Interview

MicroWorks 4/5

“身近なデザイナーとか同世代のデザイナーに刺激や影響を受けることが多いですね。「みんな面白いこと考えるな~」って”

‐HPを見ると2009に入ってからプレスの数が一気に増えています、やはりそれもiidaの充電器の影響が大きいのでしょうか

それも大きい要因だと思います。それと共に2009年は海外の雑誌が凄く増えたんですよ。その雑誌やメディアによって画像のリクエストの作品は違うんです よね。iidaのMIDORIのコンセプトモデルで『VINE』という作品を2008年の夏くらいに発表したんですよ。特にこちらからはアプローチはして いなかったんですが、それがいくつかのデザインブログやサイトに取り上げられていたんですね。世界的にも有名な。そこからアクセスが一気に伸びた時があっ て、そこからですね海外の問い合わせが増えたのは。そういう意味でMIDORI(VINE)というのは間違いなく大きかったと思います。それに付随して他 のアイテムでもリクエストをいただいたり、最近発表したnoteというソルト&ペッパーは個人で海外から注文をいただくこともあります。

‐海外のお店に置いていたりもするんですか

現在は置いていません。時々そういうお誘いはいただくんですけど。MicroWorksで海外プレスを担当してくれている方がいるんですけど、そういう話 が来たらその人に対応をお願いしています。だから海外のホールセール用のフォーマットもあって、そういう話が来た時にはそれを送っているんです。お話自体 はいただくんですけど実際そこからはなかなか進まないですね。値段が合わないというのもあると思いますし、円高だからというのもリアルにあると思います。

‐取引先も自分で周って増やしていかれたそうですが

最近はあまり営業出来ていないんですね。なんとなくこういう仕事しているので情報は入ってくるんです。「ここのお店は感度が高い」とか「ここが良い」と か。それでこういう仕事しているので、いずれ出会えるんですよね。ショップマネージャーさんなりバイヤーさんなり。なので今は無理矢理持ちこむより焦らず 「出会った時に」って思ってます。日本全国色んなイベントに参加したりするので、そういうイベントに参加した時なんかにお店を下調べして挨拶に行ったりし ます。この間名古屋に行った時も名古屋のお店で幾つかリストアップして遊びに行かせてもらったりしましたね。

‐自分で足を運んだ方が取引先が決まることが多いですか

実際、初対面の時ってあまりガツガツ売り込みはしてないんですよ。資料も持っていかないですし。普通に店内を見ながら、そこのお店の人を見ます。話しかけ づらい、やすいもあるので「この人なら」って人であれが、ちょっと話しかけたりしてみるって感じですね。だからその場で「こういうことをやって、こういう ものを作っているので是非扱ってください」みたいな話はあまりしたことないですね。勿論名刺交換はするんですけど。ただひたすら多くのお店に卸したいとい う願望はあまりなくて、自分の作品を気に入っていただけるお店に置いてもらいたいと思っています。

‐作品を使ってくれるお客さんの想定というのは全ての作品が同じですか

ターゲットとかって考えたことないですね。プロダクトって基本的にユニセックスだと思うので年齢層もあまりないと思うんです。生活の中で使うものなので。 そういうものに興味がある人っていう意味ではそういう人がターゲットになると思うんですけど。でもあまり戦略的なことは考えないです。お店に関して自分か らアプローチする時は自分が好きなお店とか、素敵だなと思ったお店に行きますけど、向こうから来てくれることもあるのでそういう場合は基本的に断ったりは しないですね。お店の雰囲気が合わないから断ったりとかはないですし興味を持ってくれたところにはありがたいと思っています。

‐今はどのくらいの数の取引先があるんですか

僕から直接卸しているお店が30店舗くらいあると思います。僕以外から取引しているお店もあるので、それを含めたら合計で60店舗以上はあると思います。 でもちゃんと把握しきれてないですね。

‐影響を受けた人はいますか

ドローグデザインやその当時のヨーロッパのデザイナー達ですね。今は逆に身近なデザイナーとか同世代のデザイナーに刺激や影響を受けることが多いですね。 そういう人と直接かかわることが多いので、そういう中で「みんな面白いこと考えるな~」って思うことはありますね。そういう意味で同世代の人達から刺激を もらってます。

‐同世代のデザイナーってたくさんいるんですか

同世代のデザイナー達で仲が良いですね。決まった何人とかではないですけどコミュニティーみたいなものもありますし。自分はその中でもまだ年下の方なんで すけど。

‐プロダクトはデビューするまでに時間かかるんですか

ファッションの人と比べると遅いと思いますよ。ファッションの人達って早いですよね。自分で作れちゃうじゃないですか。そこの違いは大きいと思うんですよ ね。プロダクトって時間とお金が凄くかかるんですよ。一個の物作るのにも凄い時間とお金がかかって。30代でも全然若手ですし。ファッションの詳しい話は わからないんですけどイメージ的にはそういう人達に比べたら遅い気がします。

‐海山さんが他の方々と比べて早く出れたのは会社に就職しないで自分でやってきたからですか

でもそういう意味では時間は長くやっているんですよ。決して早い方でもないですし。

‐売れるまでには時間がかかったということですか

今くらい自分の仕事でまわるようになったのはここ1,2年ですね。だから全然時間かかっている方だと思います。みんな独立してからそんなに時間かからない 人が多いので。「誰々の所にいて」とか「どこどこの企業にいて」とか、そこでノウハウを得ているのでそういう人達に比べると独立してからかかってる時間は 長いと思います。

‐そういう方達との違いというのはなんだと思いますか

プロダクトってメーカーさんと一緒に仕事するのが当たり前なんですよ。自分でやる人はあまりいなくて。その時点で他の人とは違いますし、リアルに商品の細 かい部分までわかるというかちゃんと考えられるという部分では、そういう人達とは違うんじゃないかと思っています。

‐海山さんの作品は全部自分で作ることが可能なんですか

クオリティを保つために工場に頼むものが多いですね。ただ作品によりますけど自分で作れるものも多いと思います。でも商品レベルのクオリティでという意味 では自分で作るのはなかなか難しいと思います。

‐作品を作る時に絵は描かれますか

作品とその時の進め方によるんですけど特にこだわってはいなくて、さくっと図面描けちゃうものもあったりするんですよ。そういうのは絵を書かないで図面起 こすんですよね。わからないものに関しては絵を描いたりとか勿論しますけどね。文字で情報を書いていたりもするので単語だったり、そういうのを見ながら 「こういうのあったな」とかいう感じですね。

続く

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