Fashion Show

EACH×OTHER

ファッションデザイナーIlan DelouisとアートディレクターJenny Mannerheimが2012AWに立ち上げたアーティストとデザイナーとクラフトマンがコラボレートして服作りをするという新たなアプローチのブランドEACH × OTHER。今季は7名のアーティストとコラボレーションしている。
  
 
Artist ALESSANDRA D’URSO:
イタリア人フィルムメーカーでありフォトグラフファーであるALESSANDRA D’URSOは、ニューヨークのINTERNATIONAL CENTER OF PHOTOGRAPHY で写真勉強した後、10年間IGGY POP やJACK WHITE、JAY-Zなどのカリスマ的ミュージシャンとツアーを回り写真を撮ってきた。その後アーティストのポートレートを撮影することに興味を持ち、Alex Katz、Kiki Smith、Philip Taaffe、David Salle、Donald Baechlerなどの数々なアーティストのポートレートを撮り続けている。
彼女はこう語っている。「私にとって、写真とは命を理解し受け入れる手段であり、旅をしながら素晴らしい人々に出会う為の口実なのです。光はとても重要で、全ては光によって変化します。色を全て排除して世界をモノクロで見ることにより、陰とテキスチャーに集中します。また被写体に近づくために全てを一度排除します。」
 
SPRING SUMMER 2014 -
クラシシズムと純粋さをルーツとしたロマンティックなコレクション。フラワープリントが繰り返し使用されており、コラージュ風の花柄のパンツやシャツから、Tシャツのフロントに花のモノクロ写真を転写したものなど。カラーパレットはソフトで落ち着いた色、カットは流れるように優雅だ。それは彼女の代表的な作品である『A BODY NEVER SLEEPS』の優しいイメージにぴったり合っている。
 
 
Artist ALIZE MEURISSE:
フランス人ライター/アーティスト。彼女は言葉や油絵やスケッチやコラージュを通して、アイディアをできるだけ具体的に描写をする。異なる段階を通して関係やエコーを生み出し、自然に蜘蛛の巣のようなものを作り出す。彼女は常にレインボーカラーや箱入りのクレヨン、生地のサンプル… などを始めとするペンと紙と色に魅了されている。ALIZEは、インスピレーションは見つけるものではない、それは単純に物事を見る方法であり、その方法にかき立てられて人に分けてあげたい、自分がそこに何かをささげたいと感じるものであると考える。彼女はアーティストの義務は、わずかな恥を打ち消すことだと信じている。
 
SPRING SUMMER 2014 ‒
2Dペイントと3Dフォームを融合した繊細なコレクション。服の裏地やシャツの前面には天使の画が描かれており、古典絵画をコンテンポラリーにデザインするという斬新なインスピレーションが見られる。キャンパスに絵を描くのと類似した質感を連想させる伝統的な刺繍を施した生地やブルーやオレンジや赤の色をスップラッシュしたデザインは、洋服を「クリエイティブな自己表現をするための自由な空間」という彼女のアートに対する手法を模倣している。
 
 
Artist FABIO PALEARI:
FABIO PALEARIは、ミラノ生まれのフォトグラファー。彼の熱のこもった写真や映像は、経験と感情を描いた心の奥の日記のようなものだ。それぞれの写真や映像にははっきりとしたストーリーが存在し、時間と空間のパラメーターの中に具体的に描写されている。時間と空間の要因、それは主観性と客観性のデリケートなバランス、柔らかさと荒さ、孤立と親密、艶やかさとザラつき、これらの対立はどこにでも同時に存在し、彼の写真を一気に優しくも激しくもする。
その激しさは彼のアレン・ギンズバーグやウィリアム・S・バロウズのようなビート世代の詩人との幅広い交友関係や、状況主義者で理論家のギー・ドゥボールとFABIOの個人的な”生きた”アートというビジョンが融合した影響によって生まれたということは明らかだ。彼の作品のテーマの状況が具体的な世代や場所を象徴していることがしばしばあるが、それはFABIOの本能的な人類学の目が、公平なルポルタージュから、なにかもっと考えさせるようなものを促し表現しているのだ。彼は生まれながらに瞬間をとらえる能力を持ち、それがイタリアで最もパーソナルで深く核心をつくフォトグラファーという彼の評判に通じているといえよう。
 
SPRING SUMMER2014 -
FABIOの作品は日常のドラマと親密さを強い色と柔らかいイメージや素材を組み合わせて表現したコレクション。
2006年にKate Moss とPete Doherty を被写体にした彼の写真本 ”I WON’T GIVE UP” をテーマとしており、” I WON’T GIVE UP“のフレーズをモチーフとしたプリント TEEや、フォトモンタージュで作られるクルーシフィックスのシンボルが装飾されたシャツやパンツ、ガイ・ドゥボールの象徴である”NE TRAVAILLEZ JAMAIS”のスローガンをプリントした生地を使用した裏地などアイキャッチーなモチーフが多く使用されている。
カラーパレットはモノクロをベースに、指し色として強いマスタードカラーを使用している。
 
 
Artist RUIZ STEPHINSON:
パリを拠点に活動するコラリー・ルイズとアンソニー・ステフィンソンのアートデュオである。
彼らは自分たちの展示会を不変的なものの中心であり、訪れる人たちはちょうつがいの役割を果たしていると考える。
作品は人に見られた瞬間に社会にさらされているということを意識し、それが彼らが長年リサーチを続けているテーマとなっている。
訪れる人々とアーティストの両者で均等をとることが大切で、両者はともに遊牧民であり冒険家である。彼らが作品の周りを回るのではなく、ギャラリーというエリアが軌道となり、地軸の周りを回転しそのギャラリーという軌道の周りを我々が周回していると考え作品を作っている。
 
SPRING SUMMER 2014 ‒
ミニマムなラインと中間色の色合いと想像と現実の間にある宇宙を記念して作られたサイケデリックなタイダイと幾何学プリントを融合させたコレクションとなっている。メインのモチーフの『DREAM BABY DREAM』は全てのアイテムにコレクションを通して使用されている。フリンジのついたピースや織り地のニットは黒と白の激しいコントラストのコレクションの中で、形あるものと透明感の間のデリケートなバランスを見せている。
 
 
Artist YI ZHOU:
新進気鋭のチャイニーズアーティスト。10歳でローマに移住し、パリとローマで育ったマルチリンガル。
近年、彼女の作品は上海、ベニスのビエンナーレ、サンダンスフィルムフェスティバルで上映された。
2010年より活動の拠点を上海に移し、若手のチャイニーズアーティストにチャンスを与えるためにスタジオと制作会社を立ち上げ、彼らと共にインターナショナルプロジェクトを作成している。イメージメーカーでありミューズであるイットガールのYI ZHOU は、制作者にも出演者にも成り得、今日の中国版ヒッチコックであり、オノ ヨーコでありCINDY SHERMAN である。
 
SPRING SUMMER 2014 ‒
2014SSのコレクションは科学とアートの融合である。心電図写真と壊れた中国製のポルセリンが、モダンと伝統の融合に入り混じったようなコレクションだ。構造的なラインが特徴的であり、袖の短いレザージャケットや着物の形からインスパイアされた広がった袖のトレンチコートとなどがキーアイテムとなる。メインカラーは、白と中国のヤナギの色を連想させるセルリアンブル-で、コレクションの原点であるオリエントとの関係をしっかりと表現している。
 
 
Artist KOLKOZ:
KOLKOZ は、サミュエル・ブトルシュとベンジャミン・モローの2人組フランス人アーティストデュオ。
彼らは、対立をテーマとしたコンセプチュアルで常に多くを考えさせる作品を発表している。このデュオが用いる表現手段は幅広く、様々な手法を通しバーチャルな空間と現実を融合させたダブルな空間を作り出す。また彼らの作品はイノベーションとポテンシャルがキーコンセプトとなっており、「人間が1つの身体として機能すれば全てが可能になる」ことを意図している。
彼らのデュオとしての作品は、コミュニティと経験のシェアを概念化したものである。コルコッツは2つの身体を持ちながら、1つのアーティストとして機能し、それゆえに彼らのクリエイティブな作品は個人と集団との細い線をデリケートに行き来する。
見る人を感覚的そして知的なレベルへ引きつける彼らの作品は、見る人が視点をアートのみならずリアリティそのものに適合できるかを挑戦しているのだ。
 
SPRING SUMMER 2014 -
スポーツと宇宙の融合をテーマとしたKOLKOZの作品、”MATCH DE FOOT SUR LA LUNE (月の上でサッカーの試合を)” からインスパイアされたコレクション。 ニュートラルなカラーのフューチャリスティックな素材の
ランニングショーツやサッカーのジャージ、サッカーボールの模様を連想させるような六角形の型のエンボス、上空からの眺めの写真が転写されている素材を使用している。
このスポーツマンシップのアイディアが地球外生命体と合わさり、コミュニティとイノベーションの融合は何をも可能にするということを表現している。
 
 
Artist JEREMY KOST:
ニューヨークを拠点に活動するフォトグラファー。ジェンダーやセックス、純粋さ(とその喪失)とその関係をテーマにうっとりとさせるポラロイドのポートレートを撮る。彼の写真は人間の欲望を写しており、その欲望はフォトグラファーである彼自身が見る被写体を具体化したものだ。「子供から大人への成長」は、JEREMYの作品においてキーテーマになっており、普通の人間が経験する「純粋さの喪失」というアイディアが彼の作品の中心にある。JEREMYのポラロイドの一枚一枚は、はかない純粋さを『目に見える記憶』として残している。そして私たちが見るものの美しさ・私たち自身の美しさ・そして私たちが表現したい美しさ、をベースにポラロイドが束ねられている。彼のスナップショットが持つ愛情表現を1つ1つはがしていくと、そこには多くの真実と錯覚が見える;美貌、完璧主義、バランス、脆弱性、純朴さ・不安定など。これらの矛盾に見えているものは、実は本質的にはつながっているというのが彼のメッセージである。
 
SPRING SUMMER 2014 ‒
JEREMY KOSTのコレクションは彼のポラロイドの作品の色やフォームを落とし込んでいる。
写真がコラージュ風にデザインされたパンツやTシャツの組み合わせもあれば、シャツやセーターの一部に透明のパネルをはめ、パネル越しにモデルの体が透けて見えることによって、フォトグラファーが実際に見ている被写体を見ているようなピースもある。カラーは赤と黒の色が多く使われているが、それは写真が生まれる暗室を連想させている。
 
 

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