Interview

Smith & Hardy / 福薗 英貴 2/2

始めた当時はどうやって完成させるか、たぶんそれが1番にあった。今は完成させて当たり前。いかにその中に、いろんなものをつめこむか

→Smith & Hardy / 福薗 英貴 1/2

―WHEREABOUTSの時はショーもやったりしていましたがSmith & Hardyでもやりたい気持ちはあるんですか

まだないですね。服がショーをやるにはまだ少ないですね。
ショーやるのは凄く良い。洋服なので、人が着て、それを見せるのが一番良いって思うんですけどね。
ただメンズなので細かいディテールとかまで見てもらいたい。凄い難しいところですよね。自分でもよく考えるんですけど。

―福薗さんが海外にいた時に感じた、日本とのファッションとの違いありますか

あの時は日本で新しいストリートブランドが次々に出てきた時期で、ヨーロッパだと若い人がブランドを立ち上げるってことがほとんどなくて、ファッションの世界にあまり動きがない。日本は次々にブランドが出てきて、向こうから見るとなんか東京って面白そうだなって、そう感じていました。

―凄く客観視されていますね

そうですね。動きがあるので、雑誌を見てても、「またこんなブランドが出て来ている」、「みんな服作れるのかな。なんでこんなにデザイナーいるんだろう」って。東京は良い意味で面白そうだなって。

―それもあって、日本でブランドをやりたいというのがあったのでしょうか

そういうことではないですね。個人的にはヨーロッパで働くものと思っていましたし自分としてもそうしたいなと思っていました。ただ4年生の頃にそういう風に東京にブランドがいっぱい出てきていた。それで1度東京で熊谷(隆志)さんに会う機会があったので「ブランドってどうやったら始められるんですか」って聞いたんです。そうしたら「しばらくうちで働いてみれば」って言われて、それですぐに決めて、向こうを引き払って日本に戻ってきたんです。
ブランドをやってみてわかったことなのですが作り方のシステムに関して言うと日本は少し特殊なシステムだったのでギャップを感じたこともあります。

―Smith&Hardyの名前の由来を教えてください

名前の由来を聞かれても本当に何も意味がないんです。名前を聞いた時に、まずどこのブランドか想像出来ないようにしようというのはあった。Smith&Hardyって聞いて、これがどこの国のブランドかわからないですよね?だからそれでいいかって。お店に置くからには名前を付けなければいけない。Smith&Hardyという名前はやる前から「次やるならこれにしよう」と決めていました。
自分の名前だと(福薗英貴 / Hidetaka Fukuzono)ブランド名としてはちょっと重いなって思うんですよね。

―WHEREABOUTSという名前を決めたのも福薗さんですか

そうですね。WHEREABOUTSに関しては「服を作ってるところが自分の居場所」みたいな感じの意味から、WHEREABOUTSってつけたんです。

―自分のブランドを本格的に始めようと思ったのはWHEREABOUTSを辞めたのが理由なんですか

そういうわけではないですね。WHEREABOUTSを辞めてから(2010-11 A/Wがラストコレクション)多少時間もあいて今回から(2011-12 A/W)本格的にスタートだったので丁度1年間くらいあいています。ブランドを本格的に始めようと思ったのはセールスエージェント・TRIPLE.ARCH.WORKSの方から「一緒にやろう」って誘ってもらえたのがきっかけなので出会いが一番大きいですね。

―WHEREABOUTSを辞めてからの1年間くらいは何をされていたんですか

タケオキクチのコレクションラインのデザインディレクターをやらせていただくことになりました。平行して個人的にSmith&Hardy名義でも服をつくっていました。

―タケオキクチとSmith&Hardyではものづくりの方法としては全然違いますか

そうですね。でも、ある程度は自由にやらさせて頂いています。ただ自分のブランドではないので、あまり枠からはずれるものは作る気はない。全然違う考え方でやるから、凄く面白い。それにタケオキクチはブランドの規模が大きいので勉強になりますね。

―Smith&Hardyは全て一人でやられているんですか

Smith&Hardyはパターンに関しては、ずっと一緒にやって頂いている方がいるので、今は自分でパターンを引くことはありません。作るプロセスとしてはタケオキクチとそれほど変わらないですね。

―アントワープを卒業されて日本に帰国してから10年、WHEREABOUTSを最初に始めてから7年程経ちますが最初の頃と作るモノや意識に違いはありますか

全然違いますね。始めた当時はどうやって完成させるか、たぶんそれが1番にあった。今は完成させて当たり前。いかにその中に、いろんなものをつめこむか。一個一個の精度を高めるという意識の方が高い。最初の頃とは違いますね。

―Smith&Hardyは本格的に始めたのは2011A/Wからですがそれ以前にも個人のプロジェクトとしてやられていたとそうですね。いつからやられていたんですか

WHEREABOUTSをやっていた時からコレクションという形ではなく、お店からのリクエストでその名前で作っていました。

―その頃はどんなものを作っていたんですか

もっとカジュアルなものですね。アメリカっぽいというか、古着っぽいというか、そういったアイテムのリクエストが多かったのでそういうものを作ってました。

―Smith&Hardyがイメージする男性像ってあるんですか

野暮ったさとエレガンスを両方持っている男性ですね。

―どういう人に着てもらいたいなというのはありますか

気に入った人に着てもらえればいいですかね。特に「こんな人に着てもらいたい」という服作りはしていないですね。

―Smith&Hardyは自分が着たいものでもあるんですか

そうですね。WHEREABOUTSの時よりももっとパーソナルなコレクションです。
だから今はSmith&Hardyの洋服ばかり着ています。

―Smith&Hardyが参加しているto kuri projectでは最初に共通のテーマが決まっていますよね。テーマに基づいてやる服作りのやり方はどうなんですか

元々そういうやり方をしていたのでその方がやりやすいです。テーマを決めて、資料を集めてというやり方ですね。文章や言葉からインスピレーションをうけることもあります。

―今回のテーマは「ARCHIVE」でしたがそこからどのようにデザインを広げていったのですか

自分の中で一応裏テーマ的にミリタリーみたいなのがあったので、軍隊の制服というものにフォーカスして、それからネイビーというイメージが来て、ああいうものになった。
細かい部分には特にこだわっています。ディテールで雰囲気、空気感みたいなものを作りたいというのがあるので。

―今後の目標はありますか

Smith&Hardyをブランドとして成長させていかなければいけないと思っています。
今は日本だけでの展開ですが、ヨーロッパを含め色んな国で展開したいですね。次のシーズンから型数も増えるし7月にはNYで展示会も行うのでそこで頑張りたいですね。

Interview & Text:Masaki Takida

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Brand Profile:Smith & Hardy

Smith & Hardyは元WHEREABOUTSデザイナー、現TAKEO KIKUCHI” のデザインディレクターも務める福薗英貴氏により2011年より本格始動。”シンプルでクリーンそしてエレガンスと遊び心兼ね備えた男性服”をブランドコンセプトとしている。

TRIPLE.ARCH.WORKS
0334965951
http://www.triplearchworks.com/

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