Interview

SAYAKA MARUYAMA 1/4

2007年よりロンドンを拠点に写真家、フィルムメーカーとして活動する丸山サヤカ氏。
幻想的な光と包み込む妖艶な色彩。その作品が醸し出す、奇妙だが情緒的な熱が皮膚を刺激する。

渡英後に独学で写真を学び、ファッションマガジンのための撮り下しから東京、ドバイ、ロンドンのギャラリーでの写真展、ロンドンファッションウィークのショーのアートディレクションなどを務める。
また、2004年よりヘア&ヘッドプロップアーティストでパートナーの河野富広氏とNEON O’CLOCK WORKSとして活動。今年度は拠点を東京に移し、1月には高円寺キタコレビル内のGARTERにてエキシビジョン「ネオン・オクロック劇場」を行うなど、より勢力的な活動が期待される。

東京で活動する現在、写真と映像を中心としたファッション/アートの分野におけるインターナショナルな活動とその原点についてお話を伺った。

―思春期をオランダで過ごされていたと聞いています。

はい、そうですね。家族で転勤で行ったのがきっかけです。13歳くらいから16歳まで行ってました。親の転勤の都合で家族で移住し、私は中学生だったので向こうで現地のインターナショナルスクールに行って勉強してました。

―その期間がサヤカさんにとって影響を与えていることってありますか

結構いろいろな影響受けましたね。例えば美術関係とかは特にいろいろな作品を見て回ったっていうこともありますし、あとは旅行もしたので色々な国の影響や文化や教育も良い意味で違いました。
美術は自由でした。内容的には抽象的な絵を描けとか、想像力を掻き立てられるようなものが多かったですね。

―アートの勉強はされていたのですか。

勉強という勉強ではないです。オランダにいる時は中学生だったので美術の授業はありましたけど、それ以外ではなかったですね。でもその美術の授業自体が多分日本とは全然違ったかもしれないです。
色々な音楽を流してもらって、その音楽ごとに聴きながら絵を描くというようなものがありました。

―想像して描くということですか。

そうです。想像して頭で考えずにリアルタイムでやる。発泡スチロールを使って自分のアイデンティティを表せとか。バックグラウンドとか生まれ故郷や自分の性格などを取り入れた抽象的な課題が多かったですね。
当時の私には何かよくわからなかったですが感覚的にやっていました。

―それから多摩美に入られたんですよね。

そうですね。多摩美に入って情報デザイン学科に入りました。

―在学中から現在の作風に近いものを表現されていたんですか。

大学は4年制ですけど、最初の1,2年はいろいろなことにトライしていた感じでした。出される課題をこなしていて、それがグラフィックデザインだったり映像をちょっとやり始めた、フォトショップをちょっとやり始めたとか。音楽やサウンド、インタラクティブデザインという音に合わせて動くグラフィックなどもやっていました。それでその2年間やった結果、自分で進みたい方向を3年次に決めて、それから映像をやりはじめました。

―今はフォトグラファーの印象が強いですが写真は独学なんですよね。

はい。本格的に始めたのはロンドンに2007年に行ってからですね。

―何故ロンドンだったんですか。

NEON O’CLOCK WORKS名義で「KRAGENEIDECHSE」(カーゲンアイデクセ/2007)とかボックスコラージュを作って出版したり、自分で手製本した作品があったので、それを持って海外の反応を見たかったというのが最初です。
初めは何となくフランスが良かったんですけど、フランス語に自信がなかったので。
それでまずはロンドンからということでロンドンに行ったら、1年の渡英が結果的に4年ぐらいいました。

その時まではいろいろな表現方法を使っていたんです。絵だったりグラフィックデザインみたいなものもやっていたり、ボックスコラージュやブックデザインもやっていました。基本平面のものが多かったですね。それで向こうに渡ってから、何か1つに絞らなきゃと思って写真になりました。

―写真を最終的に選んだきっかけは何だったんですか。

ロンドンで本屋さんに行った時に、すごい良い写真集の多さに驚いたんです。細かい名前も知らないような人からプロの人まで、色々なフォトグラファーがいました。それで写真の表現も結構幅が広いなと思ってやり始めました。また、写真だったら自己表現も可能だし 人のために仕事としてもやれるのではという思いもありました。

―河野さんは彼がヘアをやっているので、彼がそれを写真に残したいから必然的にサヤカさんが写真をやっているとおっしゃっていました。

それも仕事です。それは向こう的にも利点がありますね。私も風景写真とかじゃなくてもともと被写体として好きなのが人間なんです。道ばたでもあまり写真撮らないですし。被写体が人間だったからモデルがいて、作られたそういうセットで撮るというのが最初の興味ですね。

―私が見た限り、全ての作品が人を撮っていた気がします。

はい。ポートレートとかも未だに撮りますね。1番興味があるのが身体や顔といった人がモチーフになったもの。そうじゃないとあまり写真を撮らないです。

―サヤカさんの写真のモデルは女性が多い印象も受けます。

そうですね。被写体としては、女性の方が好きです。身体のラインが綺麗だからというのもありますね。あとはもうちょっとやりたいのはダンサーとか、身体的に美しい人。まあふくよかな方も撮ったりしました。

そういうことを全て引っ括めて、色んな人を撮ることに興味があります。だからあれはあれでそういう機会があって、面白そうだなと思ってやりました。

―やはりボディラインなどにこだわりますか?

いままでは特に被写体をオブジェ的に見ることが多かったかもしれないです。そいう意味ではシルエットやラインは重要視していました。 それが最近少しずつ変わってきています。もう少し動きや感情を捉えたいです。

Comments are closed.