです。

―とにかく何もかも計画的ではないということですね

J-その通りです。完全に事故のようなものです。のりに近いというか。物件を見に行った次の日にHIROから電話があって「ハンコ用意してくれ」って。「やる気だこいつ。じゃーついていきますよ。」って。
実際HIROの服見て自分の服を見てくれる人もたくさんいるし、自分自身HIROの服が好きだし、一緒にやれるのは楽しいし、それに本当に長いこと友達をやっているし、ストレスなくやることが出来るのはHIROだけだろうなって。

―そこからオープンまでの期間は

J-一か月ないですね。だから展示会期間中も終わった後に毎晩2人でペンキを塗りに行ってる状態でしたね。

―内装は全部自分達でやったんですか

H-下地はカンナビスレディースなどをやった「くるみ」の松井さんと言う方にお願いして床にモルタルを引き鉄パイプを通してもらっています。お店のイメージは“精神病院”です。
J-最初から壁は白に塗ってあったのでそこはしなくてよかったんですけど少し壊した感じですね。窓枠も壊して。
H-廃墟っぽいベースでクリーンな感じというか。
J-もともとは家を壊して店舗にしていたので家感が凄くあってそれはなくしたいなって。
名前が「Honey’s Dead」なので直訳すると「彼女が死んじゃった」ということになる。それでべたな方がいいかと思いベッドがあった方がいいんじゃないかって。だからHIROに「ベッド買え」って言って買ってもらいました。俺は金ないけど「これいいんじゃない」って。

―そこは2人でシェアじゃないんですね

J-基本はシェアなんですけど。まーのりです。
とにかく何も決めずにスタートしたけど楽しくしたいなってそれだけです。

―販売スタッフはどうやって探したんですか

H-HIROSHOPからの継続でまつりちゃんとガッキ―にはお店に立ってもらい、それ以外に2人雇います。一人は広島県でHIROとJUVENILEを扱っているSolomonGrundyというお店で何年も働いていたゆうやという子です。彼は何年も僕等の服を見ているし接客が凄く良いからお願いしました。もう一人は面接しましたね。
J-も一人は俺のことには一切興味無くて「HIROさんお願いします」みたいな子です。
H-そんなことはないんですけど入江さんがOK出してくれたんで安心して大丈夫だって思いました。
J-「お前のところに来ているんだから決めろよ」って言ったんだけど「入江さん決めてください」って言うんで。募集してきたわけではないんですけどもともとHIRO SHOPで働きたかったようで。「ここまで来てるんだからとりあえず働かせればいいでしょ」って。

―服のラインナップは二人ともフルコレクションになるんですよね。それ以外にここだけの限定アイテム等はあるんですか

H-そうですね。それプラス僕の方は引き続きPOTTOやYEAH RIGHT!!, bodysong. , BALMUNG, runurunu,CHRISTIAN DADA などのブランドのコラボレーション。コラボレーションものは他にはおいてない、ここだけのものになります。
J-コラボレーションもありつつ結局HIROの服を買ってく人が多いと思いますけどね。
H-いやそんなことないですよ。
J-え、心配になってきた(笑)。
H-実際HIROの商品も他のお店とは違う商品を並べていたりするから結局どこにもないものが多い。一点もののリメイク等も次からはもっと作っていきたいと思っています。
J-僕は面倒くさいんで通常のものだけで(笑)。
H-原宿だけでHIROを扱ってくれているお店は何店舗もある。それってちょっと不思議な感覚。それで“ここだけにしかないもの”と考えると例えば(BALMUNGの)HACHIとか仲良いし「お店の為になんか作ってもらおう」ってなる。それがHIRO SHOPになったんです。
J-Juvenileはそんなに他のお店に置いてないんで大丈夫です。オリジナリティがあるものを置きます。

―HIRO SHOPでは当初デザイナーのHIROさん自ら接客していたりもしていましたが「HONEY’S DEAD」ではデザイナー自ら接客したりということはあるんでしょうか

J-基本はお店のスタッフがいるので立ちませんが毎日暇なので行くと思います。普段本当に原宿とか来ることがないのでお店が出来ることによって行く理由が出来たなって。
H-お店があると「こういう子が服着ているんだ」というのもわかるし楽しいですね。

―お店が出来ることによって作るものも変わるかもしれないですね

J-それは絶対にあると思いますね。服をやっていても置くお店によって無意識のうちにデザインは変わってくる。意識して無くてもそのお店に好かれようと思ってデザインに反映される部分は絶対にあると思うんです。それがある時そのバイヤーが辞めて取り扱いが無くなったら「好きにやっちゃえ」ってなるんですけどね。お店があることでデザインも変わっていくと思うので自分でもそれを楽しめたらと思います。

―入江さんサイズの1サイズ展開からのサイズ展開の広がりも期待できますかね

J-基本的には変わらないと思いますが売れるなら増やすかもしれないですね(笑)。サンプル無駄になるから自分で着れた方がいいし。
H-でも昔はたくさんサイズ展開あったんですけどね。
J-その最終形態が自分サイズのみなんです。

J-まー全て無計画だけど結果的に楽しめるならそれでいいかなって。
H-無計画だけど先にそうやって持つと小回りが利くようになると思うんです。

―そこまでお互いに無計画で喧嘩にはならないんですか

JH-ならないですね。
J-喧嘩しているのかもしれないけど自分達ではわかりません。服では喧嘩していると思うけど。「こうくるか。格好良いな、こいつ」って。でもそれはしょうがない。「結局やっぱり俺この店バーターかよ」という気分を味わうのも良いと思っている。とにかくお店やることを急に決めたんで在庫を作って無かったんですよ。だから始めるけど服がないから今慌ててTシャツ作っていますね。だからカオスです。

―オープンは28日ゴールデンウイークの初日ですね。ゴールデンウイーク期間中は2人がお店に立っていたりするんですか

JH-います。
J-スタッフが売ってそいつの手柄になるくらいなら自分で売ります。でも自分の服を売るのは恥ずかしいので人の服を売ります。
H-ゴールデンウイーク期間中は全員体制で2人とも毎日いると思いますので是非遊びに来てください。

【HONEY’S DEAD】
東京都渋谷区神宮前3-20-10 すぎがらビル2F
Opening Reception:4月28日 午後8時~午後10時

Interview & Text:Masaki Takida

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