YEAH RIGHT!!河村氏の提案により10A/Wからスタートした”COMMON SLEEVE”。”COMMON”とは”共有”を意味し、袖がファスナーで着脱できることによってCOMMON SLEEVEが採用されている服の間で袖が交換(共有)できるシステム。シーズン、素材、アイテムは勿論のこと様々なブランドが展開することでブランドの枠組みを越えた自由なMIXが楽しむことが出来る。
→COMMON SLEEVE
今回はこの”COMMON SLEEVE”を広く知ってもらいたいとの想いから、発案者であるYEAH RIGHT!!河村氏と、その想いに共感したJUVENILE HALL ROLLCALL 入江氏の対談が実現。COMMON SLEEVEの話を中心に様々な話を聞いた。
―まずCOMMON SLEEVEという企画を始めようと思った経緯について教えてください
YEAH RIGHT!!河村(以下K):僕らのブランドは元々リメイクを多くやっているのですがデザインとして袖だけ変えるということを多くやっていた。だから「これって袖だけ外して後で他のモノと変えられてもいいんじゃない?」と考えたのがそもそもの発端です。
今ってシーズンが終わると折角買った洋服をオークション等で売ったりして、その売ったお金でまた新しいものを買うっていう人たちもたくさんいる。でもそういうのがデザイナーとして悲しいなって思ったんです。
Common Sleeveをやることによって前に買った洋服もまた引っ張りだして着るという目的を作れるかなと思ったんです。だから最初はブランドを超えてやるということは考えていなかった。それで自分たちだけでブランドで定番で出しているアイテムをCOMMON SLEEVEに置き換えて10 A/Wから始めました。
でもやった結果「他のブランドさんにも声をかけてやってもらえればもっと広がるのかな」って。特に地方等は取り扱うブランドが固まってきたりしている傾向がある。だから他のブランドさんとやることによって地方のバイヤーさんが喜んでくれるのかなっていうのもあったんです。
JUVENILE HALL ROLL CALL入江(以下I):お客さんやバイヤーさんも楽しめるしね。
ただ僕の最初の勝手な印象だとCOMMON SLEEVEは既視感があった。もっと前からやっていると思っていました。
K:それ以前から袖だけ違うというデザインはYEAH RIGHT!!でよくやっていたのでそう感じたのかなと思います。
Common Sleeveは最初はうちのブランドだけで始めて1シーズン、次の11S/SはNOZOMI ISHIGUROさんとANREALAGEさんにお願いして1型ずつだけなのですがやってもらいました。「今そういうことを広めているんです」みたいに大々的にやろうとは思っていなかったので本当にそっと声をかけてそっとやってもらってみたいな感じでした。それで11A/Wはもう少し他のブランドさんにも声をかけて最終的に8ブランドに参加してもらいました。
―なぜ最初に声をかけたのがその2つのブランドだったんですか
K:正直声をかけやすかったというのはありますね。考え方自体は石黒さんも理解をしてくれて一回だけはやってくれました。次もやってもらいたかったのですがCOMMON SLEEVEにはファスナー寸法等の規定があるので「完全に自由なクリエイションではなくなってしまうので出来ない」と断られてしまいました。それにデザイナー同士の横の繋がりみたいのが出来すぎてしまうとみたいなことも言われた。それが良い方向に向かえば良いけどただだれるだけでは駄目。それは凄く理解出来る。ただ今後も継続してお願いしていこうと思っています。
COMMON SLEEVEだから売るということではない。継続的にいろんなブランドがその一部としてCOMMON SLEEVEをやっていければいいなって。
I:僕が河村君からCOMMON SLEEVEの話を初めにもらった時は正直少し囲い込みみたいな気はしていた。それをやっているブランド達だけが嬉しそうに楽しそうにやっているように見えるのが嫌だなって正直僕は思った。でも河村君と話をしていたら「ゆくゆくは学生とかにも服を預けて作ってもらえるようになったら面白いじゃないですか」ってことを言うから「なんて面白いことを言うんだ」ってことですぐこの企画に乗っかりました。
—確かに正直今回のCOMMON SLEEVEに参加しているブランドをみると凄く内輪な感じ、仲良いブランドに声をかけてやってもらっているんだろうなって思っていました
I:ブランドのリストを見ればそう感じてしまうのもあり得ること。でも僕自身それは凄く嫌、だからこそそうならないようにしていきたいと思っている。僕は河村君の意見に凄く賛成で例えば仲間内だけでやっていて「あいつ気に入らないからいれたくない」とか「あいつは俺は嫌だ」とかそういうのにはしたくない。COMMONって言葉は共有という意味で、カスタムじゃないけどみんなで共有するという意味。そこで「気にいらないから入れない」となると趣旨と違うんじゃないかって話になりますよね。ブランドを囲い込んでJUVENILEとYEAH RIHGT!!のお客さんだけが喜べばいいってことではない、そういう感覚を知ったときに始めてCOMMON SLEEVEは良いなって思えてきた。だからそれを広めていきたい。
—内輪だけだと凄く表層的なファッションに感じてしまう
I:そこを今回話すことでCOMMON SLEEVEの本当の意図というのが少しでも伝われば良いなって思っています。
K:今はまだ参加しているブランド数が少ないですし僕が直接「やりませんか?」って声をかけているブランドがほとんど。でも友達の輪じゃないですけど例えば入江さんが僕を通さなくても「誰かやらない?」って声をかけてその輪がどんどん広がっていってという感じでも良いと思っています。
—Common Sleeveをやることに規制は設けないのですか
K:買う人がミックスしたくなればいいのであって、そこに僕の主張、趣向が入ってはいけないと思うんです。
I:好き嫌いで判断していたらCOMMONという理念からずれてきてしまう。そうじゃなくてブランド側に預けて買ってくれる子が楽しむということが大事なんです。
—今はメンズだけですが例えばレディースブランドが参加する可能性はありますか
I:僕はレディースブランドにも参加して欲しいと思っているし、正直SUPREMEやStussyとも一緒にやれたら良いと思っている。勿論寸法に限りがあるのでデザインは限られてくるところもあるけど。
—時代によって袖の大きさも多少変化してくると思うのですがそこは変えられないですよね
I:袖の大きさ自体は変えられないですね。
K:ただ時代によってコートだったり、シャツだったりというのは出来ます。
僕は結果を早く求めたくないというかCOMMON SLEEVEという企画で大々的に打ち出してそれを充満させる、そういうのを狙ってやるよりも作る人ベースで浸透させていきたいって思っている。気づいたら「定番になっちゃった」じゃないけどそのくらいでいいんじゃないかなって。だから展示会の品番でほんとに1型、2型ずつでもいいから継続してやっていけるようになればいいのかなって思うんです。
I:僕自身Common Sleeveの今後の広がりにも期待できているし、期待したいと思っています。
K:Common Sleeveをやるということが作る側にとってなるべく負担にしたくない。だから負担といえばファスナーの寸法くらいでアイテムも素材も限定はしない。COMMON SLEEVEというのはブランドじゃないからダブルネームとは違うんじゃないのかなって思っている。買った人が最後に好きなように合わせればいい。作る側はブランド側で完結している。だからネームバリューを狙ったWネームとも違う発想なのかなって。
続く