Interview

宮田理江 / おしゃれの近道

2011年9月8日、ファッションジャーナリスト宮田理江氏の初の著書『おしゃれの近道』が発売される。
大人の女性にとって頼れるファッション指南書とも言える、新しいタイプのファッション書籍『おしゃれの近道』。宮田氏ならではのジャーナリスティックな姿勢に基づき、「自分らしい着こなし」を見つける「近道」を手ほどきしていく。
蛯原あきら氏によるチャーミングな女性イラスト満載で、分かりやすくスタイルを提案。 圧倒的な接客経験を生かした、現場主義・消費者目線で”今”を発信するリアリティーのある手描きコメントが随所で光る。
年齢の枠にとらわれることなく、いつまでもおしゃれを楽しみたいものである。そして等身大の着こなしはもちろん、型にはまることない「自分流」スタイルを築きたい、と誰もが心に秘めていることだろう。今回初の著書出版を通して、宮田氏に「おしゃれ」をキーワードに話を伺った。


―この本には、世界中の着こなし、女性の為のおしゃれのヒントが満載ですが、改めて女性におしゃれの楽しみ方を提案しようと思ったきっかけは何ですか

世の中が沈みがちなときにでも、ファッションからパワーをもらえることがあります。ファッションは気持ちを盛り上げたり、華やがせたりといった働きがあり、おしゃれから元気がもらえるのです。そして、それはお金をかけるだけでなく、アイデアやノウハウ次第でもっと深く楽しむことができるということを伝えたいと思いました。

 ファッションに興味があっても、自分流のスタイルがうまく定まらなくて、悩んでいる人も多いように感じています。その一方で、割と自由な着こなしのミックスコーディネートが人気を得て、スタイリングの自由度が高くなってきました。だから、「もっと自分流でおしゃれを楽しんでほしい」という思いを込めて、自己流オリジナルスタイルを手に入れるための手ほどきを提案することにしました。

―この本の見どころを簡単に教えてください。またどのような人達に読んでもらいたいですか

人気イラストレーターの蛯原あきらさんが描いてくださった愛らしいファッションイラストが各見開きページに2~5点も載っていて、コーデのイメージが視覚的につかみやすい構成です。イラストには私が着こなしポイントアドバイス的に手書きコメントを添えています。

 まずはイラストを見てビジュアルにイメージを浮かべ、次に解説を読んで理解を深め、最後に手書きコメントからノウハウを得るといった読み方がおすすめです。どのページから読み始めても構わない見開き1テーマの構成ですから、パラパラと開いて、イラストや見出しが目に留まったページから読み始めてもいいと思います。

 1ページにいくつもの着こなしアイデアを盛り込んだつもりです。私自身がかなり常識にとらわれないスタイリングを好んでいるので、従来のファッション指南書にはない「気づき」を見つけてもらえると思います。おしゃれをもっと楽しみたい人、自己流スタイルを探している人、今の着こなしに満足できない人に役立ててもらえれば幸せです。

―女性はかつてないほど自由に装いを選択できるようになりました。現代女性のファッションをどのように感じていますか

年齢や立場に縛られない自由な装いを選択できるようになってきました。日本はもともと世界屈指のおしゃれレベルを誇る国ですが、ミックスコーデや大人カワイイ、ジェンダーレスなど、さらに今までの約束事を覆すような着こなしが浸透してきています。ただ、こういう自由度が認められてきたからこそ、自分が何者であるかを、ファッションを通してきちんと伝える表現力が求められています。

 ワンピースをオフィスや普段使いで着たり、ショートパンツを非カジュアル顔で着こなしたりと、以前の常識にとらわれないスタイリングが浸透しつつあります。でも、まだまだ自分流のアレンジにおじけてしまい、保守的なスタイルにとどまっている人や、周囲に合わせようとし過ぎている人も少なくありません。そういった人たちにとって、奇妙に見えない自己流コーデの手がかりを本書を通して提供したいと思っています。

―宮田さん自身が、おしゃれの参考にしているものはありますか

ヴィンテージや古着が好きで、昔からおしゃれのヒントにしています。人とかぶらない物や、ちょっと風変わりな物が好きなんです。少し毒っ気があって、同時にかわいらしい雰囲気も好きです。でも、それらを奇抜に見せないで、リアルコーデに落とし込んだ着こなしが私流です。

 昔の写真や映画などに出てくるスタイルも参考にしています。特に1960~70年代のムードに惹かれます。ヒッピー、サイケ、グラム、ロックなどの挑発的でチャレンジングな装いは私のイメージソースです。当時の何でもアリのごちゃまぜ感にもパワーを感じます。

 ケイト・モスやレディー・ガガ、野宮真貴さんに代表されるような、自分でリスクを取って、自分スタイルをつかみ取るおしゃれフロントランナーにはリスペクトを抱きます。狙いが鋭すぎて、エキセントリックに映るのは頂けませんが、失敗を恐れないで、自己表現のツールとしてファッションの可能性を広げようと試みる人たちには憧れを禁じ得ません。

―様々なシーンで女性を見てきて”おしゃれ上手”を感じる共通のアイテムはありますか

「おしゃれ上手」を感じるアイテムには、小物が挙げられます。バッグやベルト、アクセサリーなどの小物を粋に使いこなしている女性には、センスを感じます。

 レア物の扱いにも、おしゃれ感度が表れるものです。単に他人と違う物というだけではなく、「えっ、それってどこで買ったの?」と、尋ねたくなるような珍しいアイテムを見ると、そういう品に出会うために費やしたエネルギーや時間、そしてそれを選んだ審美眼を感じさせられます。

―自分の好きな洋服を纏うことで、感情表現も変わってきます。内面的な部分でも、自分らしい着こなしは生まれるでしょうか

おしゃれはセルフプロデュース。ファッションを上手に生かせば、なりたい自分に近づきやすくなるはずです。自分らしさに実感が持てるようになれば、他人の目をあまり気にしなくて済むようにもなり、内面にも変化がもたらされるでしょう。

 堂々と人前で振る舞えるようになったり、オープンに人付き合いがしやすくなったりという形でもプラスの効果が期待されます。それが結果的に自分のやりたいことの実現にもリンクしていくと思います。おしゃれは気持ちも人生も変えると、私は信じています。

Interview & Text:Tomoka Shimogata, Masaki Takida

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『おしゃれの近道』

株式会社学研パブリッシングより2011年9月8日に全国書店にて発売される。
「ショートパンツはフェミニン仕立てが鉄則」「胸下のベルト1本で即効美シルエット」等々、今、知っておくべきおしゃれのテクニックを、海外でのコレクション取材の経験に長けた著者が味のあるイラストとともに懇切丁寧に紹介する、成熟した大人の女性にとっての決定版ファッションテキストとなっている。
HP:http://shop.gakken.co.jp/

・著者紹介
宮田理江:ファッションジャーナリスト。ファッションブランドの販売員、バイヤー、プレスの経験を経て、ジャーナリストへ転身。海外コレクションのリポートやトレンド分析、スタイリング指南などに定評がある。
蛯原あきら:イラストレーター。雑貨の企画デザインを経て、2004年よりフリーに。見るものの心を惹きつける、魅力的な女性のイラストで人気を博している。多くの女性誌や書籍などでも活躍中。

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