Interview

Carl Barât

2010年8月イギリス、レディング&リーズ・フェスティバルで6年振りの再結成、復活ライブを遂げたThe Libertines。2000年代のロックシーンを語るうえで、欠く事のできない最重要バンドの一つとしてピート・ドハーティーと共に、The Libertinesのフロントマンを務め、またDirty Pretty Thingsを率いたカール・バラー。彼はミュージックシーンだけではなく、ファッションクリエイターをも魅了するアイコンとして広告などにも登場している。
そんなCarl Barâtが待望のソロ名義のセルフタイトルアルバム『CARL BARÂT』をリリース。初の日本でのソロライブの為に来日した彼に音楽だけならず、ファッションについてインタビューをしてきた。

―アルバム『CARL BARÂT』は今までのあなたの音楽を聴いてきたファンにとってはあなたの新しい一面が見る事が出来る作品だと思います。一曲一曲がまるで短編小説でそれが一冊の本にまとまった様な作品だと感じました。アルバム『CARL BARÂT』の中であなたの思い入れのある曲はどれですか

そうだね、僕が一番気に入っている曲は ”So Long, My Lover” だね。
この曲は過去を過去にすることで未来をつくるということを言っているんだ。この曲にはたくさんのストーリーが入っているんだよ。それは別の人でも言えることだよね。

―あなたのアルバムを聴いていると、それぞれの曲にそれぞれの物語の情景や色を感じることが出来ます。でもそれは映画のように同じではなくて、聴く人それぞれが様々な情景や感情を持つことができるような作品だと感じました

そうであるといいなと思っているよ、そういってくれて本当にすごく嬉しいよ。

―今回はソロとしてのライブですが、バンドとしてステージに立つライブとソロとしてステージに立つライブの感情的な違いはどんなところですか

それは、まず自分がボスだというところだね。そこはいい点だね。だけどなんだろう、ソロのバンドはたまに少し孤独感を感じることがあるね。ソロの場合オーディエンスの反応が良いときは、ほら、見て見なよって思えるけど、反応が悪いときは少しバツの悪い気分になるかな。だから、やっぱりそういう時は孤独を感じるね。

―ファッションについてお聞かせください。ファション誌やファッションブランドの広告などでもあなたを見かけることがありますが、あなたのファッション界での交友関係を教えてください。

この前一緒に舞台をやったセイディー・フロストはファッション界に通じている友人の一人だね、彼女のブランドはメンズはやっていないみたいだけどね。
 他にはこの前パリでランバンのメンズのショーをフロントローで見てきたんだけどすごく良かったよ。今度ランバンのスーツ手に入れようと思ってるんだ。

あとはエディ・スリマンのディオールだね、あれは面白かったね、バンドを始めたころからブーツとかジャケットとか着ていたんだけど、ある日エディ・スリマンがやってきて、僕らの皆の洋服の写真を撮っていったんだ、そしたら、次のシーズン、ディオールが僕らの服を作ってきたんだ!臭くしないし、僕らが着ていたものよりちょっといいものになっててね。あれはよかったよ。

―エディ・スリマンはいい意味で完全にあなた達のスタイルをコピーしたと言えますよね

そうだね、僕から見ても本当にそう思ったよ。でも、いい物をタダで貰えたのはいいよね。

―ライブに行くとあなたの格好を真似した男の子をたくさん見かけますが、それに関してはどう思いますか

インディーミラーだね、イギリスのライブで面白かったのは、僕がこれ(カールは手首に赤いバンダナを巻いている)をしたときに、皆が同じようにバンダナでリストバンドをして手を上げてたんだ。あれは不思議だったね。でもかっこいいものだったり人だったりを真似することはいいと思うし、僕もそうすると思うよ。

―あなたのファッションアイコンは誰ですか

ジェームス・ディーンかな。3つ彼の写真を知ってるけど、1つはベストの写真でこれは僕も着る、2つ目はレザージャケットの写真、こういう格好も良くする、3つ目が皆がよく知ってるロングコートのジェームス・ディーンこれはかっこいいよね。うん、やっぱり彼が僕のファッションアイコンだね。

―ロンドンと東京のファッションの違いについてどう思いますか

なんだろう、もうTOPSHOPもH&Mもあるし、どんどん似てきているね。すべてのファッションマーケットがインターナショナルになってきているんじゃないかな。でも日本のファッションは大胆だよね。緑の奇抜な服を着て大きなハットを被った子を見かけたんだけど、そういう格好はロンドンでは見ないからね。

―日本のデザイナーで好きなデザイナーはいますか

うーん・・・日本のブランドで知っているのはヒステリックグラマーかな。何年か前に撮影をしたんだよ。その時に着たのがグリーンのドイツのコートなんだけど、胸のあたりにナチスのサインが入っていたんだ、それを見つけてびっくりして脱いじゃったよ。

―では、日本のブランドに限らず、最近のあなたのお気に入りのブランドとかアイテムは何ですか

このスーツかな、WHYREDのものなんだけど、いいスーツだよ。あとはドクターマーチンのブーツだね、人に鞄の中身を見せるのも変なんだけど、(と言いながら鞄を開けて中身を出すカール)このドクターマーチンのブーツだね。

―まさにトラディショナルな“ドクターマーチン”のブーツですね

そうなんだ、70年代のものなんだよ。映画のThis is Englandみたいなね。
あと、これは後で着るやつなんだけど、レザージャケットだね(All Saints)。・・・人に鞄の中身を見せるのってすごく変な感じだよね。

―そろそろ時間が迫ってきたので、ここであなたの今後の予定を教えてください

もうすぐ赤ちゃんが生まれるんだ、これはかなりビックニュースだよ。
それからあともう少しレコードを出して、リバティーンズについてのことにとりかかるかな、でも全ての事が落ち着いてからね。

―リバティーンズといえば、この前レディングフェスティバルで再結成しましたよね

あれはいいライブだったよ。すぐにではないけど、でもまたやりたいと思ってるよ。

―それでは最後に日本のファンにメッセージをいただけますか
会えて本当に嬉しいよ。しばらく来れなかったけど、覚えていてくれて、サポートとたくさんの愛をありがとう。すぐまた帰ってくるよ。

過密スケジュールにも関わらず、インタビューに応じてくれたカールは、どんなに周りが騒ぎたてても、華やかになろうとも、とても気さくで丁寧で、どこまでも紳士で思いやりに溢れた人だった。
自分から鞄をわざわざ開けて私物を見せてくれたり、エディ・スリマンの伝説のディオールオムの作品の裏話を茶目ッ気たっぷりに話してくれた姿は素晴らしいメロディーメーカーであり、ステージで見せるクールなミュージシャンとしてのイメージとはまた違った人間としての魅力にも溢れていた。

ソロアルバムはThe LibertinesでもDirty Pretty Thingsでもなく、今まで触れたことのない新たな魅力のカール・バラーを感じることができるアルバムになっている。

artist: CARL BARÂT(カール・バラー)
title:  Carl Barât(カール・バラ―)
label: Arcady Records / PIAS Recordings / Hostess
発売日: 絶賛発売中

定価 : 2,300円(税込)
※日本盤のみボーナストラック、歌詞対訳、ライナーノーツ付

Interview & Translation:kyoko.h

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