Interview

forme 2/4

“浅草に住んでいるから凄く環境に恵まれている。レベルも高いし、学校卒業してから勉強したことも知ったことも多いんです”

‐オーダーで靴は作られないのですか

オーダーで作っている時もありました。今はちょっと出来ないのですが。足測って木型作っていましたね。

‐僕は木のソールだと足が疲れるんですよね

あれ全部革なんですよ。僕も靴始める前は木だと思っていたんですけど革なんです。あれが木だと歩いていても全然曲がらないんですよね。

‐靴を作る上で必要な道具は一通り持っているのですか

持っていますね。グラインダー(やすりの機械)はないんですけど手でやってます。木型もやすりで削ってやりますね。

‐木型は見るだけで形がわかるんですか

最初は全然わからなかったんですけど木型に凄く興味があったから学校に入った時からとりあえず適当に靴を削っていたんです。最初は好きな形にしたりして。 先生に見てもらって「あり得ない」って言われたり。でもメーカーで木型の勉強をさせてもらってずっと見ていたらだんだんわかってくるんですよね。最初はただあてずっぽうに「このラインの方が綺麗だな」って適当に削っていたのでその時削っていたのを今見ると結構やばいですね。

‐formeというブランド名はどこからつけたのですか

フォルムということですね。形を重要にしてはいるんですけど名前自体に深い意味はあまりないですね。

‐formeの靴作りに置いて一番重要な部分はどこですか

木型と、どうしても高くなるので長く履けるように作りや革の耐久性という部分は一番気を使っていますね。

‐革の耐久性というのはどうこだわっているんですか

作り方ですかね。クロームなめしとか最近よく聞くベジタブルタンニンなめしとかですね。ベジタブルタンニンなめしというのは何カ月もかけて革を作るんですけどクロームなめしは大量生産の時代が始まってから薬品を入れて一枚を凄い短い時間で作れるようにした技術なんです。そうなると薬品使ってるから強度的にも味が出ないんですよね。ベジタブルタンニンなめしは味が出るし履けば履くほど柔らかくなるんですね。色にはむらがあるけど味に深みがあるとか色がいいとか、柔らかいとか。クロームなめしは安い靴に多いですね、革も安いので。

‐植物染料を使われているそうですが普通の染料との違いはなんですか

それは天然のものが良いからというこだわりよりも色合いとかですね。普通はインクを塗るんですけどインクで塗ると、てかっとして革でなくてもいいじゃんみ たいになるんです。でも植物染料を使えば革の風合いが残るのでそれを使っているだけですね。

-formeはどこの革を使用しているのですか

イタリアの革を使用しています。インポートの靴に負けたくないと思っていながらインポートの革を使っているんですけどどうしても日本の革で良いと思えるものが無いんですね。表面的にそういう革を作ることは出来るんですけど結局表面だけなんですよね。

‐formeは修理の出来る靴作りをしているのですか

そうですね。安く修理できるように作っている靴もあるしソールを変えるだけで修理出来るようにもしていますね。オールソールを変えるとなると高くなるんですけどソールの1部分だけ変えることによって半永久的に修理できるとか色々細かくしています。

‐ヒールを高くしたい場合それも可能ですか

一応出来ますね。でも木型の設定があるのでそんなに高いのは無理なんですけどある程度は出来ますね。

‐ヒールの高さはどのように決めているのですか

一般的な普通の高さですね、バランスを見て。ヒールがある方が機能性が良いんですよね。靴が出来たばかりの頃は全くヒールが無かったんですけど戦争の時に 軍隊が履いていた靴に機能性を持たせるためにヒールを足したらしいんですね。バレーシューズとか歩きにくいですよね。重心が後ろに行きすぎて。

‐靴底の先端が上がっているのはなぜですか

これも歩きやすいからですね。トゥースプリングと言うんですけどそれがある方が歩いてる時に曲がるので歩きやすいんです。あとは見た目的に綺麗というのも あるんですけど。ドレスとかだと上がっていない方が綺麗とはされているんですけど。

‐ブランドはユニセックスですか

レディースはレディースですけどレディースの場合はほとんどメンズからレディースに変えてラインをレディースっぽくすることが多いですね。

‐メンズとレディースで一番異なる部分はどこですか

踵の大きさですかね。あるお客さんがレディースの方がメンズより見た目にメリハリがあって好きだったみたいで「これをメンズのサイズで作ってください」と言われたことがあったんです。それはサイズを単にメンズのサイズにグレードして作れば出来るんですけど踵の大きさが女の子って凄く小さくてそれで出来ないってなったんですよね。

‐単にサイズを変えるだけではメンズとレディースは出来ないということですね
そうですね。

‐サイズ展開だけでメンズとレディース共通になっているブランドがありますがその場合踵の大きさなどは変わっているのでしょうか

変わっていると思いますよ。同じデザインで形も一緒でベースはメンズとレディースでちゃんと分けていると思います。

‐formeは大量生産が出来ないんですよね

そうですね。何百とかは出来ないですね。でも任せられる部分は職人さんにもやってもらっています。それは浅草に住んでいるから凄く環境に恵まれていて、職人の知り合いとか助けてもらっていて。学校卒業してすぐに自分でブランドをやっているんですけど多分そういう人達が色々教えてくれたり世話してくれて何とか出来ているんだと思います。そういう環境は浅草なのでレベルも高いし、道具も揃うし、学校卒業してから勉強したことも知ったことも多いんです。

‐靴の製法にはマッケイやグッドイヤーなど色々ありますが何が違うのでしょうか

もともとハンドソーウェルテッドという製法が昔の靴とかのりの無い時代に作られた製法なんです。ハンドソーウェルテッドを簡単に機械で作る為にグッドイ ヤーという製法が生まれて。マッケイは接着して本体と底を縫って行くんですよね。製法の違いはやってる人でないと判断できないので嘘も多いですよね。

‐どの製法が良いというわけではないんですか

目的に合った製法がいいですよね。例えば安い革でグッドイヤーとかハンドソーウェルテッドを使うのは本来の目的とは違いますよね。

続く

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