Interview

AGURI SAGIMORI 1/4


2008年3月JFW最年少、若干22歳でコレクションデビューし話題の中心となったAGURI SAGIMORI。日本だけでなくパリや上海などでも展示会を行い、『日本独自の繊細な美意識と内に秘めた芯の強さを表現、テーラードを軸に服の本質を問う物作りを目指す』をコンセプトに表現を続けるデザイナーの鷺森氏に話を聞いた。

―デザイン活動において一番最初の取り掛かりの部分はどこですか

オリジナルの生地を作っているので生地から入りますね。

―毎回生地から始められるんですか

大体イメージが最初にあってオリジナルのテキスタイルを作るのに時間がかかるのでそれは早めに取り掛かっています

―毎回オリジナルの生地を作られているのですか

作っていますね。

‐全部というわけではないですよね

全部ではないですね。やっぱりコストのことも考えて生地屋さんが出す新しい生地と、定番のもの、それにうちのオリジナルを加えてやっています。

―新しいイベントtokyo eyeで上海での展示に参加したようですね

そうですね。昨年の11月から参加させてもらいました。

―上海に出してみようと思ったのはなぜだったんですか

今の取引先さんが日本以外のアジアのお店が多いというのがあって特殊なお店以外で百貨店でどういうリアクションがあるのかなということでトライアルで出してみようかなと思ったんです。

―日本以外にも取引先があるんですか

今は海外の方が多いですね。逆に日本はまだ少ないので。

―それは10S/Sでパリに出展(VANTAN Tokyo)した時についたということでしょうか

その時は新規だったので正直(オーダーが)付かないかもしれないと思っていたんですけど新規で2店舗付けてくれまして、それ以外にも日本で今まで付けてくれていた海外のバイヤーさんもオーダーしてくれました。

―パリで展示会をやってみてどうでしたか

全然日本とは勝手が違ったんですけど面白かったですね。リアクションが「これが売れる、これが売れない」ではなくその人が気に入っているかどうかの物差しで見てくれる。多分その人達はお客さんをイコールで見ている、「このお客さんとこのお客さんは買うだろう」というのが見えててうちの服を買ってくれている。だからそのまままっすぐお客さんと線になっているので凄く勉強になりましたね。「こういうのを次はもう少し作ればいいのかな」というのも感じましたし、言ってくれる方もいましたので。アジアのお客さんが多かったんですけどパリのお客さんの意見も聞けましたし「このアイテムが足りない」とか「この着やすさのアイテムが欲しい」とか具体的に構成として見えてきたのでもし次パリに行くことがあるのであればもう少し整えていきたいなと思いますね。

―具体的にどのような部分が海外の方に良い評価を受けたのだと思いますか

やっぱりうちの作っている服が砕いて服に落とすと言うよりも、イメージをそのまま服に載せているものが多いのでそういうものに関しての反応が良くも悪くも多かったですね。

―日本ではファッションショーをやっていますがパリでは展示でしか自分達のブランドの世界観を伝えることが出来ません。そのことで苦労した部分などはありますか

逆に展示会形式というのは私としては凄いやりやすかったんですよね。一番最初のイメージをバイヤーさんと私と服というシンプルな関係で伝えられたので間違いなく(自分の想いを)伝えられる。ショーはショーでイメージで見せてそれぞれの想いを載せて見てくれるというのがあるんですけど「そこはこうで、そこはこうだったんです」という話の流れもそれはそれで良いと思うんですけど、(展示会形式の)シンプルに服があって「僕はこう思う」、「私はこう思った」、そのシンプルなやり方は私には凄く合っているなと感じました。

―パリに行ったのは今回が初めてですか

1年ほど前にリサーチを兼ねて行ったことがあるんです。VANTAN Tokyoの準備段階でイベントをどうしようかということで一緒に連れて行ってもらいました。コレクションウイークだったのでコレクションを回ったり、ショールームを回ったりしました。

―印象的なコレクションはありましたか

Ann Valerie Hashがその時は凄く響きましたね。パリに似合っていたのかもしれないですけどパリ自体が初めてだったので印象に残りましたね。

―JFWと比べてどう感じましたか

私自身Japan Fashion Weekをあまりまわることが出来ないんですがまわりの人達のテンションと言うか街中の人達のテンションが違うからそれがやっぱり違う、「楽しそうだな」と感じました。みんなで盛り上がってみんなでショーに向かってというのが。それがやっぱり違うのかなと思いましたね。

―パリで展示会をやってみてデザインに反映するものはありそうですか

パリ自体がやっぱり街歩いているだけでも刺激的ですしただの朝食とかでも凄く楽しいじゃないですか?そういうのが作る上での刺激には凄くなりましたし居心地が良かったというのはありましたけど次に作るものはもう決めていたというのがあったのでそれの材料をパリで見ながら、探しながらという感じです。パリでは帰ってすぐにコレクションがあったのでどちらかといえばそちらの方に頭が向いていてどう求めているのかという部分でいっぱいだったんですが多分次のコレクションを見ていただいたらなんとなくパリで見た物が入っているんじゃないかというのが理解してもらえると思います。

―楽しみというよりはショーのことで頭がいっぱいだったということですね

でも結構楽しめました。パリを周る時間もありましたしアポイントが一日に何件かなのでその時間にだけ行ってその間を抜けて周りましたね。

―バイヤーさんとは直接話をしたんですか

通訳を介してですけどしましたね。凄い楽しかったですし息抜きになりました。今まではばーんと製作してそのままショーでぽーんと出す。でそのまま展示会して次生産してというほんとに区切りが無かったのでパリで一週間滞在してもう一度ショーのことについて考えて詰めが頭の中で出来て良かったと思いました。

―パリに限らず他の都市でも展示会をやりたいとは思いましたか

そうですね。やりたいですね。色んな人に会って色んな人に見てもらいたいです。全然違うじゃないですか国によって。サイズ感もそうですし。そっちに合わせて行く努力もするけどここまでやったものをどういう評価をしてもらうのか見てみたいと思いましたね。

―イメージした以外の人にも評価してもらえましたか

と言うよりは私がイメージしている、着て欲しい人達がいっぱいいたという感じですね。バイヤーさん自体も凄く格好良い。ファッションウイークだったから余計かもしれないけど向こうはファッションは楽しむものとしてあるじゃないですか、特にその期間は。だからちゃんと着れる人、無理して着れる人じゃなくてそういう人がたくさんいるなと感じました。

―AGURI SAGIMORIの女性像について教えてください

ブランドを始めた当初は強くて芯が通っていてだけど趣がある人と言っていました。ゴシックと言うのが私達世代に共通してある物、それがパンクに行くのかゴシックに行くのかロマンチックに行くのかモードに行くのかわからないですけどみんなに共通してゴシックな気持ちがあるんんじゃないかという話になったんですよ。テイストとして。凄いハッピーなものが好きな人もいると思うんですけど私達世代に共通してあると思うんですよね。そういうのをそのまま素直に出しているブランドなのでそこに対する共感をしてくれる人が私の周りにファンとしていてくれる。イメージ像としてはパリのバイヤーさんや凄い強い女性なんですけど気持ちとして通ずる人がたくさんいるんだなというのを展示会で話して思ったことなのでそういう人達に対して自分が提供出来るツールを増やしていきたいと感じますね。服のバリエーションも増やしたいし。

―表面的な強さより内面的な強さと言うことですね

ここ(内面的な部分)ってみんなが共感してくれないとこではないのかなと思っていたんです。だけど作品を発表することによって周りにそういう同じものが好き、格好良いけどちょっと暗い、でも強くてというものが好きな人は割といたことに気付いたんです。だからみんながあまりないと感じている部分の共通ツールの為に服を増やしてもっと豊かにしていきたいですね。

―コミュニケーションという部分ですか

そうですね。

続く

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