Interview

CONTRARIANT

衣食住の”衣”におけるジェンダーへの疑問から、メンズとレディースの枠組みを超えた人のためのカテゴリー「Hu’s」を設けて提案してきた”CONTRARIANT”。今シーズン13A/Wより性別を問わないスタンスは残しながらもレディース、ボディー、アティチュードと設定し新たな展開をスタートした。
10月30日(水)からは大阪タカシマヤにてCONTRARIANT初となるポップアップショップを3階中央エスカレーター横特設コーナーにて開催する(proefと同時開催)。

―ファッションに興味を持ち始めたのはいつ頃ですか。またきっかけは何だったのでしょうか?

きっかけを話すとなるとかなり遡って話さないと、すごく薄っぺらなものになってしまう気がするので、長くなるんですけど。
好きになったきっかけとブランドを始めたきっかけは同じ位置にあって。
こどもの時の感情というのが大部分を占めていると思います。
小さい時から妹ばかりがおしゃれをしている。
そこに疑問、というほど大げさではないのですが、一種の違和感を少なからず感じていました。
僕にはフィギュアとか戦隊ものおもちゃばかり買い与えられてて。おかげでそれはそれで今でもすごく好きなんですけど。
それと同じように、いやフィギュアは自分で選べたけど、服に関しては買い与えられた服を着ていました。
ミキハウスとか。今の僕からは想像出来ない原色の多い幼少期でした。
親からしたら男の子だしおもちゃの方が喜んでいるという感覚ですよね。現に喜んでもいましたし。
比較的、小中高と女友達は多い方で。小学校の高学年では女の子といる時間の方が多くて、楽しくて。かわいいもの。に興味を持っていました。
そこでみんな言うんです。かわいいでしょ。きれいでしょ。って。比較的女の子の方が大人になることに興味を持つのが早いのか、ませてる子が多くて。
で、その時の僕から見たら、僕が興味を持っている事に対してみんな素直なんですよね。だから小学校高学年の時は外見でとか、内面でとかでなく、女の子になりたいと本気で思っていた時期もありました。自分が欲しいと言っても違和感のないもの、たとえば女の子が洋服がかわいい、ほしいと言っても違和感はなく。まあ男の子がそう言っても違和感はなかったんでしょうけど。そういう事に、僕自身の興味のあるものに対しての自由をもっているなと感じていた、という意味でね。でもそれは今思えば自分に素直になる勇気がなかっただけなんですけどね。
けど実際にそう素直になれたのはすごく遅くて、正確には中学3年生の時に初めて友達とA BATHING APE、いわゆるエイプを買いに行った時。
当時お店に入るのに1時間も2時間も並んで。そういったドキドキしながら服を買うというのはそれがたぶん初めての買い物でしたね。
あ、こんなに服を買うの、服を選ぶのって楽しいんだ。っていうわくわくを感じる事が出来たのがファッションを好きになったきっかけですね。

―CONTRARIANTのコンセプトは「STYLE IS AN ATTITUDE .」ですが、東丸さんが追求する態度や立ち振る舞いはどのようなものですか?

態度ってほんと人それぞれの生き方というか、生きてきたみちのりとか、そのもので、すごくなまめかしいものだと思うんです。
で、そこに対して、人や土地、環境であったり、色々なものが絡み合って。外からの要因いわゆる外的要因が多く混在して形成されるもの。
その要因の一つになりたい。という訳では正直なくて。
なので、こうありたい人の為に。というブランドではないんですよね。
本当はこうありたい人の為にというようにターゲットを明確にすべきですし、その方がブランディング的にも方向性を見出しやすいんですけど。
CONTRARIANTとしてはCONTRARIANTの服が外的要因の一つとなった場合、内面、そして態度にどのような影響があらまれますか?という問いかけるものでありたいと思っています。

もちろん、シーズンごとに大まかなテーマはもってデザインはしているので、何となくの態度と言うか、要因を定めてはいます。
例えば今回の13AW「hello good-bye」でいうと、ビートルズの同名曲からきているのですが、歌詞にもあるように二人の掛け合いが相反する答えをしていく。一方がYesと言えば、もう一方はNoという。というように。
なんでもそうだと思うんですけど、デザインでも相反する要因が重要だと僕は思っていて。
よくCONTRARIANTの意味を聞かれると、自分の性格でもある「あまのじゃく」だと答えているんです。本当にそう思って付けたのでうそではないんですけど、実際はそこにもう一つの意味というか、さっきも言った「相反する要因」というものが重要だと思っているからその意味も込めて付けてるんです。
で、話を戻すと先シーズンあたりから今シーズン13AWからCONTRARIANTのあり方を変えようと思っていて、その時ずっと考えていたCONTRARIANTを変えていく時はビートルズのこの曲を原点にと思っていて。ビートルズもこの曲から外見も音楽性もそれまでのモノとはがらっと変わった時期で、その意味をこの曲に感じる事が出来たので、この曲をテーマに「相反する二つの要因」をテーマにしようと。
で、もちろん、タイトルの如く、今までのCONTRARIANTにさようなら。これからのCONTRARIANTにこんにちは。という意味も込められています。

―これまでに制作において最も大きな影響を受けてきたもの、場所等は何ですか?

すべてです。
僕は一般社会での実務経験があるわけではないのでどのようにしたらいいのか、という何においても0のところから全て自分で知る必要がありましたから。なので、ブランドを始めるにあたって、ある方に、何でも自分一人で出来ると思っているでしょ。って言われた時は図星もあってすごく情けなかったですね。それから新しく物事を始めるには新しい出会いをと、色々な人に出会ったり、学んだりして。
0ということを知っている、0地点が自分の中にあるっていうことをすごく大切に感じています。
ただ、僕の場合、感情の面ですごく外からの影響を受けやすいとか感じた事はほとんどなかったのですが、私生活で結婚した事はすごく影響してますね。もの受け捉え方が変わったというか。
もちろん、その事がいいのか悪いのかは今後分かる事だと思うのですが、僕はいい事だと思っています。

―気に入っている素材や技法はありますか?

ブランドを始めてすぐあたりに出会った和紙の素材には色々と考えさせられましたね。特別珍しくもなくなった生地ではあるんですけど、ちょうど3.11の震災直後で。そういう時期に出会ったということでより一層、素材、デザインにおいて自分自身に何が出来るのか考えさせられた生地です。

―大阪モード学園を卒業後、ロンドンのセントラル・セント・マーチンズではファイン・アートを専攻されていましたがそこでどのような発見がありましたか?

初めてのデッサンの授業がいきなりヌードデッサンだったのですが、僕は普通にただ見えるままを素直に描いていたんですけど、他の学生は骨格、骨そのものを描いていたり、筋肉の筋だけだったり、円だけで描いていたりと、ほんと様々な捉え方をしていた事が、上手い、下手ということではなく、すごく新鮮でした。
ものの見方、捉え方を真正面からだけでなく、多方面、それこそ見えない部分にあるものをどう汲み取るか、そこが自分にはどのように見えるか、また、自分の作品においてはそこがどのように伝わるのかという事を明確に出来るか、その為にどういった手段をとるのかを考えさせられた時期でした。

―メンズとレディースの枠組みを超えた人のためのカテゴリー「Hu’s」を設けて提案してきましたが、2013年秋冬コレクションよりレディース、ボディー、アティチュードとして展開するに至ったきっかけは何だったのでしょうか?

とても自然な流れだったと思います。
僕はもともと人の頭の中の、ある固定概念を無くしたかったんです。
例えばジルスチュアートみたいな可愛らしいブランドに僕のような「男」が行くと必ずプレゼントですか?と聞かれる。そういった固定概念をなくす手段として中間になるカテゴリーがある事で少しは変わるんじゃないかなと思いHu’sと謳っていました。
もちろん、ユニセックスっていうカテゴリーがある事は分かっていました。ただ僕はその言葉が嫌いで。ちゃんとそこと区分けしたかったこともあり、男女の骨格の違い、筋肉のつき方、そういったものもしっかり学んだ上で、デザイン、パターンに落としこんでいました。
ただ、その固定概念の事を突き詰めるとそれは僕が出来ることではないなって、ブランドを継続するにつれ感じていたんです。ユニクロとかマスに向けて発信しているブランドでそういった行動を起こさないとみんなの頭の中にある枷はとれない、って。
それに自分がコアターゲットとしている人達はそんなカテゴリー作らずとも自由にあそんでいる、って。色々な枷がある事でファッションって楽しかったのにその枷を奪うことって本当に僕がファッションに感じていた自由なのかなって。

―今後の目標をお聞かせください

自分の気持ちに素直なデザインでCONTRARIANTを継続させることですね。
もちろんその過程でパリ、ロンドン、ニューヨーク、海外にはCONTRARIANTとしていきたいです。いきたいと言ってる時点ではいけないと分かっているんですけど。
でもそれよりも、発信の場、発表の場、云々よりも、見続けていきたいです。CONTRARIANTが外的要因となった際のみんなの心、態度の変化を。

HP:http://contrariant.jp/

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