Interview

Candy 後篇

お洋服に対して貪欲になってほしいし、もっと楽しんで欲しいし、コーディネートも楽しんで欲しいし、感受性が豊かになってくれたらなって思いますね

-東京コレクションは見たりしますか

たくさんは行かないですが何個か見たりはしますね。

-実際に見た感想を教えてください

全体的に盛り上がっていないから気分も上がらないですね。各デザイナーさんの服どうのこうのというより単純にノリだったり、変に敷居の高さだったりそれに対しては不満というか、もっとオープンになればいいと思いますね。服飾の学生たちも全然いなかったし行きたいという人もいなかったし、知らなかった人もいたのでそれはびっくりしましたね。東京、日本にいたらまずは目指すところって一番近いところって東京コレクションのはずなのにそれを知らなかったというのはちょっと・・・。

-東京コレクションで気になるブランドはありますか

すぐに思い浮かばないので無いのだと思います。

-では海外ではどうでしょう

これをみんなに教えたいなっていうブランドはたくさんありますね。そういうブランドはお店で紹介できたらと思っています。

-どこの都市のコレクションが面白いと思いますか

個人的にはロンドンのブランドが好きなのでロンドンのコレクションに興味があります。ここ1、2年なんですがアムステルダムのコレクションにも注目しています。

-そういう情報はどこから入手しているのでしょうか

基本はインターネットが多いです。ネットで気になる名前を見つけてそこから飛んでみたいな。若手のデザイナーさんてアクセサリーだけ使われたりとか多いじゃないですか。だからスタイリングを見てる時に「あ、アクセサリー可愛いな。どこのだろう」って見てるときに新しいブランドを知ったりとかありますね。

-前回パリコレクションに行かれたようですがそこで感じたことはありますか

パリに行ったのは2回目で街並み自体が全然違うんで自分の気分も違いますよね。展示会回ってたんですが東京の展示会より面白かったですね。コレクションをたくさん回ったわけではないですが東京よりは全然盛り上がっている感はありましたね。

-それはどういうところで感じましたか

学生とかでも普通に並んで待ってるとか、会場から出てくる人を見るだけの人もたくさんいますし、そういうのって東京にはあまり無いので面白かったですね。


-パリには何しに行かれたのですか

買い付けしに行きました。今回は様子見程度でしたが次回からは本格的に買い付けます。

-展示会をメインに回られたようですね

そうですね。向こう行ってモデム(業界用タウンページのようなもの)見て手当たり次第行ったという感じですね。ほとんど他(の店)でやってるところが多かったのでなかなか新しいブランドは無かったですが。

-パリではやはり他がやってないブランドを中心に探したということですか

基本的にはそうですね。よっぽどじゃなければ他がやってるブランドはやらないですね。よっぽどいいのがあれば他がやっていても良いのかなというのもありますけど。

-次からはインポートが増えるとのことですがそれでお店自体のイメージが変わるということはありませんか

良い意味で変わると思います。古着が好きだった人はそう(変わってしまった)思う人もいると思いますし残念がる人もいるかもしれませんが、自分たちもステップアップしていきたいので。自分達の理想の形を追い求めて行きたいというのもありますし。セレクトとかヴィンテージとかそれで分けてないというかファッション感でお店をやっているので根底は古着だろうかセレクトだろうが、自分達の提案は変わってないですね。

-ビンテージはどこで買い付けているのですか

基本はアメリカですね。LAとかサンフランシスコとか。ビンテージとか古着的価値の見方でセレクトはしてなくて単純に新品を買い付ける時と一緒で自分が良いと思ったものをセレクトしています。それぞれ見方が違うと思うのでバイヤーが違えばセレクトするものも変わってはきますね。年代にもこだわってなくてレギュラービンテージでも普通に面白いものだったら買い付けるし、例えばリーバイスの凄い昔のやつでもプレーンなやつであれば僕らは取ってこない。他の古着屋さんであれば「これやばい」と思って取ってくるんでしょうけど。個性だったり、ディテールであったりその洋服に対する面白さですね。「この年代でこの形はやばいよね」とかだったら話は別なんですけど。ブランドを選ぶ感覚と同じ感覚でセレクトしてるので古着のテイストも他のお店と変わってきてしまうのかなと。自分達の中であえてそこを意識しているのというのはないですね。

-3時から11時の営業ということですが

それは自分達が入る前から決まっていたんです。昼間はキッズやサラリーマンばかりなんですが夕方になると人が変わってきてまた夜になるとがらっと変わって朝になるとまた変わって新宿2丁目って面白いですよね。仕事後でもお店に来れますし。

-今の若い世代に伝えたいことはありますか

お洋服に対して貪欲になって欲しいし、もっと楽しんで欲しいし、コーディネートも楽しんで欲しいし、感受性が豊かになってくれたらなって思いますね。自分に合わないものだとすぐに突き放してしまう人が多いからそうじゃなくて「こういう形もあるんだ」とかもっと視野を広げて欲しいというのはありますね。

-自分達がファッションアイコンとしてライフスタイル提案をしていきたいという思いはありますか

それは無いですね。ただ自分がコーディネートを楽しんでいるだけなので。そこを意識してしまったら根底が変わってしまう。それを周りの人が見てどう思うのかというのは特に何もないですし。それで楽しんでくれたらそれでいいと思うし。

-レディースやメンズで区別することはありますか

この街自体がそういう街ですし、リンクさせてるわけではないんですけど自分達もレディースでも着たいと思えば着ますね。あまりそこにこだわりは無いですしレディースメンズで区別はしてないです。レディースのワンピースを買っていく男性のお客さんもいますし、「スカートを履いてみたいんです」という男性もいますし、それはその人なりにファッションを楽しんでいるので。

-海外のブランドも日本ブランド同様アンダーグラウンドが多いようですが一緒に成長していこうという思いは強いのですか

そうですね。例えばそのブランドが大きくなったりしたら逆に自分達がここでやる意味は良い意味でないのかなと思いますね。そうしたらまた新しいブランドを 探してみたいな。日本のブランドももっと探して増やしたいですね。学生の卒業ショーとかももっと行けるようにしたいですね。

-自分達が行くお店ってどういうお店ですか

個人的にはコンセプトがはっきりしていたお店にはよく行っていましたね。ただ最近はあまり行ってないですね。気になるお店はありますけど。「このお店これから何を伝えていきたいんだろう」みたいな。

-メッセージ性は重要ですか

大事だと思いますね。メッセージが無かったら消費されるだけで、ただ置いているだけですよね。消費者にも生産者になって欲しいんですよね。

-最終的なショップのあり方とはなんでしょう

消費者も生産者になるような形が理想ですね。消費して商品を買うじゃないですか、そこからまた自分なりに考えて何かを生み出すとか、生活に活かされて行動してとか、アクションを起こして欲しいですね。

-今の服飾学生に対してメッセージをください

何かあればやっちゃってくださいという感じですね。

-その手助けはするんですか

やり方によっては。応援はしたいですね。

-お店に提案しに来ても構わないということでしょうか

それは全然構わないですね。そういうお店でありたいですし。学生が洋服をプレゼンしに来てくれても構わないですし。簡単にお店に置くということはしませんがちゃんとアドバイスもしますし。先が見えるような洋服であれば「こうしたらいいんじゃない、そうして持ってきて」ということでお店に置くということも考えられます。

-今の世の中に求められるブランドってどういうブランドだと思いますか

ファストファッションへの反発ではないですがHIROさんのアーカイブというかこののりみたいな洋服が求められるというか生きていくんじゃないですか。自分の作りたいものを貫き通した感じというか、ビジネスという思想が入り込んでないというか。

-過去1年の不況で変わったことはありますか

不況は自分達みたいなお店には逆に有利だと思いますね。はっきりと区別しやすくなっていますし。差別化しやすいというか。

-これからのファッションについてどうお考えですか

若い子には頑張って欲しいですね。上の人どうだからということではなくて。やろうとするかしないかじゃないですか。実際やる場所が少ないからやる気持ちがおきないというのはあると思うんですけど無くはないんだし何でもいいからアクションを起こせばいいと思います。例えば彼(Candy伊藤)は服作ってノ リでGAP前でラジカセ手に持ってゲリラショーを行ったんですよ。実際自分は知らなかったんだけどそれ聞いて凄いなって。そういう人も最近はいないですよね。自分たちもここでやってる時点で外れてると言えば外れてるじゃないですか。原宿でやらないであえてこういうとこでやってて。原宿でやればいいと言う人もいますけど別に原宿にこだわってるわけではないですし。原宿のようにいっぱい人が来たら逆に大変ですし。一人一人のお客さんとちゃんと接客して伝えていくということが重要だと思っているので。そういう意味でもこの場所は良いと思っていますね。お客さんといろんな話して、僕らなりに思っていることを伝えて、それプラスデザイナーズも扱っているのでデザイナーさんの思いだったりそういうものを伝えてみたいな。そういう意味では自分らなりの感性というのを伝える部分で古着はあるのかなって。デザイナーは誰かわからないけどみたいな、そういう提案をするのに古着は必要かなって思いますね。自分達の伝えたいデザイ ナーさんだけをやりたいのであればセレクトショップという形になると思うんですけどそうじゃなくて、ファッション全体だったりとかシーンを作り上げてい きたいという思いがあるので古着があるんですよね。

HP – http://www.candy-nippon.com/
Blog – http://candynippon.blogspot.com/



Interview, Text/Masaki Takida, Photography/Takahito Sasaki

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