Fashion Show

ROBERT GELLER

ROBERT GELLER AW2016 コレクション”The Grey Men”は、幼い頃のデザイナーに衝撃を与えた児童⽂学に登場する”灰⾊の男“から着想を得ている。
 
灰⾊の男が出てくる物語『モモ』は70 年代にドイツの作家 ミヒャエル・エンデによって書かれた、お⾦持ちのエリートによって⽀配されるグローバル社会を描いた現代のおとぎ話。
その中の主⼈公であるモモという名前の少⼥が、遊び友達や⼤⼈の友⼈が次々と時間銀⾏の銀⾏家のような灰⾊の男が⽀配する、時間貯蓄のみが評価されるような資本主義を意図する企業世界へ拐われていくのを⾒て、時間の価値を取り戻していく。
その両者がROBERT GELLER AW2016 のコレクションに現れている。パンク要素、レザージャケット、ブラックウールコートにセットのハット、ナローパンツ、スタッズ付きブリーフケースはその”銀⾏家”にエッジ、時にはミリタリーテイストを加え、⼩説で表現された厳格さ、冷静さを正確に映し出し、灰⾊の男のビジネス⽤の⾝なりを解釈し表現した。 エンザイムウォッシュされた光沢感のあるヴェルベットようなメタリックカラーが多種多様なブラックを引き⽴てる。
⼀⽅、無邪気で⼦どものような遊び⼼があるモモのキャラクターは、⾚錆⾊からパープル、⻩緑といった幅広いカラーパレットで表現されている。
シルエットは、ワイドコートやケープのような80 年代の優雅さを彷彿させ、無機的な灰⾊の男とは対照的に、有機的なプリント柄を使⽤した。
襟やコート全体に及ぶ巧みな刺繍は、創作する時間の贅沢さという概念を呼び起こし、芸術作品または⾐服の制作に費やした時間、⽇にちによってそれがどれだけ貴重か判断されることが多々ある。
 
今シーズンは⽇本のインダストリアルブランド、ADACHISHIKI とのスタッズスーツケース、靴はCommon Projects とコラボレーションし、グレイとブルーのチェルシーブーツ、ブラックとサンドカラーのダービーシューズを発表した。


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