Interview

IN-PROCESS BY HALL OHARA 1/4


日本人の大原由梨佳,イギリス人のSteven HallによるデザインユニットIn-Process。ロンドンのセントマーチンズで出会い共に大学を首席で卒業。05年にHALL OHARAを立ち上げ、2010S/Sからブランド名をIN-PROCESSに改め新しいコンセプトの下ブランドをリスタートさせたデザイナーの2人に話を聞いた

O-大原由梨佳, H-Steven Hall

―(ロンドンの)セントラルセントマーチンズ(以下セントマ)の出身の2人ですがセントマ時代のクラスメートと連絡取ったりしますか

O-先生とは連絡取っていますがクラスメイトの子であまりファッションやっている人はいない気がします。
H-Gareth Pughはやっていますが最近全然連絡を取っていません。とてもインターナショナルなクラスだったのでほとんどの人達はそれぞれの国に帰りました。
O-日本人はまだ結構繋がっていますが。

―ブランドをやっている人はほとんどいないんですね

O-私達とGareth (Pugh)くらいですね。

―学生時代のGareth Pughは目立っていたんですか

H-セントマーチンはああいったテイストの人が沢山いるので特別目立っていたというわけではありませんでした。ただ性格は凄く良かったです。他にも才能がある人は沢山いましたが連絡を取れなくなった人も多くわかりません。

―2人が出会ったのはいつですか

H-私がまだ18歳の時です。彼女は1歳上なので19歳でした。
O-私達は2人ともLCF(London College of Fashion)のファンデーションで学んでいました。
H-彼女は私のことを3年間も無視していたんです(笑)アクジョ (悪女)

―2人ともWomenswearを先行していたんですよね

O-そうですね。でもLCFではクラスが同じわけでもなくセントマでも最初の学年は違ったのでそんなに話したことは無かったですね。2年の時に話すようになったんだと思います。

―ブランドを2人でやるようになったのはいつですか

H-セントマーチンを卒業してからです。

―2人とも首席で卒業されたんですよね

O-そうですね
H-ライバルでしたね。2人で同じ仕事(Dior)のインタビューを受けたんです。
O-卒業する時にインタビューを受けてそれのファイナリストに2人(4人中)とも選ばれて・・・
H-結局2人とも選ばれなかったんですけど。私はインタビューに遅刻したのを覚えています。

―なぜブランドを一緒に始めようと思ったのですか

H-何かクリエイティブなことがしたくてTシャツのデザインから始めました。TシャツはEuphoria, Kokon to Zai…
O-委託で何ヵ所かのお店で扱ってもらいました。

―最初はTシャツだけだったんですね

O-Tシャツやハンドメイドっぽいジャンパーとかからスタートしてそれからちゃんとしたコレクションを出来るように準備してという感じです。

―それぞれのテイストがありますよね。もともと近かったんですか

H-近い時もありました。
O-多分基礎となる部分は凄く似ているんだと思います。
H-2人ともMoschinoが好きだったんです。最初はそこを狙ってやっていたんですけど。

―では今とは結構違うんですね

H-そうですね。でもカッティングとかは一緒ですね。

―In Processはガーリーなので大原さんよりのデザインかなとも思ったのですが

O-そういうわけではないですね。レディースの方は女の子寄りになっていますがメンズの方はStevenが中心になってやっていますね。

―In Processにおいて2人の役割分けというのはあるんですか

O-それは特に無いですね。
H-全ての作業を一緒にやっていて時間によって作業を交換したりしています。パターンまで全部2人でやっていますので。

―メンズに関してはStevenが全部やっているのですか

O-私も少し加わってはいます。

―以前New Generationでロンドンコレクションデビューしたそうですがその時はショーをやったんですか

O-ショーをやりました。

―反響はどうでしたか

O-リスポンスは良かったです。
H-ヨーロッパのファッションの構造は日本とは違う気がします。構造に関しては日本の方がヨーロッパより良いと思います。マーケットはとてもストロングでそして大きいです。

―確かにマーケットは大きい、でもヨーロッパの方が総合的には大きいと思います、ただ新人たちにとってはあまり機会がないかもしれませんが

H-新人たちにとっては難しいマーケットだと思います。H&Mをはじめとしたファストファッション系のブランドがマーケットを占めていますので。日本にもそれらのブランドは入ってきましたがその規模はイングランドと日本では全然違います。若い優秀なデザイナーはTopshopなどのブランドに入りたがります。

―でもロンドンからは若く才能のあるデザイナー達が毎年のように出てきますよね

H-New Gereration, Fashion Fringe, Fashion Eastなど若い世代をサポートするスポンサーはとても強力です。それにAndamやSwiss Textile, Mango Fashion Awardなどの賞がありそういった意味では日本よりも優れています。日本にはあまり大きな賞はありませんよね。でもビジネスを確立する、売る、といった可能性では日本の方が優れていると思います。経済もまだ強力ですし。いまだ世界で2番目の経済大国ですよね。ショップも色んなジャンルのお店が溢れWut Berlinのようなお店もあるしとても興味深いマーケットです。ターゲットを絞るのもより明確に出来ると思います。ロンドンではKokon to Zaiなどの一部のお店しか若いエッジの効いたブランドを取り扱うお店はありませんが日本は原宿だけでもWut Berlin, Cannabis, Macaronicなどのお店があります。

―それはロンドンではリスポンスの割に扱ってくれるお店が少なかったということですか

O-それもありますね。
H-私達は自分達だけのショップを日本に持ちたいと思っています。Parcoなどで期間限定店も出来たらと考えています。

―以前はパリでも展示会をやっていましたよね

O-ロンドンにはバイヤーが来ないからですね。最初New Generationを獲ったので展示会とかも無料で出来たんですが人は来ないし、ロンドンデザイナーはみんなパリで展示を行うのでやろうと。でもパリではデザイナーが多すぎて、日本みたいに長い期間でちらばって展示会を行うのも問題ですがパリみたいに10日間位に全部が凝縮されてやるのも人が回り切れていないような気がして。それで一度ヨーロッパを離れてみようと思いました。
H-ロンドンは有名になる能力があると思います。でも少しずつその力は薄れてきている気がします。ロンドンには世界で一番水準の高いファッション大学が集まっています。

―セントマを卒業した後に一度他のブランドで働こうとは思わなかったのですか

O-一応幾つかインタビューは受けたのですがちゃんと仕事として行けるところがなかったしそれだったら自分達で始めちゃった方がいいのかなって・・・。

―2人とも首席での卒業ですが逆に企業側からのオファーはなかったんですか

O-オファーは無いですね。
H-日本とは違いますね。
O-ブランドとしてやっているような大きいところでも人数が決まってこれだけのお金が出せるとか決まっているから抜けないと入れない、だから本当にタイミングが合わないと入れないんです。

―Dior以外に受けたブランドはどこですか

O-MoschinoとかChristian Lacroix, Viktor & Rolfとか手紙は返ってきたんですけどやっぱりポジションが空いていないからということだったので。それじゃなかったらハイファッションのブランドに行くしかないから自分達が何をしたいか考えて。

―その結果自分達のブランドを立ち上げるのがベストだと

O-そうですね。

続く

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