Interview

Chihiro Baba

時間・身体・古い壁の3つのテーマをメインに2D・3D・インスタレーションなどを織り交ぜて作品作りをしているアーティストChihiro Baba。アーティスト活動だけではなく「人の皮膚とコラボレーションするような感覚で製作している」という洋服も人気を博しているデザイナー馬場千紘氏にインタビューした。

—簡単なプロフィール・活動内容(アート、洋服共に今後の活動予定についても)について教えてください

女子美術付属高等学校卒業後、ロンドン留学。2003年に帰国後、オブジェの製作。
2005年 Chihiro Baba 名義で洋服にデザインやプロダクトしたものを落とし込み活動開始。
今後の予定は来年の1月に個展が決まってます。年内にも個展をやる予定です。場所などはまだ未定ですが。服は現在パルコシティのサイトショップ・クリエイ ターズマンション内にお店を持たせてもらっています。あとはシンキロウというお店に置かせてもらったり、他のお店にはスポットでちょこちょこ置かせて頂 いています。

—今回Parcoのクリエイターズマンションでお店に立たれたわけですが実際に店頭に立ってみて(売る側の目線に立ってみて)何か感じたこと、得たものはありますか

どういう客層の方達が興味をもってお店に入って来てくれるのか、直に知ることができたのが面白かったです。お店のコンセプトなどの文面で確認できない部 分、その街やお店が入っているビル全体の雰囲気、人の動線などが全て関わって、自分の作品がそこでどのような存在感なのかが確認できて、勉強になりまし た。また、作っている時は自分の世界に没頭しますが、一歩外に出て客観的に見ると自分の作品なのに違った印象を受けたり、作品が自分の手から離れたところで他の人と関わっているのを見るとはっとしたりしました。

—アートの延長として洋服があるのですか。同じプロセスですか。アート活動と洋服の違いはなんでしょう。(ブランドコンセプト等あればそれもお願いします)

アートの展開として服があります。服は平たく置いておけば2Dですが、着てもらう事で3Dになって動き回ってくれる。絵のように壁に飾っておく事もできる し、身につけることもできる。という楽しみがあります。一方服として販売する以上最低限のルールがあったりしますので、気を使う部分はあります。逆にアー ト活動の方は見る人にどういう影響を与えるかは考えますが、もっと突き放して作っています。
服は人の体の上を覆うもう一枚の皮膚だと思っています。なので、人の皮膚とコラボレーションするような気持ちで制作しています。
最近はアート作品を購入できるサイトやマーケットも増えてきていますが、やっぱりアートっと聞くとまだちょっと特別な感じがする人も多いと感じます。その 点、服だともうちょっと手にとってもらいやすかったり、コミュニケーションがしやすい部分があるので違うメディアを行きして色んな人と関わりたいです。

—アートを最初にやっていて服をやるきっかけというのはなんだったのでしょう

H.P.france水金地火木土天冥海で個展を開かせて頂いた時にバイヤーの方の「服も作ってみる?」という一言から始まりました。というのも、もとも と作品のコンセプトの中に身体や皮膚をテーマにしているものも多く、学生時代に作った‘着てもらうことで成り立つ作品’として、服を加工したポートフォリ オを見て頂いたのがきっかけです。ナチュラルな気持ちで作った作品でしたが、石膏がついていたり、アパレルの方からすると新鮮だったようです。

—馬場さんの服は全て手作りのようですがやはりアーティストとしてそういったことにこだわりがあるのですか

ボディはキャンバスとして、その上にコラージュするような感覚で制作しています。なので、今後たとえ工場に任せることがあったとしても、何か直接手を加える部分は何処かしらあるかと思います。

—メンズ/レディースで何か違いはありますか

違いはありません。気に入ってくださった方がいれば、いろんな方に手にとって頂けたら嬉しいので両方用意しています。ただ、どうしても手作業なので、生地の大きさ上レディースの方が作りやすく、レディースで作ることが多くなってしまいます。

—洋服を作るプロセスを教えてください

平面やオブジェの作品のコンセプトから発展させることや作品の色形が気に入って服に乗せていく事もあれば、ぱっと思い浮かんで即興で手を入れてしまうこと もあります。あとは素材を見つけてこれを使いたいというものをコラージュのように組み合わせていったり、その時によります。
また私の作品を知っているブランドさんやお店の方から布を渡されて、その上に好きなようにプリントやペイントをしてと頼まれることもあります。

—ロンドン生活で得たこととは(ロンドン以前、以後で作品、考え方など変わりましたか)

ロンドンに居たのは実際1年半程度なのですが、影響をとても受けました。以前は綺麗に仕上げなくちゃ、とか枠から出ちゃいけない、と強く圧迫感を感じてい ました。それももちろんある程度は必要な事ですが、ロンドンでの教育は自分は何が好きで、何をコンセプトにしているかを徹底的に考えさせられるので、何を 感じても自分を許せるようになりました。
アート・ファッション・音楽など感性に繋がるものは全て根底で繋がっている土壌で、それぞれのメディアの人の交流が当たり前になされていて、しっくり感じ ました。すごくワクワクできたし、本来自分が作品を作る上での興味を満たしくれる場所だったので、短い期間でしたが、ロンドンで出会った経験・人々全てが 今の自分の一部になっていると思いますし、作品の一部として服を作っているのもその時間があったからだと思います。

—インスピレーション源について教えてください

音楽・友人・旅行・日々のコミュニケーション・時間を経たもの

—どういった人に着て貰いたいですか

何か感じるところがあって、着てみたいと思って頂ける方ならどなたでも。
なかなか身につけるにはちょっと抵抗のあるデザインだと思うので、手にとって頂いたその瞬間にぴっときた方に着て頂きたいです。

—デザインをする上で最も大事にすることはなんですか

自分の中で勝手にタブーを作らないようにすること。

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Interview, Text/Masaki Takida

2 Responses to “Chihiro Baba”

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