Interview

39-39

「39-39」という不思議な看板を初めて目にしたのは、Old Streetの日本食レストランバーLifeに飲みに出かけたときのこと。そしてレストランの地下に位置するショップに足を踏み入れてみると、そこに広がっていたのはファッション、アクセサリー、アート、ステーショナリーをミックスして創りだされた、独特の雰囲気のショップ兼ギャラリースペース、「39-39 / thank you! thank you!」。今年の9月にそのOld Streetからイーストロンドンの中心地Kingsland Roadへと移転を果たし、そのラブリーなユニークネスは今、より多くのカスタマーへ届けられようとしている。
移転再オープンを記念して、ショップの創設者であるTATSUO、PIP、PETEにインタビューを行った。

―ショップのコンセプトや美学を教えてもらえますか?

39-39 / thank you! thank you! は、オンライン・プラットフォームとロンドンのキングスランドロードに位置する実店舗からなる、コーオペレイティブなライフスタイルとリテイルのコンセプトです。一心同体のような3人のクリエイティブなフレンズによって立ち上げられ、ショップでは尊敬する他のフレンズやファミリーと共に育て上げたユニークなアイディア、コラボレーション、エクスクルーシブな商品を展開しています。

―皆さんのバックグラウンドを教えてもらえますか?以前どのようなことをされていて、どうして一緒にショップをオープンしようと決めたのですか?

TATSUO :僕はPeterと共にマンスリーマガジン「Dazed & Confused」で働いていて、今も毎日ではないですが様々な長期プロジェクトに携わっていて、よりマーチャンダイジングやプロダクトをDazedと協力して行っています。

PIP:私はウィメンズウェアデザイナーで、現在はCourtney Loveとニューコレクションを製作しています。39-39における役割はバイイングディレクターとデザイナーで、PeteとTatsuoと共にブランドを成長させています。

PETE:僕は紙媒体、ウェブ、ブランディングなどのアートディレクターです。DazedのアートディレクションをしているときにTatsuoと出会って、TatsuoとPipからショップの立ち上げとクリエイティブ・ディレクションに携わらないかとアプローチされ、すごくやってみたいと思いました。僕たちは皆すごく似たテイストをシェアしているので、コラボレーションのプロセスはすごくスムーズで楽しいです。

―「39-39」というショップネームと、「39-39, UNIQUE PRODUCTS AND ART / ユニークな物や趣向」というロゴは他のショップとは違ってとても印象的で、容易にショップを認識することができます。このショップネームとロゴに隠されたストーリーや考えとはどのようなものですか?

TATSUO:僕たちはいつもポップでキャッチーなものを好んでいて、シリアスに考えすぎたりせずに側にあったものから取っただけで、ロゴとコンセプトは常にそこに存在していたものです。

―ショップではファッション、アクセサリー、アート、ステーショナリーのミックスが特徴的で、CasioのG-shockやオリジナルバッグといったグッドクオリティな商品とSwashのような若手デザイナーがひとつのスペースに同居していて、更にクールな雑誌やSeana Gavin、Mari Sarai、Yuko Kondoといった素晴らしいアーティストの作品も展示されています。このようなバリエーションのプロダクトやクリエイターをピックする際の基準は何なのでしょうか?

TATSUO:僕たちが個人的に好きな物で、それらを同じく好んでくれる人たちがいれば、ということがセレクトにおける唯一の基準です。それに幸運にも、私たちの周りにはクールなアーティストやデザイナー、クリエイターの友人が常に沢山います。

―注目すべき新しいクリエイターを誰か教えてくれますか?

TATSUO:僕たちが注文したテディ・テーラードジャケットは良いものだと思います。Colin Taubは元祖テッズテーラーの父であるので、新しいというわけではありませんが、才能あふれるカッター兼デザイナーのJanie Spencerの手によってモダンに見えるようにデザインとフィットを改良しました。レーベルの名前は「A Good Day Sir for Colin Taub」と言います。

―皆さんはロンドンのことを大変よくご存知だと思います。過去10年でロンドンはどのように変わり、またファッションシーンとリテイルビジネスという点における現在の状況をどう思いますか?

TATSUO:過去10年で善くも悪くも変わったと思います。しかし、僕は10年以上前にここに来て何かを起こすために人々がどうするのかということをすごく学んできて、それは僕には非常に新鮮なことでした。ここで僕が出会った人々は、てきぱき行動するというアティテュードを有していて、自分の視点や信念を形成するのに役立ちました。今UKは良い時期とは言えませんが、ここには非常に多くのクリエイティビティが常に存在していて、住むのはとてもエキサイティングでしたし、それは今も同じです。

PIP:不景気の良い点はクリエイティビティを生むことです。小規模のストア、ポップアップ、そしてコラボレーションの増加に非常に大きな影響を与えてきました。そのようなタフな時にビジネスを保つためには、もう少し型にはまらない考えが必要です。キーとなるのはイノベーションです。今日のロンドンでは、気を引き締めクリエイティブなジュースを溢れさせることが必要です!

PETE:このイーストロンドンが空っぽで人がいなかった時のことを覚えています。僕にとってはホクストン・スクエアのThe Blue Noteが始まりで、そこから約10年前に突然クリエイティビティが爆発したのです。このあたりのエリアは現在多くの新しいストアがオープンし、おもしろいクリエイティブな人々が働いていて、再びエネルギッシュになってきているように思います。39-39もこの素晴らしいエナジーにすごくフォーカスしていると思います。

―最後に、ショップの来たるべきニュースを教えてくれますか?近い将来39-39のまわりではどのようなことが起こるのでしょうか?

TATSUO:今までしてきたことをこれからもしていくのみですが、近い将来より大きなものにしていければと思います。

Interview & Text:Yasuyuki Asano Photo:Kazuma Sato

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