Interview

CREATIVE DIRECTOR Etsuko Yoneyama 2/5

可愛いんだけど世の中を風刺しているような感じ。どこか小馬鹿にしている。そういう女性像。女の人にはしたたかな部分が誰しもある。それは物心ついた時から女の子の中にあるんです

→CREATIVE DIRECTOR Etsuko Yoneyama 1/5

―Lamp harajukuという名前はどうやって決めたんですか?

元々はランプという名前のお店を(H.P.FRANCE)代表の村松がラフォーレ原宿でやっていたんです。
そこはなくなったけどその後にサンシャインや渋谷のパルコ等色んなところにランプは存在していました。

ここの場所が良かったというよりはその頃会社で路面点がこの場所とH.P. DECOしかなかったので特にこだわりはなかったのですが私が路面店をやりたかった、世界観を作りたいということでやらせて欲しいとお願いしこの場所を引き継ぎました。
名前を変えても良かったのですがなんとなく引け目がありランプの名前も引き継いで。
当時はここ以外にもランプがあったのですがこの場所を一番良いランプにしようと思い「Lamp harajuku」と名前をつけたんです。その後結局他のランプはなくなりここのランプが残ったんです。

―他のランプとLamp harajukuの違いってなんだったんですか?

全く違うものです。最初は社内的にもややこしいとか名前を変えた方がいいとも言われました。でも私の心の中では良いもの、強いものが残ると思っていたのでそんなことは関係ない、信じてやれば良いと思っていました。

―店舗作りは最初から自由にやらせてもらえたのでしょうか?

最初は「こういう風にして欲しい」、「ああいう風にして欲しい」というのが色々ありましたが私の中で排除していった感じです。少し取り入れた部分もあったのですがその当時自分で折角路面店をやれるようになり、自分の世界観をつくれるのであれば、自分の想い描いているものを形にしたいという想いが強かったですので外からの助言をあまり受け入れることができなかったんです。

―なぜ路面店をやりたかったのでしょうか?

路面店の方が世界観が作りやすくて自由だからです。植物もすぐに取り入れたのですが植物も育てられるし、小鳥も飼っていました。それに入り口も結構いじりました。そうやって色々と世界観作りが出来るのはやっぱり路面店の強みですので。

―最初から明確な店作りのコンセプトがあったんですか?

コンセプトはオープン当初から変わらずチェコスロバキアの映画”ひなぎく”の世界観です。それをイメージのお店にしていこうと。

―ひなぎくの世界観とは具体的にどんなイメージなのでしょうか?

可愛いんだけど世の中を風刺しているような感じ。どこか小馬鹿にしている。チェコはその当時内戦が起きていたのですが女の子が可愛い格好をしながら男の子をだましつつ、自分の好きな物を買ってもらったり、好きなものを食べさせたりしてもらいながらはちゃめちゃになっていく。そういう女性像です。
女の人にはしたたかな部分が誰しもある。それは物心ついた時から女の子の中にあるんです。

―僕の中ではそういう女の子とLamp harajukuの女性像は真逆なのかなと思っていました。純粋無垢な可愛い女の子っていう女性像をイメージしていました。

ひなぎくも表面的には美しい感じの映像で始まるんです。お花畑でふわふわしているレースの洋服を着たり。でも男の人からの電話での誘いでも内心は笑ったりしながら応えている。女性の中には誰しもある2面性。でも外面は奇麗な可愛い女の子です。

かわいい女の子といってもコスプレぽい服装や、ピンクハウスとかのお姫様ではなくもう少し現実に近い女の子、でも現実すぎないような女性の感じがあると言われますがそれは意識しています。
現実的すぎず非現実的な、ファンタジーを魅せ続けるお店でいたいと思っています。

―男からしたらLamp harajukuに行くということは女子校に一人で入っていくような感じかもしれません。それくらい入りづらい場所だと思います。

2階ができた当時は下着とかもあったりしたので尚更男の子は難しかったと思います。
ただそこからランプもどんどん変わってきました。

―オープン当初と今の店はどのように変わっていったんでしょうか?

最初はベッドもおいていましたし、内装も全然変わりました。ライトも店舗用に作ってもらったお花のライトを使っていました。
当初からずっと毒とメルヘンを共存させたかったのですがなかなかうまく表現出来ませんでした。“かわいい”は比較的簡単に形に出来たのですが毒はなかなか難しい。毒を見せるには自分を吐き出さなければいけないんです。私は人見知りというか、自分の内面をみせるのは恥ずかしかった、それがなかなか出来なかったんです。でも2階が出来て少しずつそういうものを見せれるようになっていきました。

―お店を変えていくこと、変わっていくことに抵抗はなかったんですか?

変えるというよりは元々のコンセプト、自分のやりたかったことをもっと忠実に出していこうという感じでしたのでそれはありません。それにブランドは増えたり減ったりしていますが核となるブランドは当初から全然変わっていないんです。mina perhonenにPetit Costume(Yab-Yum)やChausserだったり。minaは直営店はありますがここにおいてあるというのも浸透していますしブランド的にもお店にはまっているんだと思います。
でもmagmaが入って来たことによって女性のフェミニンさだけでない変な毒々しさとファンタジーが加わりました。そういう感じで変わっていったというよりは忠実に世界観を表現していこうとしていった結果なんです。最初はフェミニンだけだったんですけど12年前にやりたかった、思い描いていたことをようやく今少しずつ形に出来ています。

意識して変えていこうと思った時期は4、5年前に一度ありました。ランプは森ガールの代表的な場所と言われて。ここはふわふわしていたくて何系かカテゴリー化されないようしようと常に思っていますのでそういわれた時に本来のコンセプトを見直しブランドを整理したりもしました。私がやりたいのはそれじゃないしランプはそうであってはいけない。トレンドになるものはすぐにみんなが飽きてしまう。とにかくそこにはまりそうではまらない存在でいたい。そこをすりぬけている。スタイルとしてはカテゴライズされない。売り上げは落ちたとしても2、3年先を見ないといけない。このままだと同じようなお店が増えてくる。その中の一つにはなってはいけない。東京の原宿という場所で存在していくにはオリジナリティーが常にないとお客さまは飽きてしまうと思うんです。ふわふわしていたいんです。つかみそうでつかめない。そこに存在しているんだけど存在していないような感じ。まさにsinaの有本さんの世界観はそういったコンセプトに当てはまるんです。

大きく10年間で何を変えてきたというよりかはとにかく真ん中にならないように、カテゴライズされないようにしてきました。あまのじゃくではないですけど。でも存在、認知としては圧倒的なところまでいきたいです。絶対的な感じというか。

―最初からブランドのセレクトは米山さんが一人でやっていたんですか?

最初は一人です。今は2年前くらいから板東というアシスタントがいます。私がブランドのディレクションをして彼女がバイイングをしています。

―Lamp harajukuでの取り扱いはやはり女性デザイナーが多いんですか?

Petit Costume, mina perhonen, magma, Cosmic Wonder, Keisuke Kanda…..意外かもしれませんが男性デザイナーも凄く多いです。
女性デザイナーより寧ろ男性デザイナーの方がロマンチック、ファンタジーの色が強いのかもしれません。リアルではないですので。もうちょっと女性デザイナーの方が着るものとしてリアルなものを提案する傾向にあると思います。

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