Interview

ETHOSENS 前篇


デザインのインスピレーションを日常に見出し未来のスタンダードになり得る革新的な表現を目指し、本質的なクリエーションの追求を行っているブランドETHOSENS。そのデザイナーである橋本唯氏に話を聞いた。

—まず今回のコレクションGentlemen?についてお聞かせください。”?”にはどんな意味が込められているのでしょうか

私は常に”男らしさ”やメンズウェアの既成概念に違和感があります。Gentlemenに”?”をつけることで既存のメンズウェアを尊重した上でそこに生じる疑問を形にしました。
たとえばネクタイなんですが、何もネクタイについて知らない人に渡したら多分通常の使い方をしないと思います。首にかけたり腰に巻いたりという可能性もあります。ネクタイの形をしたマフラーを渡された人は果たしてネクタイの様にまくでしょうか?
テーラードなどのディテールにしてもそもそも必要性があるか疑問があります。シャツに対する既成概念によってパンツがシャツのイメージを感じると思います。装飾的なラペルだったりチーフなども果たしてこれが今必要なのかという問いですね。

—既成概念に対するアンチテーゼといった形ですね

そうですね。こういうものって普段何の疑問も抱くことが無く、たとえばラペルの位置ってこだわるべきメンズのポイントだと思うのですがそもそもそれは必要なのかという問いをしたかったということですね。

—あなたのデザインアイデンティティやこだわりなどを教えてください

ゼロから見たこともないような新しい形を作るのではなくて既存のものを違う視点から見たときに発見する革新性を大事にしています。もちろんひとつひとつのクオリティに対するこだわりはありますがそれをあまり主張したくないですね。ただ着た人が心地よければそれで良いと思います。

—パリ(ランデブー)で2度出展していますがその理由を教えてください

出展する理由としてはより多くの人の反応を受けられる部分が大きいですね。日本という枠だと凄く限られると思うのですがそれを広い世界を考えてみたときに可能性というものを考えて出展してみました。またそれに対する反応というものもありまして、実際商売的にはなかなか結びついたかというとそうではなかったんですけども多少そういった反応もあって今は休んでいるんですが今後またそういった機会があれば出したいですね。

—それは自分で出そうと思ったのですか

そうですね。

—パリで出展したことによって気づいた点とかわかった点とかってありますか

日本の良さということに気づきましたね。日本はファッションに対して歴史は浅いのですが自分たちの世代というのは今を思えば異常という位ファッション に対して執着が強い世代で、物心がついたときから劣等感から来る執着というのを持ち続けていたと思うんですよ。それによって日本のファッションに対する感性というのは高いと感じているのでそれを実感したというのはありますね。

—パリの方が新しいものを受け入れられづらいということですか

パリのレベル的なことですね。東京とパリそんなにレベルの差はないなというのは凄く感じましたね。逆に東京の方が面白い部分もありますしそういった点では凄く自信にもなりました。東京のカルチャーをそのまま世界に持っていったときにそれは自信をもって発表できるかなと思いました。

—商売的には厳しかったと先程仰いましたがそれはどうしてだとお考えですか

信用性の問題だと思うんです。実際1シーズン(海外のお店との)取引はあったのですが、いろいろなバイヤーさんが見てその時点で買い付けをしてくれるというのがなかなか(評価)反応に対して少なかったなと感じました。

—それはネームバリューの問題でしょうか

ネームバリューを意識しているとは思わないのですがそのときに初めてのコンタクトなのでそういった部分でちゃんと商品は入ってくるのかという部分の信用の問題が大きいのだと思います。

—ETHOSENSはある意味挑戦的なデザインでもあり、着る人を選ぶデザインであると思うのですが

デザインの中で一番大事なことは必然性なんですね。デザイン=装飾というイメージがありますが私はそういった価値観に魅力を感じてないのもあってデザイ ン=テーマ性だったりとか機能性に対しての必然性を見つけることがデザインだと思っています。人を選ぶという部分で言いますと私は男らしさというのに凄く拒否反応があって(男性という)一般的概念の外見上の力強さだったりとかかたさというところに元々拒否反応があるので自分の中の男性像として純粋さと繊細さと知性(品性)が備わっていることが理想としているのでそういった意味で人を選ぶということに繋がってくるのではないかと思います。

—男性=テーラードではないと

そうですね。ただそんなに自分のクリエイションを重視して人が着ることを度外視してデザインしているわけではないです。

—あくまでご自身のクリエイションを貫いてる感じがしますね

自分の表現という部分。存在意義というかそれが存在する価値というのをやっていかないと自分が作る意味が無いのかなというのはありますね。

—今現在展示会ベースですがランウェイでの発表などは考えていませんか

それ(ランウェイ)自体に興味はありますがファッション=ランウェイというのには少し疑問があっていろいろな表現手段と言うのはランウェイ以外にもあるんじゃないかなと思っています。具体的にどういうことかまでは決まっていないのですが違う表現の仕方というのを少し考えたいとは思っていますね。今は展示会ベースでやっているわけですがたとえば動画で表現したり自分の表現したい部分が一番伝わりやすい方法というのが一概にランウェイとは限らないのかなとは思っていますね。

続く

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