Interview

MicroWorks 3/5

“新しく作る物ってネガティブな要素も含め、それでも作ろうと思う時点で自分の中でかなり自信があるものだと思うんです”

‐ファッションが好きなのでファッション的なアイテムを作りたいと何かに書かれていたんですがそれは何ですか、洋服ですか

Yシャツとかやりたいですね。ネクタイは以前企画展でやったんです。緩衝剤のぷちぷちってありますよね。あれを使った企画展に2008年に声をかけていた だいたんです。ヨーロッパのデザイナー4組と日本のデザイナー4組の8組での展示会だったんですが、その時にBreak Tiemというネクタイを作ったんです。ぷちぷちって「守る」という機能が一番なんですけど「潰す」喜びというのも機能と呼んで良いくらいだと思うんで す。だから潰すというのをうまく利用して何か出来ないかなと思って。その時にはまだネクタイ作ろうとかファッションアイテム作ろうとか考えていたわけでは なかったんですけど。自分はネクタイを締めるような会社で働いたことが無いのでわからないですけど、社会生活において「イライラすること」ってよくあると 思うんです。そういう時にぷちぷちを「ぷちっと潰すだけで気持ちが和らぐんじゃないか」というコンセプトで普通のネクタイの裏地にぷちぷちを付けたんで す。イラッとしたらプチっみたいな。ぷちぷちも色々種類があってハート形とか、色もたくさんあるし大きさも色々あってサンプル見てるだけでも面白かったで すね。その中で3種類、ハート型、透明の普通のタイプ、黒いタイプで作りました。黒は見た目的にも格好良かったです。裏地のぷちぷちだけ変えて、表は全部 同じ見た目のネクタイにしました。僕がやりたいファッション的なものというのは、そういう意味でのファッション的なアイテム。考え方としてはプロダクト的 なアプローチでそこにアイテムとして落とし込まれたものがたまたまファッション的なものという意味ですね。

‐特別ファッションに特化したものを作りたいというわけではないと

そうではないですね。あくまで自分の世界を表現するひとつというか。靴も知人の人に一緒に何かやろう、と話が盛り上がって現在もマイペースで進めています ね。アイデアはもう出していて製作方法や素材について色々検討しています。それはまだ実現するかどうか、これから進めてみないと分からないですね。

‐値段の問題ですか

ビジュアル的なインパクトがあるものなのでそれが表現できるかというのがひとつですね。ただプリントという感じではないので、その素材感が綺麗に表現でき るのであればぜひ作りたいなと思っていますね。

‐ファッションにもこだわりがあるように見えますが海山さん本人はファッションが好きなんですか

好きですね、あまり知らないですけど。単純に気に入ったやつを買っているだけです。下北沢で買っています。古着が多いですね。

‐好きな色使いがデザインに現れているというわけではないんですか

色は自分の作っているものの中でいうとヴァリエーションという意味で選択肢になるんですよね。選ぶ側がどれだけ自分好みのものを選ぶか、ということの一つ になったりするので特にはあまり意識はしてないですね。作る上でのコンセプトを表現する上で適した色というのはあると思うので、それを落とし込んでいま す。例えばBook Packはしおりが3種類あって、1つはクローバーです。そのカラーは勿論グリーンなんですが、それ以外にもピンクとアイボリーがあります。自分の中での この作品のコンセプトカラーというのは緑色なんですけどそれだけじゃやっぱり選ぶ側の楽しさが無いと思うので+ヴァリエーションということでピンクとアイ ボリーも加えたんですね。2色とも葉っぱでは無いけど、見方を変えると花っぽく見える。あくまで選択肢の一つとして色を使うことが多いかもしれません。

‐アートピースを作りたいという気持ちはないのですか

無いですね。日常に落とし込めるものがいいです。アートピースが現実的でないというわけでなく、使うことに無理が無いものが良いんです。僕の場合はその時 (使う時や、置いた時)に初めてコンセプトが生きると思うんですよね。

‐値段もそういう意味で考えられていますか

そうですね。今自分のレーベルで販売しているもので、値段をムダに高めに付けているものはありません。あくまで製作費から導き出された価格です。自分で やっていて「ちょっと高いな」って思うものもあるんですけどそれも製作費から(定価を)出しているので結構ギリギリなんですよ。ファッションとインテリア プロダクトの決定的な違いって、買う側の目線が凄くリアルになる部分だと思うんですよね。例えば服とかって素朴なものでも「生地がこうだから」とか結構値 段が張るものもあるじゃないですか。それでも納得しちゃうんですよね。でもプロダクトになると、僕の作品でハンガーに鳥が止まっているBird Hangerというアイテムがあるんですけど、これの場合は「ハンガーで3990円?」みたいな感覚になるんですよね。このBird Hangerで、というよりハンガーというアイテム、あくまで日用品のハンガーというものに3990円、という感覚になってしまう。なので高くするとなか なか売れないんですよね。勿論物によるとは思うんですけど。そういう意味で出来るだけ値段は「適正価格」を意識していますね。

‐メーカーと共同開発ではなくて自分で開発していると値段は下げづらいものなんですか

やはり数は作れないですね。あと値段に関しては逆に上げづらいですね。以前原油の高騰でプラスチックとかアクリルの値段が上がったんですね。僕程度の規模 でやっていても、それなりにしわ寄せが来て、商品の原価も上がってしまったんです。販売価格も上げようか迷ったんですけど結局キープしました。それは勿論 その値段をキープしてもまだ大丈夫というのがあったんですけど値段を変えるのは難しいですね。

‐個人の作品としてやるものと企業とともに作り上げていくときで作品のアプローチの仕方は全然違いますか

意識はしてないんですけど若干違う気はしますね。自分で出来る範囲のものもなんとなくわかってきて、イニシャルコストもかからずに出来るんじゃないかというものは自分でやってしまいます。勿論クライアントさんから依頼を受けた時は、そういった物でも提案します。でもせっかく企業さんとやるので、個人ででき てしまうような物ではなく、普段出来ないような面白いものに挑戦したいとは思っていますね。

‐iidaの充電器とかですか

MIDORIに関しては、その元となった展示会までの提案の日程が凄くタイトだったんですよね。話をいただいてからアイデアを出すまでに数日とかしかなく て。(最初は)商品化という話もなかったですし、提案性の強いものを提案しようという気持ちでした。それもあって普段あまりできない電気製品にしたんです よね。そういう意味ではメーカーさんとやる時というのは、良い意味で自分のレーベルでやるものとは違ってくると思います。

‐自分での作品の評価とお客さんの反応は違いますか

そうですね。基本的に新しく作る物ってネガティブな要素も含め、それでも作ろうと思う時点で自分の中でかなり自信があるものだと思うんです。でも作品に よってこれはウケが良いとか、お客さんの食いつきが良くないってこともあるので、そういう意味ではあまり食いつかないアイテムというのは、そういうことなのかなと思いますね。

‐自分的に一番自信作はどれですか

全部自信があります。でも最近だとiidaの『MIDORI』に関しては、出てきた時に「きたー」って感じでしたね。

‐一番反響が大きかった作品もやはりそれですか

色んな意味でそうですね。あと最初に作ったJump Out Mirrorがなかったら、このやり方で仕事を出来ていなかったと思うので、そういう意味ではあのミラーも反響というか影響は大きかったと思います。

続く

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