Interview

unruly 後篇

迷っても結局第一印象を信じるということですね。いろんな人に何か言われても自分の第一印象を信じると後悔しないというか

—今回秋冬ですが春夏と変わらず着れそうな洋服が多いですね

そうですね、自分にとってはあまり季節は関係ないですね。短順にこれじゃなかったらと思ったら厚い洋服とかも作ったりするんでしょうけど秋冬だからコートを作るとかは無いですね。(秋冬だからアウターを作るという)商業的な面はあまり考えていないですね。回りを見ていると考える必要も無いのかなと思いますし。結局他に代わりがいるというか自分達が作らなくても他があるからというのもありますね。

—だったら自分が作りたいものだけを作れば良いと

そうですね。
そのうちそれで駄目な時が来るかもしれないですが。着れなくても良い服というのと着れても必要ない服というのが自分のなかにあるんですよね。

—時代性を反映したデザインとかは考えたりしますか

しないですね。自分たちくらいのブランドで不況が影響するのであれば世の中の人みんな影響受けているのではと思います。
逆に(不況で)自分はチャンスと思っています。今まで相手にされなかった生地屋や工場なども相手にしてくれるようになったので。自分たちみたいに同じ素材を使うブランドをまとめて買うので喜ばれたりもしますし。

—unruly の期間限定ショップが先日まで渋谷東急百貨店東横店にオープンしていましたが反響はありましたか

凄い良かったですね。売り上げも良かったですし。今までそこは(そこのスペースは東横百貨店内に)お店があるブランドが出展していたんですね。だから自分たちはまず「このブランドなんなんだ?」ってところから始まるスタートだったんですね。
渋谷を歩いてるような自分のブランド絶対着ないだろうみたいな人がたくさん買ってくれたので凄く新鮮でしたね。「あーこういう人も買うんだ」みたいな。
自分が思うのは今東京コレクションに出ているようなブランドさんと同じようなことをしていても絶対にネームバリューで勝てないのでそういう人達がやっていないことをやっていきたいですね。ブランドとしてのイメージはあるんだけど実は色んな人が知っていて買ってくれるみたいな。イメージの強いセレクトショップには入れないけど百貨店なら入れるみたいなお客さんは結構いるのでうまく広められたらいいなと思います。
言うのは難しいですがコレクションをやって有名になってという王道的なルートではなく違うルートから行きたいですね。色んなことを地味にやって広がっていくのが理想ですね。

—ではランウェイをやるという予定は無いのですか

チャンスがあればやってみたいですね。ただ無理してやる必要はないかなと思います。今やったらやっただけで終わりそうな感じがするんですよね。ただ「ランウェイやったんだ」みたいな。金銭的な問題もありますが。昔はランウェイに強い憧れはありましたが今は小売の方に興味がありますね。

—小売というのは

限定ショップというのを何度かやらせていただいてるのですが直で売ってくことの楽しさとかというのはありますね。unrulyは自分たちで縫っているものも結構ありますので。「これ結構自信あるのに」って思って展示会持っていくとセレクトショップではオーダーもらえなかった商品も小売に出すと結構 unrulyを好きな人は「こういうの欲しかったのよね」と言って買ってくれたりするんですよね。

—自分も限定ショップに立つということですか

こっそり立っていますね。裏の方で。

—接客はしないけど売り場の様子を見ているみたいな

チラ見みたいな感じですね。あとは裏で整理してたりもします。「これ売れたんだー」とか。そういうのは凄く面白いなと思いますね。

—自分だけのお店を出したいというのはありますか

それはやっぱりありますね。その為に限定ショップもやってるんですけどね。
ラフォーレ(原宿のfur fur)では若い子に売れ、一方百貨店では40代50代の方がunrulyを購入してくれるっていうのは面白いですね。幅広い年代の人に支持してもらえるというのは凄く嬉しいですし。

—親子で購入してくれる人とかもいたりしますか

いますね。親子連れは凄く嬉しいですよね。親子で同じのを着ている人とかもいますし、「娘と一緒に着ます」という人もいますね。

—メンズをはじめるという予定はありますか

今のところないですね。もしやるのであればレディースとは全然違うものになると思います。

—デザインをする上で大切にしていることとは何でしょう

線を引いてる時とか縫いあがってみた時とかに何か「これだっ」って感じるものがあるんですよね。気持ち良い感じというか。どれだけ描いてもぴんとこない感じとかあるじゃないですか。

ーー直感を大事にしているということですか

そうですね。迷っても結局第一印象を信じるということですね。いろんな人に何か言われても自分の第一印象を信じると後悔しないというか。今のところはうまくいっていますね。

—理想の顧客像ってありますか

ないですね。

—Unrulyとはどんなブランドですか

正直なことを言ってしまえば特に無いですね。受け手側次第というか。

—でもイメージ、デザインする側的には出来上がって来ているんですよね

自分が作るものはこういうものだというのがこういう結果ですよね。「可愛い感じの人が着る服だよね」ってお客さんが判断してくれて買ってくれるならそれでいいと思うし「大人の人が着る服だよね」って理解してくれてもそれでいいし。そういうのが集約された結果がunrulyみたいな。別に自分が決める必要はないのかなって思いますね。そういう人たちが「次こういうの出るのかな」と期待した結果と自分の考えているものがマッチすれば最高ですけどね。

—洋服を作っていて楽しいですか

楽しいですね。趣味みたいなものですからね。日常的な感じですね。仕事というよりは。専門学校のときは昼間学校に行って夜課題するじゃないですか?その延長みたいなものですね。学校行ってる部分が仕事になってという感じですね。

—今後の展望を教えてください

こつこつやるだけですね。地道にやっていくだけで特に望みとかはないです。続けられることが一番かなって思います。
HP – http://www.unruly.jp/

(Interview, Text/Masaki Takida, Photography/Takahito Sasaki)

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