“アニメとファッションを繋げたいですね。アニメとファッションの繋がりで明らかに昇華されていないものがあるので”
‐ヨーロッパに行って何か考え方は変わりましたか
僕は留学してあまりうまくいかなかったんですね。日本で知っているヨーロッパのファッション学生坂部さん山縣さんになるんですけど、彼らは海外で実績残して帰って来て格好良いことをやっている。そういうのに憧れていたんですけど自分はそこで実績を残せなかったんです。理想通りの環境なんて無いと思うんですけど彼らはそこで実績を残せた、僕は彼らみたいに目立った実績は出せなかった。海外でステップアップしてからじゃないと帰って来れないなという気持ちはあったんですけどそれを僕は得ることが出来なかったわけですからね。
‐海外で実績を残せなかったことを悔いているんですか
やっぱり悔しいですね。自分の甘さによる部分が大きかったので。今でもその部分はつらい部分ではありますね。
‐他の人達みたいに海外の学校に行って学んで主席を取って帰ってくることを想像していたんですか
それを夢見ていたし出来ると思っていました。
‐海外に行って良かったとは思いますか
まだわからないです。
‐海外に行くきっかけとなった神戸ファッションコンテストで優勝した作品はどのようなものだったんですか
Candyにあるんですけどホログラムの生地とダウンで作ったものですね。
‐僕もあれがCandyで見た時に一番目に入りましたね
あの作品が一番自分に制限をかけないでボリュームを出したしそういうところからすると最近少しおとなしくなってきたのかなと思います。
‐向こうでも作品作りはしたんですか
しましたね。数多くは作ってないんですけどCandyにあるものも含めて数点作りました。
‐メンズは作っているんですか
メンズはレディースの延長です。
‐なぜレディースだったんでしょうか
夢があるというか幅が広いからというのが一番大きいですね。自分が男性だっていうのはあるんですけど現実的になりすぎてしまうので、自分を抑えてしまうと強いものは出来ない。ただレディースを作るんですけど男性の方が受けるんです。
‐エスモード在学中にDazedの表紙を飾ったわけですが反響はありましたか
友達は見てくれましたけどそれで次につながる話というのはなかなか無いですし、そこで自分の目に見える形でのメリットがなかなか無くて。そこで虚しさを覚えました。
‐デザインをする時に着る人のことを想像していますか
想像してないからそういう風になっているんだと思います。だからこそ強いものが出来ているというのはあるんですけど。「良いね」って言ってもらえるのと「着たい」と言ってもらえるのでは雲泥の差があると思うのでそこでバランスに挑戦するとなった時にどのデザイナーさんも葛藤することだと思うんですけど。
‐どこに一番評価してもらいたいんですか
「格好良いだろ、他に無いだろ、俺を見ろ」的なところで雑誌に取り上げてもらえるというのは最初は凄く嬉しかったんです。でも雑誌というのは幅広い層が見てくれるわけなんですがそこからのリアクションが僕まで届かないんですよね。それがつまらないというか。手の届く場所の人達にちゃんと発信していこうとい う場が僕はThis is Fashionと認識しています。
‐BALMUNGデザイナーのHachi君がJUNYA SUZUKIを絶賛していました
彼はオタクなんですよね。彼と会話していて「秋葉原にお店出したら絶対に何か起こるよね」という話をしていたんです。アニメの感覚とファッションの融合、 そこに僕とHachi君は可能性を見出している。彼はどちらかといえば萌え系アニメの感覚でデザインしていると思うので。デザインやっている人でアニメからインスピレーションを受けている人は今凄く多い。でもそれがどう消費者と結び付いていけるかわからないですけど合致出来る時が遠からず来るんじゃないかという予感はありますね。その形をちゃんと見つけた人がそこでのパイオニアになると思うんです。
‐今後どういうブランドにしていきたいですか
アニメとファッションを繋げたいですね。アニメとファッションの繋がりで明らかに昇華されていないものがあって。現状だとアニメはアニメ、ファッション はファッションと分担されていると思うんです。でもそれを一時的に場として結び付けたのが1年前にあったDenpaというイベントだったと思うんですよね。クラブイベントなんですけどアニメソングばかりかけているイベントで。でもファッションとアニメの融合というコンセプトでやっていてファッショ ン好きだけどアニメが好きな人達が来て物凄い盛り上がりだったみたいなんですよね。NHKにも取り上げられたしパルコとも提携してイベントをやったみたいで。それで一大ムーブメントが来るのかなと思ったらDenpaが一番盛り上がっている時に止めてしまってそこでアニメとファッションの繋がりの流れは寸断されたように見えて凄い残念だと思いますよね。ニコニコ動画的、二次創作的、そういったものが凄いエネルギーで出てきていてそれを見た時に物凄くエネルギーを感じ、可能性を感じたんです。それをどういった形でファッションで表現できるのかというのが僕の今の課題ですね。
‐それが次のコレクションで答えが出ていると
そうですね。それがどうなるかはまだわからないですけど。見えないものであるからやる意味はあると思うんです。情報社会的な文化になって情報過多の中でそういったニコニコ動画的な文化が出てそれがまだファッションになっていないのでそこに可能性はあるんじゃないかと思っています。