Interview

MIKIO SAKABE S/S 2011 3/4

「根本的なファッション感が違うから東京のブランドは一般の人とかかわっていくべき。お客さんもちゃんと巻き込んでファッションはヨーロッパ発信のモノという意識も取り除けていけたらと思います」

―MIKIO SAKABEからは離れるのですが今回良かったと思うのはみんなの足並みがそろったこと。JFW自体のコレクションの数も減ったし、ショーをやるブランドは減ったけどコレクションウイークにぶつけて展示会やショーをやるブランドが今まで以上に多かった気がします。今まではそこの足並みがそろっていなかったのが今回はなんとなくそういう雰囲気になっていました

そうですね。動きとして東京自体が少しずつ面白くなっているのは間違いない。

―みんなで何かしようというのも凄く感じられましたね

それは本当にあると思います。前回僕らが台東区でコレクションを行ったThis is Fashionよりも今回の方が僕達の次の世代ということもキーになっていたし、Candyでみんながやった動きであったり唯馬(Yuima Nakazato)とか西山(Takashi Nishiyama)がやったことも含めて何か少しずつ次へのものも見えてきたと思うし東京の面白い部分もそういう意味では出てきていると思う。だから今までの東京コレクションとは少しずつシフトがチェンジしているということも感じることが出来たんじゃないかと思います。それはThis is Fashionだけでなく全体的なコレクション、若手も含めて。

―西山君を混ぜたというのは良かったですね。彼自身の良い経験にもなっただろうし

日本で彼はやっていて日本の教育機関しか受けてないけど世界で戦ってやれる立場になった(ITS#9 Collection of the Year受賞)というのもある。そういう面では学生の人から見ても遠い距離には感じ無かったと思うし、可能性も感じることが出来たんじゃないかと思います。今回のThis is FashionはASEEDONCLOUD, Takashi Nishiyama、Yuima Nakazato、AKIRA NAKAも含めてある意味どこか違う部分を全体的に見せれたと思う。そこではファッションの面白さみたいのがどれか一つでも伝わればいいと思っているので。だから東京自体が面白くなるということに夢を持っている自分達にとっては今回は自分達なりにうまくやれたとは思っています。好き嫌いはあっても全然良いし。ただ僕達This is Fashionがあることで面白いと思う人はいたんじゃないかなと思います。

―来シーズンもショー形式での披露となるのでしょうか

やれたらやりたいですね。ただ来季はやるとしてもThis is Fashionとしてではなく単体でのショーになると思います。それより1年に一回のThis is Fashionをイベントして盛り上げたいと思っています。世界を見ても東京が面白くなる可能性はまだまだあるし要素は凄く感じたので。

―東京が面白くない理由をデザイナーのせいだけにするのは良くない。見る側も努力して面白くしようとしなければいけない。海外と一番違うと感じるのは会場自体の雰囲気の違いなんですよね

でも東京も一般との距離は凄く縮まって来ていると思う。

―それは凄く感じました。多くのブランドがtwitterやHPでお客さんを招待していましたし。それは海外ではまだない動きですよね

それがまさに東京らしい動きになってヨーロッパと差別化できると思うし良い動きになってきたなと思います。ヨーロッパでは当り前じゃないし、根本的なファッション感が違うから東京のブランドは一般の人とかかわっていくべきなのかなと思います。

―一般の人を招待しているにも関わらず残念ながら席が埋まらないブランドもありました

それはこれからだと思います。当然最初からフルで席が埋まるほど東京が活性化されているとは思わない。けれどそういうことをしていくことでどんどんそれが埋まっていくと思うし東京コレクションというものが一般に知られていく可能性も増えると思う。だからきっかけにはなっていると思います。

―ブランド側が消費者に近づいてきている分もっと消費者や一般の人もそういうことに興味を持って欲しいですよね

でもやっとそうなってきはじめたということだと思う。Neocos展もそうだし自分がCHIM↑POMとやったのもそうだし何となくファッションがファッションだけじゃなくなってきていて、クリエイター同士も混じるしそこに一般の人も交じる。何となく今そんな動きになってきた。

―デザイナー同士の横の繋がりで発信するということも増えてきましたね

そういう面ではこれからだと思うから今までのヨーロッパ方式ではない東京ってものがちょっとずつ生まれてきていると思います。

―FAKEでやったショーには東京の良さが出ていました

凄く東京っぽい。ヨーロッパではありえない。お客さんもちゃんと巻き込めている。だからそういうことでファッションはヨーロッパ発信のモノという意識も取り除けていけたらなと思います。

―東京は東京らしくしないといけないと

ここに来てやっとそれが出てきていると思う。切羽詰まっているのもあると思うけどぎりぎりになると真実を見ないといけない時がくるからそこで西洋崇拝じゃないものが出てきているんだと思います。メディアも含めてシステムが違うから何がいけないというわけではないのだけど今までの方式自体が回らなくなってきているのは間違いないですね。

―東京ガールズコレクションに参加しているようなブランドも今回はJFWに参加しました。それに対してはどう思いますか

それがJFWの趣旨と合っていたのかどうかはわからないけどそういうブランドが参加することが悪いことだとは全く思いませんしそういうブランドが混ざること自体は凄く良いことだと思います。

―JFWに入らなければショーを出来ないという環境でもないですしね。JFWに入らなくてもショーをやってるブランドはいっぱいあるし、その期間にぶつけてショーをやったブランドもたくさんある。roomsLINKでのショーも増えたし

これから世界でアジアがキーになるのは間違いない。その中で日本がこうやってもがいてでも新たな方向を見つけているというのは凄く良いことだし旧型の物は先がないというのはちょっとずつわかって来ていると思います。日本はなんだかんだ言って年功序列みたいな部分もあるし人間関係も含めて。本当に良いものをどんどん押していくということが出来なかった部分もある。ただそういう部分も含めて取っ払わなければいけない時代にはなってきていると思います。

―評価されるものが良いものではなく自分が良いと思うものを評価しないといけないですよね

そういうのもねじ曲がっていた世の中だと思います。あの人が言ってるから良いというのは良くある話だし、スポンサーだからとか、何かしら関係しているからだとかで以前はやって来れたかもしれないけどもう今はそれじゃ動かないっていうのがまざまざと見られる。今は良いかどうかなんてtwitterとかgoogleとかで検索したらすぐにわかってしまう時代。だからジャーナリストが良いといってもみんな自分達で評価できてしまう。

―一般の人達が見れるようになってきたからこそよりごまかしはきかなくなってきていますよね

ごまかしがきかないということを念頭にこれからクリエイターもジャーナリストも動いていかなければ真実には辿りつけないしすぐ消えてしまうんじゃないかと思う。元々良いと言われていたものを追いかけているだけじゃファッションは時代と共に変わるし一年前に真実だったことが一年後に真実じゃなくなってしまう時代になっている。それすら見えていない人はいっぱいいるし20年前絶賛されていた時代のモノを未だに追いかけている人もいるのかもしれないけど、それと今の時代で必要とされるモノなんて真逆とも言えるくらい違うから本当に耳をすませないと良いものは見えないということをちゃんと知って欲しいですね。

―今の時代のデザイナーに必要な要素はなんですか

情熱です。情熱が凄く大事だと思う。やっぱり知識とか経験も必要だけど根底にあるモノはそこじゃないと思うしその手前には情熱がある。

続く

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