Interview

Yu Fukumoto 3/5

あまりにも当たり前なテーマだしメンズとフェミニンな部分が凄く面白いと思ったんですよね

‐アントワープの話に戻りますがアントワープは1年生から4年生まで一緒のテーマでコレクション製作をするんですか

毎回違いますね。1年生はスカート、ドレス、ジャケットそれをテーマに形重視ですよね。アントワープがなんで忙しいかと言ったら総合大学なんですよね。王 立だから学科もある。哲学もやらなければいけない、社会学も服装史もやらなければいけない。それで論文を書いたりとかそれが凄い支えになっているではない けど行きたくないなと思って授業行っても「あ、面白いな」って。で社会学の論文とか書いていてもリサーチしていくと「こんなことあるんだ」って。

‐それは何語でやられているんですか

基本的には英語ですね。授業はオランダ語ですけど。意外とリンクしてきたりしてインスピレーションになってきたり。その辺は日本の専修学校とはほんとに違 う気がする。アート学校の中に服飾がある。というのはアートとして服を作るという部分で学科も直結しているので。

‐坂部さんは福本さんの2年の時と4年の作品が好きと仰っていました

そうだと思います。2年生の時絵を描いていたんですけどぱっと後ろに彼が現れて一言「良いよ」って。凄い自信が無かったんですけど「良いんだ」って。その 時一番出来る生徒が学年に2人いたんですけどそれと同じくらい良いよって言われて。「この人何言ってるんだよ」って思ったら最終的に3人同じ成績だったん です。「この人洞察力ある」と思って。彼はなかなか認めないですけど本当に良いと思うものはちゃんと誉めますからね。Writtenafterwards のこともちゃんと評価しているし

‐ご自身で印象に残っている作品というのは坂部さんに指摘された通り2年生と4年生の作品なんですか

坂部君ずばりだけど2年生と4年生ですね。2回女物やっているけど女物で言ったら2年生ですね。

‐2年生の2回目のコレクションですか

そうですね。1回目は卵のコレクションを作って凄いひんしゅくをかってしまって。全部黄色と白で作ったんだけど学校の先生に「卵は白だけじゃないぞ」と怒 られてしまって。

‐2年生の作品はどこ的感覚で絵を描いたんですか

わからないですけど自分的には中間くらいですね。アントワープの人はそういう感じの絵は描かないかもしれないですね。

‐デザイン画という感じではないですよね

デザイン画というよりは雰囲気画ですね。

‐周り(背景)を作って描くというやり方もするんですね

自分はそういうこともやろうと思って。普通はデザインだけなんですけど。

‐日本の学生が描く絵とは全然違いますね

それはそう思います。

‐アントワープでの作品を2年生から順番に説明をお願いします

2年生の作品はフランス語のタイトルなんですけど『美しい船』という意味です。マグリットの絵で『美しい船』というタイトルの絵があって女の人が海辺に 立っていて半分水色なんですよね。ピンクのバラを持っているんだけどその絵を見て「あ、美しい絵だな」って。そこから美しい船と女性を組み合わせて水に浮 かぶ美しいものをテーマに出来ないかなと考えて浮具とか救命胴衣も入っているし花っぽい色だったりとかどこかで水というものを介して例えば船とか花とか植 物とか繋がらないけど水という部分でどうにか繋がっているから水っぽいエレガンスだったり混ぜつつ水面に浮かぶ美しいものをテーマにした感じです。帽子と かも蓮の葉っぽい形にしてみたりとか。

‐撮影場所はアントワープの港ですか

そうですね。そこに船があってそれを貸してもらったんですよね。

‐たくさん写真はあるのですが全身写っている写真がほとんどないのですが

それは写真家の人に頼んだわけではないんだけど全身写ってないものの方が逆に想像させるかなということでほとんど全身写ってないものを使っているんですよ ね。この頃はファッションから逃げていたじゃないけどファッションだから全身写さなければいけないとか絵もはっきり見えなきゃいけないとかその辺でまだ中 間にいた時期。先生に「これはファッションフォトじゃないわよ」って言われていましたからね。伝えたいのはもっと雰囲気だったかもしれないですね。

‐3年生の作品説明お願いします

3年のやつは『ロケットマン』がテーマでマジシャンみたいな男性像で不思議な力をもった男性がイメージ。服はぱっと見、普通の服に見えるけど微妙に繋がっ ていたりとか燕尾服だけどズボンと繋がっていたりとかパターンは凄く複雑に出来ていてパターンは全部自分でやっています。民族衣装を消防士から着想を得て 作ったんですよね。消防士はヒーローみたいな感じだったからそれプラス火を操るロケットマンみたいな感じをやりたいと思ってマジシャンだったり急にものを 出すようなそんなキャラクターを作りだそうと思ってやりました。

‐なぜ2年生まではレディースなんですけど3年生からメンズになったんですか

良く言われるんですけど3年生でとりあえずやってみたいと思ったんですよね。Walterと話をした時に2年生の作品を覚えていて「2年生のお前の作品、 男が着ていてもわかるよな」って言っててじゃーメンズやるかってことで相談の上メンズになったんですよね。

‐作品は全部取ってあるんですか

全部実家にありますね。一部4年生の時の網とかは向こうに置いてきましたけど。(大きすぎて)飛行機に乗らないので。

‐自分で着たりとかはしないんですか

自分のサイズじゃないんですよね。やっぱり着たいと思って作っている部分はメンズに関してはありますよね。女ものに関しては全く想像外でやっているから逆 にわけわからないものが出来るんですけど。メンズはほんとに着れる、というか自分が着たいというところを少なからず前提にしています。

‐アントワープの1年生の時にはもう自分でパターンから全て洋服を作れるようになっていたんですか

やっぱり2年生で一度落第した時に自分で結構やったし1年から人に任せると4年生まで人に任せっぱなしになるんですよね。だからなるべく自分でやろうって やっていたうちに出来るようになっていました。

‐アントワープでもパターンなどは出来ない人は多いですよね

凄い多いですね。

‐結局作品が残るのって最終学年の作品じゃないですか。それ以前の作品を見る機会ってなかなかないですよね

2年生のやつとかは実際凄い評判良くてNYのThom Browneに研修に行った時もThomが一番好きだったのは2年の時の作品なんですよね。

‐単純にメンズだからというわけではなくて4年生の作品が好きそうな感じはするんですけどね

なんですけど多分そういう作品はきっと見飽きているんですよね。直接見せたわけじゃないんですけどある日作業場で作業していたらトムが歩いてきて「あれは (2年生の時の作品)僕の人生の中で一番美しい」って言われて。全然違うから逆に好きなのかもしれないし。

‐4年生の作品はどうですか

これは凄い思い入れがあって小さい頃からやりたいなって思ったものを出来たんです。3年生のコレクションは無理やりな発想から架空なものが出てきて実際背 景は無かったんですよね。賞をもらった時にフォトシュートをやるとなってラフの写真家の人が付いてくれてやることになったんですけど背景が思いつかなくて どこで撮影しようとなったんです。だから4年生はは背景から先に決めようと思って。
3年生が終わった時にベルギーの植物園に行ったんだけど「ここに似合う服を作りたいな」って思ったんですよね。じゃそれをテーマにしようということで自然 とそこから積み上げていって、ここに似合うものは何かということでやっていったら一つ映画があって『コレクター』という映画で60年代の映画でテレンスス タンプとか出ててそれを一応テーマにしました。主人公は蝶を集めてストーカーで女の人を閉じ込めるんだけど最後死んじゃって凄い悲しいストーリーなんだけ ど自分はそれを凄い美しいなって逆に思っちゃって、人間の欲望が逆にそういう結果を生んだにせよ、人間の欲望、例えば蝶を捕まえたいという欲望だったり眼 に見えないものを服に出来ないかなと思ってじゃー人間の欲望を表す服ってなんだろうと思った時に例えばハンティングの服とかは捕まえたい欲望を服にしてい る気がしたんですよね。それと蝶を混ぜれないかということで作ったのがこれなんですよね。大きい鞄が付いている服がオーバーオールに見えたりとか本当にそ ういう欲望を前面に出しつつ、かつ同時に欲望を隠せたりとかカモフラージュ出来るものであったりそういうのが出来ないかなと。蝶というテーマってファッ ション学校の中でタブーみたいなところがあって「蝶を使ったテーマは駄目よ、クリシェ(決まり文句)だから」って言われるんですよね。

‐それはなぜですか

例えばNYのパーソンズとかFITとか行くと蝶は使っちゃ駄目って言われるんです。みんなやったからっていうのもあって敢えて蝶を使って面白いものが出来 たらなって思ったんですよね。あまりにも当たり前なテーマだしメンズとフェミニンな部分が凄く面白いと思ったんですよね。凄く攻撃的な服にフェミニンな素 材を混ぜたりとか。

‐実際評価はどうだったんですか

プレゼンに関しては凄く評価が良かったんですけどでもプレゼンの後にショーがあってどちらかといえばそこでちょっと評価が下がっちゃった感じですね。

‐ITSとかHYERESに作品を出そうと思わなかったのですか

HYERESには出そうと思ったけどITSには選ばれなかったですね。

‐学校の評価ってどうやって決められているんですか

3年生の評価って学校内だけの評価だけど4年生の評価って外部の審査員、この年であればKris Van Asscheがいてstyle.comのTim BlanksがいてH.P Franceの方もいてDazedのJefferson Hackがいたりしてそういう人が審査するからまた変わってくるんですよね。

‐内部での評価は3年生の時が一番良かったんですか

自分は2年生ですね。

‐3年生の時は賞を取ったんじゃないんですか

3年生は賞を取ったけど成績は悪かった。例えば唯馬君は4年生の時成績はあまり良くなかったけどAnn Demeulemesteerの会社から賞を取ったしその辺はわからない。学校が求めているものといわゆる外部が求めているものとはまた違ったりとか。 ITSが求めているものも違うし、一概にこういうものがいいというのは無いと思います。

続く

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