Interview

BALMUNG 前篇


Candy,Nid, XANADUなど新進気鋭のセレクトショップにて扱われているブランドBALMUNG。「このブランドは自分自身の投影」と自身の成長と共に進化を続けるブランドBALMUNGのデザイナーHachi氏に話を聞いた。

-ブランドを始めたきっかけについて教えてください

渋谷にあったVacancy Clubで置いてもらったのがブランドの始まりです。

-BALMUNGという名前の由来について教えてください

論理的な意味とかはないんですけど単純に自分が好きな世界観というか。BALMUNGというのは神話の中の剣の名前なんですよね。言葉の響きと自分の中でのフィーリングですね。

-ブランド名はいつから決めていたんですか

Vacancy Clubで服を始めるので「名前を考えてよ」って言われて、自分の服を改めて振り返って考え直して自分の服と単純にフィーリングが合いそうな言葉にしたって言う感じですね。

-自分の名前をブランド名にしようとは思いませんでしたか

自分の名前だとまた服の見え方や感じ方が変わると思うので。

-BALMUNGは自分自身の投影であるわけですよね。そう考えると自分の名前をブランド名にしても良いのかなと感じたのですが

今でこそ自分の投影というスタンスは製作スタンスとして考えてたりする部分なんですけどあの時(始めたころは)は単純に作ったものに対して「こんな名前が似合うんじゃないのかな」というのもありましたし。多分自分の本名みたいな名前の付け方は服がシリアスになりすぎるかなという感じがするので。

-BALMUNGのコンセプトを教えてください

人間が生活する場所が都市であって、都市というのは人間の生活する全ての部分の積み重なりというか、色んなカルチャーが積み重なって出来上がっていくものでもあるとおもうんです。その都市、生活環境の中から人間が影響を受けて更に次の物、文化を作り上げて、その文化が都市を作り上げる、相互作用みたいなものに自分自身の興味が惹かれていて。そういう興味のあることから自分自身影響を受けていると思うので自然と反映されてると思いますし、自分自身も服の中に反映させていくというか、自分自身の成長も服の中に含まれていると思うんですけど、もうちょっと表面的な変化がついていく部分というのは都市と人との関係性みたいのを自分自身がどういう風に感じたのかっていうところが大きいと思います。表面に出ない本質的な部分は自分自身の本質的な成長だったりする部分であって、そこは服のテイストとかには関係なくてもうちょっと見えない部分に出てくるとは思うんですけど。

-Candyで働き始める前と後で洋服作りに対する意識などの変化があれば教えてください

Candyで販売だったり、古着の買い付けとかを通してそこで経験して感じたものが明らかに服作りにも反映されていますね。特に古着とか見てるとその瞬間その瞬間での個人的な好みみたいな服も大事な要素としてあると思うんです。もうちょっと大きい視野で、長い目線で見た時にどういうものが長い間価値を 持つというか、その他大勢みたいなものに含まれないで他と差異というか何が別なのかというのをずっと保っていられるのかなというのを古着の買い付けをしている中から服の山から感じたことがたくさんあって。どうしてもはみ出してしまうような個性というか、そういう部分を自分自身もその服が自分の手元を離れてから5年、10年、20年って経ったときに、ただ簡単なキーワードでカテゴライズされるような服にならないような、時代が変わっても強い存在感を放っていられるような服であるというのを服に込めたいというのがあって。自分の存在証明みたいなものなんですけど。

-Candyで働く以前はそれがどうだったんですか

Candyをやる前は悪く言えば一方的な感じの服作りをしていたと思うんです。でもお店を経験してからはコンセプトのところでも言ったように相互効果があって始めてカルチャーが先に進んでいくという考え方に変わりましたね。一方通行だけじゃなくて行っては帰ってくるという相互効果があって始めて想像していた以上の物が出来上がったり、生まれていくものだと思うので。一方的に作っていると想定の範囲内だけで終わってしまうというか。相互効果で自分の知らない第三者に伝わる部分というのがあって誰も予期し得なかった面白いものが生まれたりすると思うんですよね。

-表面的な部分でも何か変化はありましたか

表面的にも多分変わったと思いますね。前よりもう少しディテール的にもミニマルになったかもしれないですね。単純に今興味があるのがミニマルに近いものなのかもしれませんが。考え方の成長なので表面的な部分での変化より内側の部分での変化の方が大きいとは思いますけど。

-お店に立って自分の洋服と接する人達を見て何か感じたことはありますか

意外に自分が想定していた、好んでくれそうな人以外の人も興味を持つ人がいたりして。そういうのを見てると第三者の自分が特定していなかった不特定多数の人の意外な部分での反応というのがあって。「こういうこともあるのか」って考えてることだけじゃなくて現実に見ることでより確信するというか目の当たりにしたという感じですね。

-Hachiさん自身が最初に想定していた(お客さん)人とはどういう人達でしょうか

それはやっぱり自分が見て趣味が合いそうな人ですね。でも実際に全然関係なさそうな人も興味を持ってくれたり、勿論その逆の「この人は気に入ってくれるだろうな」みたいな人が意外に興味を示さなかったり。つまるところ自分ひとりだけで最後(エンドユーザー)まで想像をしたり、決定したり出来ないというのが あるんだなと思いました。

-今強く興味があることを教えてください

今は音楽やアートなど個人的な趣味のものに興味がありますね。皆が全然好きじゃなくても自分は好きみたいなアーティストであったり。以前と違うのは興味がなくても広く含んでいこうみたいな意識はなくなりましたね。多分それは年齢のせいもあるかもしれないんですけど。

-毎シーズンのテーマはどうやって決めているのですか

最初から明確な道順が決っているというのではなくて音楽から端を発する時もあれば、単純に自分が前々からやってみたいと思っていたことがあったりだったり。結構複雑に自分を考えてることが絡んでいるのもあって何からどうというのをクリアーに説明できるわけではないんですけど。ひとつ言えるのは自分が好きなことや興味のあることから発進している感じですね。それをどういう風に感じて、反応を受けてこうしてみようというか。

-毎回同じプロセスで洋服は出来上がっていくのですか

というわけではないですね。自分自身もっと色々勉強しなきゃいけないという部分もありますし、単純に試してみたい部分もありますし。だから今の時点でプロセスを決めて取り組むみたいなのはあまり出来ないですね。

-Hachiさんの作る洋服について詳しく教えてください

自分が作った服を自分で研究して掘り下げていくというのを最近(ここ一年)特に意識していて。影響を受けたという部分ではRick Owensがそういう服作りをしてるなっていうのは物凄く感じています。自分で作ったシルエットや自分で作ったヴォリュームを自分でもう一回作り直してというのをずっと続けていて。大きく見たときに、シルエットや素材の変化ってそんなにないんだけど間違いなく毎回細かい部分で明らかに変わっていて時代の影響 も受けていてというのが見て取れて。自分で自分を洗練させていくという作業をずっとやっててRick本人の影響から自分で自分を創っているので他の人が真似しても到達できない領域になっている。本当のオリジナルってああいう人のことを言うんだなって思うんです。僕自身も誰かのものを真似したいという気持ちは 全然なくて、単純に自分で自分の先を知りたいという好奇心から服を作っている部分も大きいので、そういうもの作りの姿勢は参考にさせていただいてるというか、自分のオリジナルを自分でより深めていくみたいなのはこれからもやっていきたいですね。

-物作りの姿勢以外に他の人の洋服から影響を受けることってありますか

自分の生活してる触れるもの、色んなものから影響を絶対受けてきます。自分が好きなBernhard Willhelmであったりそういう人達からは影響は大なり小なり受けていると思います。そういう人達の物に共鳴してる、共感しているという時点でそもも服に対するルーツみたいなものが自分のルーツと何かしら近い部分があるから反応しているというか。そこは不自然に意識して取っ払う必要は無くてもともと自分の感覚に近いものだったり、共鳴するものを持っている物が反応してくるだけなので自然に影響を受けていいと思うんですよね。だから自然に影響を受けているものってたくさんあると思うんですよね。

続く

2 Responses to “BALMUNG 前篇”

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