Interview

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社会活動というかファッションって僕は文化の原点だと思っていて文化の一つだと思うんですよ

writtenafterwards 08 A/W Collection ~sleeping on the book bed~

-ここのがっこう第1期が卒業したわけですがここのがっこうを経験したことにより始まる前と後で生徒はどう変わりましたか

そんなに長い期間やってないのでビジュアル的に凄い変化した子というのは少ないですね。ただ考え方が変わったというのはみんなですね。12回なので一番基礎の基礎をやるという感覚でやってるんです。だから単純に何が今格好良くて、どういうデザイナーがいてどういう傾向があってということを伝えつつ自分のアイデンティティを探っていくというものなんです。アイデンティティを探すというのは本当は凄い時間がかかって1年、2年かかって当たり前なんだけどぎゅっと凝縮してやってしまって。でもそれを紐解くきっかけをやってるんです。デザインするきっかけとか見つける方法とか疑問に思ってたことを「本当はこうなんだよ」っていうのを伝える役目になればいいかなと思っていて。みんななんとなく気づいてるんです。例えば学校行って先生の言ってることに疑問を持ちつつもまだわからないから「そうなのかな」って思っちゃったりするんですよ。けど「それは違うんじゃないかな」ってあるじゃないですか。それを伝えたいというか。ヨーロッパには色々なファッションの学校があるんですがそういう学校って学生だからって舐められていないんですよね。あそこから新しい何かが生まれるっていう風にみて大御所から誰から見に来るじゃないですか。それが僕のファッションのピュアな部分だと思うんですよ。日本て「学生だから」みたいのがあるじゃないですか。本来学生がプロを作っていくべきなのにプロより学生が古いんですよ。プロがやってることより学生がやってることの方が古いのでそれはそうなってしまうと。ただ本来の原点的なことを考えれば本当はやっぱり学生とか若い人達が新しい感覚を作って逆にキャリアのある人が学ぶ、そういう時代になって欲しいんですよね。でもそれが全くないなと思って、ある意味新しい感覚とか若い感覚というのをちゃんとリスペクトする環境が絶対必要だという気持ちもあるし僕も学びたいという思いがあるんですよね。

-山縣さん自身が学生から実際に学んだことってありますか

ちょっとずつ学んでいますね。感覚的な部分で。クリエイションで「がつん」というのは正直あまりないんですけど喋っていくと彼らが僕の知ってる何かを見てないことに気付いたりするんですよ。例えば僕から10歳下の人と喋ってるとファッションていうのが2000年からなんですよ。2005年からとか。僕から したら2005年てちょっと前という感覚が彼らからしたらスタート地点なので結構前で、例えば90年代の物や作品、感覚を見た事がないので新しいと感じる部分があるんですよ。若い子達が90年代の物を雑誌で見たりすると「こんな時代あったんだ」って言ったりするんですよ。こんなにパワフルだったんだすげーみたいな。でもそれを僕らは見てきているんで僕らは単純に90年代っぽいのが臭って来るとただ古いな、90年代っぽいねって感じるんです。でも彼らからすると90年代がちょっとずつ新しい物になってきてて。だからもうそろそろ確実に90年代は来るなと感じますね。それはコミュニケーションしててもわかってくるというか。そういうのはありますよね。

-海外のコレクションてロンドンにしてもそうなんですけどちゃんと学生のショーが公式スケジュールに組み込まれてて、そこに何かを期待するジャーナリストやバイヤーもいて、勿論学生のモチベーションも違うし彼らは学生だから出来ないなんて思っていないし。日本もそうならなければいけないと思うんですよね、最終的には。

ほんとはそうですよね。ファッションてどの時代見ても明らかなのが若いところから出て来てるんですよね。パンクでもモッズでも。そこから新しい感覚が生まれてファッションになってるじゃないですか。だったらある意味若い人達が正解だと思うんです。ファッションが若い子から生まれて来たという事実があって、彼らに技術があったかといったらそうでもないんですよね。ということはファッションの根底にあるのは技術じゃなくて感覚だと思うんですよ。それを技術がないから駄目というのは違うと思うんです。勿論そこは指摘するべきですけどそこだけで判断は絶対に出来ないですし。

-社会活動としてのファッションという言葉を良く使われているのですが具体的にどういうことでしょうか

社会活動というかファッションって僕は文化の原点だと思っていて文化の一つだと思うんですよ。あまりそういうところを議論されていないという感覚を感じるので「いや、ファッションて人間が生きる上での根底だし文化でしょ」っていう。ほんとは凄い重要なサブジェクトという意味合いで、ファッションは「本当はこうなんだ」って伝えたいという部分で社会活動としてのファッションという表現を使っています。

-デザイナーを目指そうと思ったきっかけについて教えてください

服に興味を持ったのは単純に自分が着たいと思ったからなんですけどファッションデザイナーになりたいと思ったのはどこからというか、いつの間にか凄くファッションが好きになっていて、表現者になりたいなって思うようになっていました。元々表現者になりたいというのがあって、あと凄いファッションが好きでそれが合体した感じです。高校生の時、進路決めるときにはいつの間にかファッション雑誌を隅から隅まで読むようになっていてそうしたら結構難しいインタ ビューも読むようになっていて。でも彼らの言ってることがさっぱり意味わからなかったんです。言ってるレベルが高すぎて、それで「自分は無理だ」って挫折しました。

-その時から何かデザインはされていましたか

何もしていないですね。

-では本当にデザイナーを目指したのはセントマーチンに入ってからですか

そうですね。ロンドンに行ってからですね。

-ロンドンに行ったのは最初からセントマーチンに入ろうと思ってたからなのでしょうか

そうではないですね。最初は靴のデザイナーになりたいと思ったんですよ。コードワイナーズという学校に行きたくてロンドンに行ったんです。そうしたら後々気づいたのが「僕がやりたいのは靴だけじゃなくてファッションだ」って。そこも妥協だったんですね。で「やっぱり目指さなきゃ」って思ってロンドンに居たのでぱっと思い浮かんだのがセントマーチンだったんです。

-そこにたどり着くまでにかなり回り道されたようですね。

そうですね、かなり。本当は最初から(デザインを)やりたかったんです。けどその気持ちを隠していたんです。

-ではセントマーチンを選んだ理由について教えてください

高校生くらいのときからイメージ的に憧れの学校だったんです。最初は全く自分とは関係のない別世界の学校だと思ったんですけど。ロンドンに来てここまで来たんだからやっぱり目指そうと思ってそこがきっかけです。

-実際セントマーチンで学んでみてどうでしたか

僕は満足していますね。今考えても同世代に才能のある人はたくさんいましたし。その時は別になんとも思わなかったんですけどChristopher Caneは同級生でしたし、一つ上にはGareth PughとかMAにはMarios Schwabとかそういう人達が普通にいたので良かったですよね。

-渡英前と渡英後でどう変化したのですか

滅茶苦茶変わりました。考え方も全然違うと思います。憧れが憧れじゃなくなった部分はありますし、「絶対に無理だ」と思っていたものが「頑張ればそうでもないんだな」って思った部分もあります。でもやっぱり「無理な物は無理」なんだなって思う部分もありますし。でもそこで起こってる事とかが自分とは全く関係のないものという感覚は無くなりました。

-John Gallianoで働いたのは彼のデザインが好きだったからですか

実はそうでもないんです。自分が凄いと思うデザイナーの一人ではあるんですけど。John Gallianoとセントマーチンって結構仲が良いんですよ。毎年ディレクターの人が来て彼が気に入ったらパリに一緒に行けるんですね。そこで作品見せたら気に入ってくれてGallianoで働くことになって。だから絶対にそこでって言うのはなかったんです。とりあえず働けたらいいかなって言う部分はあったんですけど。

-John Gallianoの影響って大きいですか

大きいと思います。彼の作品て表現が半端ないんですよ。あれだけ迫力のある服ってなかなか見ないじゃないですか。徐々にコレクションが出来上がっていくにつれ「うわー」、「なんだこれ」って、感動しますね。Gallianoって批判もされると思うんですけど生で見ると「こんなこと出来ないよ」っていうほど迫力が凄いんです。物作りのパワーがみなぎっちゃっててバロメーター越えちゃってるみたいな、何かを極めちゃってるんですよ。だけど一緒に働いてる他のスタッフとかインターンとかは結構批判したりもするんです。でも僕は「これ凄いだろ」って。僕が参加していたときよりももっと凄い時もあったと思う んですけど。

-Galliano以外に影響を受けた人物やデザイナーはいますか

日本ではやっぱりComme des Garconsですね。海外で言うとMargielaとかは意識して見ています。コレクションブランドだけじゃなくて小さいブランドとかでも見て影響受けたりしています。

-今気になっているブランドとかありますか

服作りで面白いなと思ったのはRodarteですね。あそこまでやれるのかって思います。

-レディースをやろうと思ったのはなぜなんですか

メンズをやっていたらレディースは絶対に出来ない、でもレディースをやっていたらメンズは出来るのかなって思ったんです。あとみんなレディースを目指すのでやっぱりそこで勝負したいなという気持ちもありました。

続く

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