少年性をコンセプトに男女共有のラインを特徴とするブランドSise。そのデザイナー松井征心氏に話を聞いた。
―Siseは2人で活動されていますが廣川さん、松井さんの2人の役割分担について教えてください
洋服を松井がメインでやりその他の部分、DMや絵を描いた上で見せてバランスを取る部分を廣川がやっています。
―洋服は全部自分達で作られているのですか
パターンは自分達で引いています。
―2人の出会いについて教えてください
元々は文化時代の同級生なんです。年齢は違うんですけど学年は一緒です。
―ブランドを始めたきっかけを教えてください
別の会社で一年働いていたんですけどその時に全部やっていたというか、入った早々で工場と連絡取ってパターン引いてという工程を全部やらせてもらったので早くに生産背景を持てたんです。なのでその時に「あーじゃーこういう服を作ろうかな」という軽い気持ちからですね。
―文化服装学院時代からデザイナーをやりたいと思っていたのですか
思っていなかったですね。コスチュームをやりたかったんです。卒業後(入社した)アパレルが女優さんがやっていたようなアパレルなのでその繋がりで仕事をしながら舞台衣装をやっていたんです。丁度時期的にも舞台の仕事の方が忙しくなってきて会社の方をちゃんと出来なくなってきた矢先に社長の方から「(自分で)やれば?」と言っていただいたのが始まりですね。
―経験的にはそんなに長くないんですね
ないですね。最近やっと工場とかと対等に話が出来るようになってきたところですね。最初は「このパターンじゃ分からない」とかパターン指示の問題もあったんです。
―でもなぜ具体的にブランドをやろうと思ったのですか
最初は色んなブランドの洋服を着ていたんですけど、色んなブランドの自分の着たいバランスというものがあってそれを寄せ集めていたんです。パンツは「ここのブランドで」みたいな。で結局はレディースだと袖が短いとか、パンツだとウエストが合わないとか。そうだったらこういう自分達みたいな体系の人も欲しいものがあるんじゃないかとそれを作ろうと思ったんです。
―自分達に似合う服を作ろうと思ったのが始まりということですね
そうですね。正直に言うと自分の服が欲しかったんです。
―2人でやっているのはなぜですか
最初は別の女性とブランドを立ち上げて最初の展示会はその人もパターンが出来たので寄せ集めでやっていました。その後ある程度形になってきて凄い自分がやりたいことも明確になってきたその矢先に廣川に「やらない?」って声掛けたんです。廣川は卒業後もずっと交流があってうちの服を着てくれていたので。
―では2人が一緒にやり始めてからが今のSiseの形になったという感じですね
そうですね。サイズ感も変わりましたし。女性とやっていた時は好きなワイドパンツのシルエット一つ取ってもお互いに違って向うはもう少しモード寄りで僕の方はB-Boyよりで少し綺麗目になったものが好きだったので1人になったことでそこの統一が出来たりとか結構変わりましたね。
―Siseという名前の由来について教えてください
僕の名前が征心なのでSeishinと付けたかったんですけど最初の女性とイーブンでやっている時はそれが出来なくてさ行で始まる音が良かったので音決めです。意味は後付けですね。
―最初からコンセプトは一緒だったんですか
一緒で少年性ですね。幼い物と危ない物と言うものは実は紙一重で全く正反対のような物ではなく表裏一体なんじゃないかということを元に心と繊細さを兼ね備えつつ、凄い綺麗に取ってるんですけど自分達の高校時代ってそんなに綺麗な物ばかりじゃなかったしみたいなことをやるために物凄くわざと綺麗に取りました。
―ユニセックスのコンセプトは最初からですか
そうですね。
―それは女性と一緒にやっていたからということですか
そうではなくて僕のパターンの取り方が女性のパターンを使っているんですよ。女の子のパターンの胸ダーツを消したり、袖を長くしたりとかという展開の仕方をしていたのでどっちにも最初からはまるサイズだったり形だったんですよ。お客さんも最初は女性の方が多かったですし。男の子が女の子のジャケットを着ている若い男性って多いんですけどみんな袖が足りてないんですよ。それってどうなのと思って。
―ユニセックスなんですがメンズ=レディースという考え方ですか、それともこのルックは男の子っぽいなとかこれは女の子っぽいなとか考えながらやっていますか
サイズ展開が一番考えるんですけど「このデザインは女の子着ないよな」とか「このデザインで男は大きいサイズ着ないよな」とかそういう程度は考えますけど基本的には最初のスタートはあまり考えないですね。
―デザイン画に描かれているのは全て男性なのでやはりメンズを中心にということでしょうか
そうですね。
―ユニセックスなんですがルックブックに出てくるモデルは全て男性なのはなぜですか
一度女性でマニッシュでやろうとしたんですけどそれだとこのシーズン(09S/S,A/W)に関してはやりたい無垢さとか危うさとかが女の子だと出ないと思ったんですよね。女の人の方が芯がしっかりしていて現実的だしそこを女の子にするとリアリティが出ちゃうような気がしたんです。なので前回と前々回は男の子にしたんですけど、次も結局男性モデルなんですよね。どうしてだろうなって自分で思っているんですけど。全部男前合わせにしていますし、意外とうちの服を買ってくれる女の子がマニッシュな女の子じゃなくて女の子っぽい女の子なんですね。それって女の子がああいう像をみて男だったらこうなりたかったとかそういうので服を買っていくのかなって思います。
―ルックブックに使われているモデルはご自身のような(長身、痩せ形のモデル体型で中性的)テイストに近いモデルを使っているような気がします
テイストとしては近いところを探していってるんです。ただテイストが似てる上でリアルじゃないというか・・・。
服が小さいので入ることから探すんですけど前回の春夏、秋冬と高校生の少年性を作ってしまったのでぶれることが出来なかったんですね。次は外国の人で撮りたかったんですけどテーマがそれとは合わないテーマにしてしまったのでまた今は日本人を探していますね。
―モデル探しはどのように行っているのですか
今回はTuneなどストリートスナップが掲載されている雑誌を見てそしてコンタクトを取るというやり方で探しています。
―今回は一般の方を探しているということですか
自分達のテイストに合えば一般人でも構わないと思っています。
続く