Interview

durbuy


ヨーロッパの古い伝統と文化で生まれた木靴sabot。そのsabotにファッション性と季節感を足して生まれた靴ブランドdurbuy。注目の新ブランドのデザイナー中津由利加氏に話を聞いた。

—ブランドコンセプトについて教えてください

サボだけど木のソールを使ってそれをアイデンティティにしてアッパーとかを自由に変えていってもうちょっとファッションに落とし込むという感じですね。サボって古着だったり土臭いイメージだと思いますがそういうのを覆すようなものを提案したいと思っています。

—今回のコレクションのテーマについて教えてください

テーマ性とかシーズンテーマというのはというのは特に設けていないです。
サボはフランスとかヨーロッパで労働者階級の人が履いてた靴なのであまり派手な存在ではなく地味な存在でそんなに華やかなものでもないので(今までスポッ トの当たってこなかった)そこ(サボ)にスポットをあてて、イメージとか先入観とかを覆すような靴を作っていきたいですね。

—今回のファーストコレクションは秋冬ですがそれは意識しましたか

意識はしました。ファーとかニットなどの冬素材を多く使いました。「デニムを使いたい」とか「シーチングとかを使いたい」とかのデザインもあったのですが 今回はそういうものはやめました。春夏に回そうかなと思って。あとは今後は靴としてして形成されているものも造っていこうと思っています。サボだけでなくソールはそのままに。今回初めてのコレクションで(サボは)響き的に春夏物と言うイメージがあるから初回は結構イメージ付けだったりそういう部分を意識して全部突っかけタイプにして「サボです」ということをアピールして。秋冬物だけどさすがにこういうのは真冬に履きづらいと思うので秋冬の立ち上がりとして秋冬の匂いを漂わすような物として履いてもらうような提案になっています。

—今までデザインの経験とかは無いと思うのですが初めてのコレクションはどうでしたか

デザインは勿論自分でデザインしたのですが、どうやって作っていけば良いのかとかはわからないのでそれはもう靴の職人さんと相談しながら進めていく感じで すね。「これは出来る、出来ない」とか元になるもの(ラスト)もオリジナルなんですが(靴の)サンプルをいっぱい買って、「このソールの形綺麗」とかそう いうのをいくつかピックして「その形のこっちはこの高さ」みたいのを口頭で職人さんに伝えて作っていきました

—最終的にこの形になった理由はなんですか

今2つ形があるんですが、片方は普通に売ることを考えたときに「絶対ヒールは履かない」っていう人がいるのでヒールをほとんど感じないソールを一つ、サボっぽいけどラストの幅が細くてブーツとか革靴っぽいラストで作ってて。もう一つはもう少しエレガントで細いシルエットであまりサボサボしてないというかミュールを思わせるようなシルエットで作っています。あとはウレタン入れて履き心地とかも考えて作っていますね。

—デザイン以外にも苦労する部分はたくさんあったと思うのですが

そうですね。デザインだけじゃなくて今はPRに営業、生産管理までなにからなにまで全部一人でやっているので大変ですね。今まではお店の店長とかバイヤーとかしかしたことなかったので。

—ものを売る側から作る側へと変わったわけですがそういった経験がデザインする上で役立っていますか

それはありますね。自分が売る立場だったらということを考えますね。自分が履きたいかどうかとか、お客さんは好きかどうかとかそういうのを売る側目線で見れるのは大きいですね。自己満足で終わるのは嫌だったので。

—ではなぜ靴だったのでしょうか

靴の方が服より冷静な視点で見れると思ったというのはありますね。あとは洋服はシーズンごとにトレンドだったりテーマ性だったり考えなければいけないので難しいなと。

—流行とかトレンド性とかは意識しましたか

あまりしてないですね。履き心地と(洋服との)合わせやすさですね。靴はやっぱり合わせやすさが重要だと思うので。

—どういった人に履いてもらいたいとかはありますか

極端な話ですが誰でもいいですね。変に若い子だけに固執したくないですし、ターゲットを絞ってないですし。自分が良いと思ってくれた人が履いてくれればそ れでいいですね。おばあちゃんにもおばちゃんにも履いてもらいたいし10代の若い子にも履いてもらいたいし。その人のワードローブにすんなり入っていける ものでありたいというのはありますね。

—子供用はありますか

まだないですね。まだラストが2型しかないので今後広げていければとは思っています

—メンズの展開は考えていますか

考えていますね。「メンズも作ったらいいじゃん」ていう声が意外に多かったのでレディースは今回19型でやったんですがメンズも来期は2型くらいでベーシックなものに絞ってやりたいとは思ってますね。

—どちらかといえばマイナーなSabotに焦点を当てた理由とは

サボってビルケンシュトックみたいなものなのかなって。普遍的なものというか。自分はそういったものが好きなので。

—サボに合わせる洋服の提案とかはありますか

なんでも良いと思います。映像にもあえて服は載せてないんです。提案の一つとしてミリタリーパンツとかワンピースとか着せてタイツだったりソックスと合わ せて履いてもらってる写真も撮ってはいるのですが。でも映像は靴に対するイメージでモデルのイメージがつくのは嫌だったのであえて顔も載せてないし服もの せてないし足と靴だけ。だからその人なりにコーディネートを楽しんでもらえればどんな服装でも良いのかなと思います。

—以前ロンドンに住んでいましたがそういったことで何か影響を受けていることはありますか

幅は広がったと思いますね。固執しなくなったというか。視野が広がりましたね。

—どういったところからインスピレーションを受けているのでしょうか

今までずっとアパレルやっていて見てきたものや履いてきたもの。あーいうの欲しいなって思ってたものとか、そのとき自分が凄く気になっている素材、例えば今回で言えばナイロンとかですね。


—初の展示会の反響はどうでしたか

良かったですね思ってた以上に。バイヤーさんからの反応も良かったと思います。結局意外性が受けたのかなと。サボのブランドというのはあまり無くて国内に はあまりサボの技術が無いのもそうなんですが歴史がないというか。ヨーロッパは木を削って作るというのがカルチャーとしてあったのですが日本では下駄くら いしかないので作るのが凄く大変でしたね。だから結果的に見る人が珍しがってくれたというかそこに食いついてくれた人が多かったかなと思います。

—ブーツとか他の靴の展開も考えていますか

作っていくと思いますね。

—たとえばそれに合う洋服の展開とかは考えていないのですか

それはないですね。下半身くらいは作るかも知れないですが。パンツだったりソックスだったり、靴に合わせるものを。

—今後どのようなブランドにしたいですか

トラディショナルな物の要素を取り入れつつ色だったり、素材だったりで良い意味でサボなのにっていうブランドにしたいですね。伝統と新しさが混じった。で も絶対にぶれないブランドにしたいですね。コンフォートとかスポーツサンダルとか変わらないブランドと、変わっていく新しいものを取り入れたりデザイン性 を追及するものの中間くらいでいたいなーという感じです。

Designer Profile中津 由利加
1984年生まれ 福岡県出身。2002年3月上京後、某アパレル会社に勤務、販売・バイヤーアシスタントとして経験を積む。2005年5月ロンドンへ語 学留学。貧乏生活ではありつつも5ヶ国17都市を旅し、カルチャー、ヒューマニズムに興味を抱く。2006年11月帰国。再び某アパレル会社にて、バイ ヤー・ショップマネージャーとして更に経験を積み、2009年3月退社。2009年4月durbuyスタート
HP – http://www.durbuy-products.com/

Interview, Text/Masaki Takida, Photography/Takahito Sasaki

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