Interview

bodysong. 前篇

全ての工程を自身でこなし、「自分の許容範囲を超えるブランド展開は望んでいない」と語り既存のブランドとは一線を画したところで自己表現を続けるブランドbodysong.を手掛ける青木氏に話を聞いた。

-簡単なバックグラウンドを教えてください

ドレスメーカー学院で3年間勉強していました。それ以前はファッションの企業に勤めていたのですがそこでは製作の手伝い、過去のコレクションのアーカイブの整理、お直しなど様々なことを経験させていただきました。ブランドを始めたのは2年程前です。会社を辞めてから物作りをしたいっていう意識が強 くなったというのが大きいです。何かを作りたいという意識が高まったというか。

-それが服だったということですか

そうですね。元々服作りはしていましたので。

-最初は自分でブランドを立ち上げる気というのはなかったのですか

それは全然思って無かったですね。Hachi君(BALMUNG)達に出会って話を聞きつつそういう風に思えたというのも大きいです。元々何かを自分で作 りたいという気持ちはあったのですが。デザイナーをやりたいと思った時期もあったので専門学校に通ったんですけど会社で関わらせてもらってるうちに自分はデザイナーになりたいんじゃないんだというのがはっきりわかりました。自分が憧れてきたデザイナーという存在というのはないんです。形としてのデザイナーしかいないんですよね。それに凄く疑問を感じたというのもあって自分は何かを作りたいと思っていたのでちょっと違うなって。

-ドレスメーカー学院では何を勉強していたんですか

デザイナー科というところでデザインを学んでいました。でも自分はデザイナーになりたいというよりは職人になりたかったんです。

-職人とは

物作りの何かですね。別に服に拘っていたわけではないです。服に対しての思い入れは強いし今はそれを媒体にしてやってるという意識もあります。でも自分はスーパースター気質ではないし性格的にも裏方気質なんです。

-それはあまり前に出たくないということですか

出たくないということではなく出る人間ではないと思っています。なので例えばサブの位置づけにいて裏から動かすそういうタイプなんです。

-bodysong.の名前の由来について教えてください

Bodysongというドキュメンタリー映画があるんですけどそこから名前を取っています。色んな画像をピックアップしてそれを繋ぎ合わせているだけなんですけど人間の面白さや生とか死、そういうものを描いているので当時の自分は凄く影響を受けました。Johnny Greenwood(radiohead)が手がけているサントラにも凄く影響を受けました。洋服作りにおいて音に影響を受けることが大きくて、何かを見るというより感じる部分が大きいんです。生地に触れながらパターンもひかず全部一点物でやっているので。

-閃いたらそれに集中するということですか

そうですね、一つ終わるまでそれを集中的に作ります。

-ブランドのコンセプトを教えてください

自分の好きな物、多面体だったりキュービック状の物の展開図であったり、コンセプトというよりは自分が影響を受けた物を照らし出しているという感じです。だから特に決まったコンセプトはありません。

-ブランドは自分自身を表現する物ということですか

そうですね。鏡に近いかもしれないです。でも自分の名前ではやりたくなかったんです。結局は作品は作品であって自分自身ではないので。自分が作って手を離れた時点からその作品は自分ではなく作品になるので。自分のエゴで作ってはいるんですがそれを押し付けたいという気持ちでやっているわけではないので。

-メンズですかレディースですか

ユニセックスですね。基本的にはレディースなんですけどCandyに置いていて買ってくれる方々というのはメンズの方が多いみたいなので。サイズが凄く小さい物とかもあったりするんですけど。

-シーズン毎のコンセプトはありますか

ないですね。出来上がったら出すという感じです。

-自分でパターンから縫製まで全てやっているそうですが

そうですね。自分の手から離れて出来上がってくるというのは自分のやりたいこととは違うんです。簡単な物であればいいとは思いますけど。全てにおいて自分の手が入っていないと嫌だという意識が強いですね。

-今洋服はどちらで扱っていますか

Candyで扱っています。

-自分自身で自分の作った洋服は着ますか

それは着ないですね。着たい服と表現したい服は完全に別なんです。

-自分が着たいから作るということではないんですね

全然違いますね。作りたいから作るという感じです。着たいものは自分が作らなくても既に出来ているんだと思います。

-作るときに着る人の想像はしますか

それはないですね。それが男性か女性かも関係ないです。自分の作った服に少しでも共感してくれればそれでいいんです。万人受けは一切したくないと思っていますので。何かを伝えたいというよりは何かを感じ取って欲しいです。例えば自分の展示を見に来て何かを感じて考えることをして欲しいんです。「気持ち悪い」でも「これ良いね」でも。悪かったらけなしてくれても結構ですし。リアクションが少ないというか何も言ってくれない方が多いので。僕の服を気に入ってくれて感動してくれた女の子がいたんですよね。そういうのって凄く嬉しいじゃないですか。そういう嬉しい気持ちって言うのは忘れたくないですね。一個一 個の作品に思い入れもありますので。

続く

4 Responses to “bodysong. 前篇”

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