Interview

フラワーアートユニット plantica “plantica/nomadic” 3/3

より多くの人に見てもらいたいし、また変哲ない日常の公共空間に対して華道の作品を展開することで、新しい空間の捉え方とその感覚を感じてもらいたい

→フラワーアートユニット plantica “plantica/nomadic” 1/3
→フラワーアートユニット plantica “plantica/nomadic” 2/3

―花のインスタレーション以外にも、写真や映像、プロダクト、サービスを創ったりしていますが、なぜ花を表現する上で、多様な表現方法を取っているのですか?

実物の花を鑑賞する以外にも、花の”イメージ”で楽しんだり、遊んだりすることも出来る。そこが花のもう1つの魅力だったりします。

写真や映像にすることで作品の光の当たり方や背景、トリミングすることで、また実物を鑑賞するシチュエーションとは違った、花の見方を楽しむことができます。また、例えば、ファッションデザイナーが花柄を洋服のデザインに取り入れることも、花という”メディア”が無形のさまざまなシンボルや意味を持つからだと思います。さらに、人の名前にも、花のイメージは積極的に使われますね、例えばキャバ嬢の源氏名には、花の名前って頻繁に使われていたりします。

だから花は、実に多様な表現方法と組み合わせられる”メディア”だな、と感じています。

― plantica はさまざまなファッションブランドやクリエイターとコラボをしたプロダクトを作っていますよね。

以前に ”Plumpynuts” というアパレルブランドとコラボして、実写のフラワープリントを施したストッキングを作りました。異業種のブランドやクリエイターとコラボすることによって、逆に華道という可能性を広げることにも繋がっていますね。だからコラボレーションのチャンスは、いつも前向きにやらせて頂いています。

―たくさんの作品を手掛けてきた中で今まで、一番印象に残った作品はなんですか?

やっぱり野外で作った作品は印象に残っていますね。花や華道の作品は、屋内や室内で通常飾られる事が多い。でも、そうではなく、よりパブリックな場で表現するのもありなのかなと思って。例えば、グラフィティアーティストは野外で作品を展開しますよね。あれには外でやる意味やアーティストの狙いがあると思うんです。今の消費社会とか今の規制された価値感に対して、真っ向から対抗していくようなビジュアルアートですよね。グラフィティアートって、より多くの人に作品を見てもらいたい、また社会に対してメッセージを発信したい、というモチベーションがあって、野外のウォールに描かれていると思うんです。だから、そのグラフィティアーティストの想いと、僕の中でも重なる部分がある。いわゆる華道って室内で楽しむモノ、という決まりきった感じがしていて、そもそも室内でしか鑑賞できないのであれば、そこに来て貰わなければ見てもらえない。より多くの人に見てもらいたいし、また変哲ない日常の公共空間に対して華道の作品を展開することで、新しい空間の捉え方とその感覚を感じてもらいたい、という想いで野外での作品も作っています。

―国や地域によってやれる事も全然違ってきますね。

そうですね。沖縄に行った時は沖縄の植物を積極的に使いました。例えば、グラフィティウォールは平面で2Dの表現ですよね。生け花は3D。地面の上では立体表現がしやすいけど、壁に対してどう生け花できるか、かつグラフィティに対してどう調和させるか。新しい挑戦でした。結果、コラージュのようなアプローチで、植物を使ったのですが、面白かったです、新しい手法を発見しました。いわゆる花瓶に生けるだけが、僕らの表現活動ではありません。

―個展”plantica_nomadic”のタイトルに込められた意味は何でしょうか?

planticaという活動を通して、色んな場所や空間で花を生けることが出来る、という可能性を実感してきたので、実際に日常空間や場所を ”nomadic(遊牧民的な)”しながら作品を展開できると良いな、という想いを込めて、タイトルを作りました。

また、いわゆる”伝統”から離れていくという意味でも”nomadic”であって、お決まりの華道の慣習や花型法に安住しない、その型からはみ出して、新しい価値を生み出したい。そのためには、ゴールも道もない、というか、ぼやけた不明瞭な世界を彷徨いながら発見しないといけない、という心理的な挑戦の意味も ”nomadic(漂流しながら)”というキーワードに含ませました。

―planticaのようなフラワーアートを目指す人も多くなると思います、どうすれば良いと思いますか?

花は一般の人にとって、とても身近にあるものですし、フラワーアート自体は作るモノが面白ければ、それで成立すると思います。始める敷居は高くないし、また経験を積めば比較的良い作品をつくることは可能だと思います。

また、好奇心旺盛であると良いですね。地球上に何百万種という花や植物の種類が存在していて、一生かけても全部活け切ることは出来ないと思います。フラワーアートは異なる花同士の組み合わせで、新しさを魅せる芸術でもあるので、その表現手段は無限に広がります。だから、自分なりの花の組み合わせを、飽くなき好奇心を持って、発見してほしいと思います。

HP:http://plantica.net/

Interview:Masaki Takida

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