Interview

b STORE 2/2

ファッションショーはブランドの認知度を広げる為には凄く良かったのですが今はショーをやることはあまり重要ではないと思っています。多ジャンルのクリエイティブな人と仕事をする機会があるので彼らと一緒によりクリエイティブなものを作っていきたいと思っています

→b STORE 1/2

―b STOREのショップのコンセプトとブランドのコンセプトは一緒ですか

同じだと思います。ただb STORE自体は一つですのでよりコンセプチュアルですがb storeブランドは他のお店でも売って欲しいと思って作っていますのでお店に比べたらコンセプチュアルではないかもしれません。b magazineであったり洋服であったりフォーカスしているものの集合体、辿りついた結果がb STOREというお店になるのです。

―b STOREをスタートした当初b STOREブランドは靴だけでしたよね

そうですね。ですが靴だけのお店にはしたくなかったのでクリエイティビティのプラットフォームに、コンセプチュアルなストアにしようと思いました。ですからお店のオープン当初もPeter Jensenのセントマーチンでの卒業コレクションを購入したりしました。彼も先日10周年を迎え私たちも10周年を迎え彼らの成長と共に私たちも成長したと思っています。
それにフォトグラファーのWolfgang Tillmansもb STOREでエキシビジョンをやった翌年には賞を獲り凄く有名になりましたし、当初から若くてクリエイティブな人と仕事をする機会がとても多かったのです。
そういうクリエイティブな若手のデザイナーやアーティストを紹介することによりそのアイデア自体が凄く評価されるようになっていきました。それからSaville Rowに移り洋服をスタートさせ洋服を目当てに来る人も増えてきたのです。

―2012S/Sシーズンからはウィメンズコレクションにも本格的に力を入れてきていると思いますが

その2, 3シーズン前からウィメンズウェアーを作ってはいたのですが、b STORE girlというのが街にいるかどうかわからなかったのでb STORE girlがみつかったら始めようと思っていました。

―ということはb STORE girlを見つけられたんですね

ついに見つけたんです(笑)。
b STORE boyのガールフレンドがb STORE girlだったんです。 でもそれに今までは気付かなかったんです。
b STORE girlはboyに比べてより新しいものに対しての欲求があります。メンズであれば良い形のチノパンツがあればそれを定番として色を変えたり、サイズを少し変化させたりすることにより継続して発表出来るのですが、ウィメンズは全て変化させなければいけません。以前はb STOREのメンズコレクションを女性が買っていたんです。それでサイズを小さくしたらよりたくさんの女性が買ってくれるのかなと思っていたのですがそのままのメンズのサイズ感で買いたいという人が多かったんです。少しずつ女性のカスタマーも増え、より多くの人にアプローチをする為にもそろそろ本格的にウィメンズを始めなきゃいけないと思ったのです。

―ウィメンズはChloe Struykがデザインしています。彼女が見つかったからウィメンズラインを始めることが出来たというのも一つの理由としてあるのでしょうか

それも凄く大きな理由です。
僕らがデザインしたのであればb STOREのウイメンズコレクションにはなり得ません。重要な事はデザイナーのクロエがb STOREのマインドを理解しているということです。彼女自身がb store girlでありb STOREに対して明確なビジョンを持っています。

―b STOREのコレクションもクロエが入ったことにより変化があったのでしょうか

そう思いますね。
彼女のアイデアがメンズのプリントに採用されることもありますし彼女からの影響は凄くあると思います。ウィメンズのスタイリングはメンズと同様Jason Hughesがスタイリングしているのですがそれでもルックを見るとシルクのドレスにクリ―パーシューズで凄くクロエっぽい。カジュアルなんだけどカジュアルすぎないクールなスタイルです。彼女が入ったことでメンズのチームにも凄く良い影響を与えています。

―マシューさん自身はウィメンズのコレクションにどのくらい関わっているのですか

今まさに2013S/Sのコレクションのプラニングをしている最中でみんなでアイデアを持ち寄っているのですがウィメンズとメンズで共通している部分もたくさんあります。その後生地を選ぶのですがその行程は一緒にやっています。そこからデザインに入ります。そこはウィメンズとメンズ全く別々の作業になります。デザインは個別にやるのが大事だと思っています。

-マシューさんはb STORE boyなんですか

そうだといいですね(笑)。でも年齢的にもボーイというよりはマンかもしれませんね。
メンズは私ともう一人のパートナーのカークとデザインしているのですがコレクションはカークの部分と私の部分、二面性があるコレクションだと思っています。

―一時期はLondon Fashion Weekでランウェイショーも行っていましたが最近はどちらかといえばプレゼンテーションに方向が向いている気がします

ファッションショーはブランドの認知度を広げる為には凄く良かったのですが今はショーをやることはあまり重要ではないと思っています。それよりはプレゼンテーションなどの方向に今は向いています。多ジャンルのクリエイティブな人と仕事をする機会があるので彼らと一緒によりクリエイティブなものを作っていきたいと思っています。
それに今はポップアップショップもありますし色んなプロジェクトを同時に抱えていますのでそちらの方によりフォーカスしたいと思っていますのでランウェイショーはしばらくはやらないと思います。

―6月にはロンドン初となるメンズファッションウイークが開催されますがショーやプレゼン等何か予定しているのでしょうか

ランウェイショーではありませんがプレゼンテーションはやります。
これまで英国ファッション協会(British Fashion Council)やMANにも関わってきましたし、ロンドンファッションウイークのメンズのアイデア出しもしてきましたので、今回そういうことをやる上で何か手伝ってほしいというオファーを受け、それを断る事は出来ませんでした。

―今年はロンドンオリンピックが行われます。オリンピック関連でb STOREでも何かやる予定はありますか

‘オリンピックストリートフェア’というものをやろうと思っています。ストリートフェアというのは英国の伝統的な慣例でストリートに大きいテーブルを並べてご近所で食べ物などを持ち寄りパーティをするんです。それをオリンピック期間中はb storeでやりたいなって思っています。(b STOREのある)Kingly Streetは車も通らないし、並びには良いレストランもあるので美味しい食事も用意できますしね。

―オリンピック用に何か特別にプロダクトを作ったりはされないんですか

それは考えていません。
b STOREの新しいロゴも4色なのでオリンピックかなって。私たちのロゴの方がオリンピックのものより全然良いデザインですけどね(笑)。
このロゴが入ったTシャツはオリンピック期間中のストリートフェアで売ろうと考えています。

―ビジネスの活動の場として日本のマーケットのことをどう考えていますか

b STOREのコレクションも日本のプレスから好評でしたし、以前から日本には凄く興味がありました。ですが日本での展開を始めるにはきちんとしたタイミングできちんとしたパートナーを見つけてからじゃないと出来ないと思っていました。今は正しいパートナーを見つけることが出来たので少しずつ日本の皆さんにも認識していただけたらと思っています。

―3月16日から渋谷のトゥモローランドで行われたb STOREのポップアップショップについても教えてください

当初の考えとしてはトゥモローランドの店内で大きいポップアップショップをやるというのではなく、小さい空間でb STOREというブランドを知ってもらうスペースを作ることを考えたのが始まりです。トゥモローランドはb magazineに凄く興味をもってくれたのでポップアップショップではそれを使ったインスタレーションも行いました。またこのポップアップショップの為に限定でTシャツを作成したのですがそれはこれまでのb magazineのイメージからセレクトしたものをTシャツに落とし込んでいます。

―ポップアップショップでは10周年を記念したアクセサリープロジェクト”10 for 10”の商品も販売されるそうですがどのようなものになるのでしょうか

その予定だったのですがとても大きいプロジェクトなのでもう少し時間がかかりそうです。今は6月を目処にやっています。
”10 for 10”とは5つのエスタブリッシュなブリティッシュブランドそれに5つのブリティシュのニュークリエイターとの10のプロジェクトです。

―最後に今後の展望について教えてください

今後香港のLane Crawfordにポップアップショップをオープンします。それからEAST PAKとのコラボレーションも決まっています。LIBERTYとのコラボレーションは次回も続きます。先程も言ったようにオリンピック期間中のストリートパーティもありますしそれにイーストロンドンにポップアップショップもオープンします。それは今までとは少し違ったコンセプトになります。Richard StreetにあるNOTHING BUT NAVYというお店でやるのですがそのお店はインテリアとライフスタイルのお店でネイビーのものしかないんです。それともし良いスペースが見つかればギャラリーもオープンしたいと思っています。

Interview & Text:Tomoka Shimogata, Masaki Takida

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