Interview

Asger Juel Larsen


今年London College of Fashionの卒業ショーで披露したコレクションが各メディアで話題となったデンマーク出身のデザイナーAsger Juel Larsen。現在はMA(大学院)に通いながら少しずつ活躍の場を広げつつあるAsgerのインタビューした。

―あなた自身について簡単に教えて下さい

デンマークのコペンハーゲン北部の小さな都市で育ちました。3人兄弟の末っ子で、2人の兄がいました。家族の愛に恵まれたごく普通の幼少時代だったと思い ます。物心がついてからはずっと、人々の服装について、初出勤日に鏡の前に立って服を選ぶときの理由について、興味を持ち、魅力を感じていました。私の母 は編み物と刺繍がとても得意で、毎晩仕事の後に椅子に座り、家族のために色々なパターンのトップを編んでくれました。母にとってそれは仕事で疲れた後の癒 しのひとときで、リラックスするための静かな時間でした。私の祖母と曾祖母は有能な仕立屋で、住んでいた村全体に服やウェディングドレスを作っていまし た。ゼロから何かを作りだすときは完成形を頭に思い描きあきらめない、ということは母から教わりました。この教えは、これまで私がストレスを感じるときや 理不尽な上司に出会ったとき、幾度となく助けになりました。

―どのようにブランドを立ち上げることになったのですか

独自のブランドを始めることはずっと計画していたのですが、少し機会を待っていました。BA卒業のコレクションの後、良い評価を受け、徐々に色んな事が起 こりだしました。現在はLCFのMAをやりながら自分のブランドを経営しています。大変ですが、それだけの価値があります。

―ブランドのコンセプトを教えて下さい

歴史からインスピレーションを受けています。私は軍隊の歴史、より具体的には中世の戦争に関係のあるものが好きです。私はショーのための服を作りますが同 時にテイラーにも意識的に取り組んでいるので、だからこそ実用的な服が多いのです。

―ファッションデザインは、あなた自身を表現する手段と考えていますか

それこそがファッションデザインの全てでしょう。それから、それを着る人の美的感覚を知ることもできます。

―ファッションデザインにおいて、インスピレーションの源となるものは何ですか

卒業コレクションのときに初めて中世の騎士の時代について、特にチェーンでできた鎧、鎖かたびらについての研究を始めました。
また、中世の型の中でも特に、boxy cutが大変面白いと感じました。それ以来、ラバーやPVC(ポリ塩化ビニール)、レザーなどの素材にとても興味を持つようになりました。それが隷属、束 縛の世界を研究するようになったきっかけです。
私は、色々な素材や技術を用いて、それぞれどれくらい耐久性があるかを実験しました。私にとっての最初のテーマとなったインスピレーションは、バズ・ラー マン監督版のロミオとジュリエットを観たときです。レオナルド・ディカプリオが鎖かたびらを着ていた一場面です。何故だか分かりませんが、この衣装が私の 心の奥にずっとあり、似たような素材で何かを作りたいと思っていました。
Paco Rabanneがファッション産業では画期的な素材を使用したこともまた、インスピレーションとなりました。インスピレーションの源となるものは常に変わ ります。
次回のコレクションは少し違ったものになるかもしれません。しかし、歴史からのアプローチは常に私の作品の中に見ることが出来ます。



―ブランドのコンセプトとシーズンのテーマはコレクションのイメージを伝える上で重要ですか

ブランドを宣伝する上では良い方法だと思います。世の中は速い速度で変化し、お客さんは驚きや、何か変わったものを求めています。もし変化がなければ、全 てのものは少しつまらないものになってしまうでしょう。

―他のものとは違う、あなたのスタイルの特徴について教えて下さい。

シャープな裁断とドレーピングを組み合わせた、素材の荒々しい調和です。

―あなたの顧客はどのような人でしょうか

若くて都会的で、大胆で強いスタイルを持っている人です。同時に、テイラーの服は高い質とフィット感にこだわるほとんどの人に着てもらえるでしょう。

―ファッションデザインにおいて、最も影響を与えた人物や出来事は何だと思いますか

素晴らしい人物はたくさんいますが、Paco Rabannの60年代、70年代のコレクションと、彼がファッション産業では革新的な素材を使用したことは私が深く敬愛するものです。

―男性にはもっとどのようなアイテムを着て欲しいですか

ものすごく固いレザーのパンツです。

―これからの数年間、あなたのブランドはどのように発展していくと考えていますか

MAに集中している間はブランドは少しずつ成長し人々に興味を持ってもらい、私が完全に準備ができたときに私が何ができるかをお見せしたいと思います。

Interview & Text/Masaki Takida translation:Yuko

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