現代の人にアピールするという時点で時代を意識してもの作りをしているという感覚はありますね
—メンズウェアでありながらも女性にもファンが多いブランドなのですが具体的にレディースラインの発表とかは考えていますか
全く興味が無いわけではないですが自分が男なのでメンズウェアという意識は強いですね。
—自分の着たいものを作るということですか
勿論自分が着たいというのも前提にありますね。自分の中でターゲットというのは実は制限は無くて、年齢だったり性別でターゲットを絞るという方向には行きたくないと思っています。自分がやってるところに関してはメンズウェアなんですが女性が女性なりの着こなしをしてくれるというのは自分にとっても凄く有難いことですし、刺激的なことではありますね。メンズとして形にあげたときに「これは女の子でも着れるな」というのは出てきますね。それに対してはサイジングも少し小さいものを作ったりするようにしていますね。
—良い意味で(既存の)男性らしさが少ないという部分が好まれる理由かもしれませんね
そうですね。性別に対しての垣根を考えたくは無いというか、ただ体の形が違うのでそういった部分でのメンズという意識はありますね。精神的な部分での性別というところは縛られること無く創っているという感じですね。
—コレクションのテーマを通年(S/S, A/W)で設けているわけですがその理由とはなんですか
半年に一回というスパンは少し短いというかもう少しテーマ性を掘り下げたいというところがあるので,春夏秋冬というアイテム自体は変わるんですがそれをトータルとして一つのテーマとして昇華したいということで2シーズン続けて同じテーマをやっています。
—ということはやはり次回のS/SはGentlemen?になるわけですか
そうですね。
—既に頭の中イメージはありますか
2シーズンこなすことにより自分の中でもテーマ性というのを掘り下げることも出来るのでそれゆえに根っこがしっかりしていないと2回やることに対して意味はないのである程度のイメージは出来ていますね。
—ETHOSENSの洋服をどんな人に着てもらいたいというのはありますか
理想を言えばあまり強い男らしさというのは好きではないのでさっき言ったキーワードの要素というのは大事にしています。ものを作るうえでの責任として顧客像はイメージするべきだと思っていますがまだクリエーションが発展途上なところがありますのでなかなか難しいですね。ただ年齢や性別を絞り込むような方向は避けたいとは思っています。
—デザインをする上で最も重要な点を教えてください
テーマと機能性に対しての必然性というのは一番大事でそこが見えたときに始めて完成を感じるというのはありますね。
—インスピレーションについて教えてください
アイデアは日常に転がっていると思います。日常のことって意外とちょっと視点を変えるだけで新しい発見というのが生まれると思うんですね。完成されたものから受けるインスピレーションというのもあると思うんですがそういった部分でなくても例えばこの柄(新作の坂の滑り止めを転写したもの)は装飾として作られたものではないただの滑り止めという意味でつくられたもので、それを洋服に転写することでそれが新しい装飾に生まれ変わるんです。ネクタイとかもそれに対して(物本来の見方とは)違う視点で見ることによって新しいものが生まれるという感じですね。
—ブランドを立ち上げる依然に働いていたブランドで学んだ点とはどういったことでしょうか
様々な面で吸収させていただきました。ショーでの世界観の作り方であるとかそれ以外にもあげたらきりが無いくらい色々学ばせていただきました。
—以前のブランドではパタンナーをやっていたわけですがもともとデザイナー志望だったのですか
もともとデザイン志望だったんですが洋服をデザインする上でやっぱりパターンという立体に起こす作業を知っていた方がデザインに生かされるという点でパターンを勉強したいというのでパターンをやっていました。
—デザインをする上で時代背景やトレンド性などを意識したりしますか
時代背景は考えますね。トレンドを意識してというのではなく何かカルチャーが生まれる時というのは絶対に時代背景があって生まれると思うので単純に自分が現代社会だったり現代の人にアピールするという時点で自分の中では時代を意識してもの作りをしているという感覚はありますね。
—例えば今であればどうでしょうか
時代感としてクリエーターの個性というのが受け入れられづらい状況であると思います。ファストファッションが流行っている中で大事なことというのは自分がものを作る上でどういったメッセージ性というかそういった根本的な部分が大事な時代だなと思っています。
-東京で活動していく上での利点と逆に悪い点などあれば教えてください
海外を拠点で活動してないので比較することは難しいとは思いますが新しいものは生まれやすいというのはあると思います。ただそれによって回転が速いのでサイクルが速いという欠点はあると思います。しかし新しいことに対して受け入れる土壌はあるのかなと思います。外を歩くだけでも色んな情報が自然に入ってくるのでそれをどれだけ受け入れた上で飲み込まれないというか流されないよう自分の中でコントロールしていかないといけないというのは難しいなというのはありますね。
Designer 橋本唯
エスモードジャポン卒業後、パタンナーを経て2003年よりEthosの活動を開始し、2007-8年秋冬よりEthosensとしてスタート。ブランドコンセプトは「Ethos(不変的)+Sense(流動的)=生まれ持った特質と進化する感覚の融合からなる可能性」。最小限からなる革新的な表現、カテゴリーを超越した本質的なクリエーションを追求している。
HP – http://www.ethosens.com/
(Interview, Text/Masaki Takida, Photography/Takahito Sasaki) 2009/May
[...] info@ethosens.com / http://ethosens.com/ 関連記事/Related Articles ETHOSENS Interview 1/2 ETHOSENS Interview 2/2 Beach Community Activation [...]