Interview

Kagari Yusuke 4/4

“小説の中の世界って感覚が非現実的じゃないですか。そういう風なイメージを持つ物を作りたい”

‐なぜこの場所をアトリエに選んだんですか

革屋が近いからですね。近くの革屋で買ってるんですけど自転車で持って帰ってきます。浅草、浅草橋、小伝馬町、御徒町、上野全部自転車で行けるのでなんで も変えるんですよね。アトリエ持つには凄く良い、なんだかんだで新宿から電車で20分で来れますし。

‐ギャラリーを併設しようと思ったのはなぜですか

ギャラリー借りたら高いじゃないですか。個展やってとんとんいって大成功みたいのが凄い嫌で間違っている気がしているなって。それなら自分でギャラリー やって、もし売れなくても赤字にはならないじゃないですか。だったら自分の好きなスペース持とうって。こういう物って自分から営業かけても売れないんです よね。

‐ではお店のバイヤーさんとかはどのようにコンタクト取るのですか

バイヤーさんは僕からではなく向こうから連絡掛けてくれた人ですね。好きな人にだけ買ってもらおうって。

‐実際個人なのでそんなに数も作れないですよね

以前新規取引先が3つ同時に出来た時があったんですけどその時はきつかったですね。

‐自宅では作業されないのですか

自宅ではずっとワンピース読んでいます。あとレベルEを読み直していますね。あとはジョジョとか。事務作業とかDM製作とかはしますけど。僕動物アレル ギーなんですよ。で、革って動物じゃないですか。喉にきて咳が止まらなくなるんですよ。僕動物展行ったら最初凄くテンション高いけど最後の方ずっと落ち込 んでいますよ。

‐でも作らなきゃいけないですよね

アトリエ持った理由が実はそこで家で六畳一間で作っていたらそのせいで動物アレルギーになったんですよね。いきなり咳が止まらなくなって、兄に「お前それ 結核ちゃうか?」って言われて二週間咳も止まらないし。でも「結核じゃないと思うけど病院行きます」って行ったら「異常なし」って言われて、血液検査した らアレルギー反応出て。とりあえず動物飼っているのであればこまめに掃除したり動物飼うの止めたりしなさいっていわれて、でも「飼ってないんですけど仕事 なんで」って言ったら「じゃー仕事と居住空間分けた方が良いね」って言われてそれからですね。

‐それで動物アレルギーは大丈夫になったんですか

結構大丈夫ですね。やっぱりどんだけの量吸うのかとかによってくるので。広いスペースなら問題ないですね。毛皮使う時はやっぱり来るんですけど。

‐鞄の形はどういう時に思いつくのですか

一番多いのは電車の中でぼーっとしている時ですね。もしくは寝る前とか。

‐実際あまり考えていないんですね

考えていないんですよ。

‐インスピレーションとかはありますか

インスピレーションというのは展示の方法とかに寄っていますので鞄に関しては特にないですね。

‐作る時に展示の方法まで考えますか

それは結構考えますね。つりの方が綺麗とか、これは壁に打ち付けた方がいいねとか。あとは素材に触りながら考えることが多いですね。

‐初回メンテナンスフリーとのことですがケアはどの程度まで戻してくれるのですか

戻すというよりは塗り直しですね。色は戻らないけど汚れを生かした感じではがれた部分とか持ち手を修正するというか修理に近い感じですね。色を直すことは なるべくならしないようにしていますね。劣化した状態が好きなので。

‐「壁を持ち歩く」という考えが出てきたのはなぜですか、最初にコンセプトを考えたのですか

言葉が先に出てきたんですよね。鞄作るのであれば鞄て何だろうと考えていて、鞄て中に色々な物入っているじゃないですか。部屋に近いなと思って。部屋なら 空間なんだからそれを持ち歩くことって壁を持ち歩くことになるのではないかという言葉遊びをしてコンセプトを立てました。

‐Rocketの展示では数式が描かれていました、それはなぜですか

Rocketの展示では天井が凄く高くてレイアウトに困って鞄が上にあってもしまらないし、何かグラフィックをやりたないなということでどうせなら Rocketという名前だからそこの自転速度を計算して建物になって動いているんだぜみたいなそういうグラフィックを見せたくて描きました。

‐フランツカフカを読んで白い鞄を作りたくなったとのことですが

当時カフカを読んでいてああいう世界観を作りたいなと思っていてそこからさっきも言った無響室に繋がるんですよ。小説の中の世界って感覚が非現実的じゃな いですか。そういう風なイメージを持つ物を作りたいなというのでやり始めていたので。

‐今後やりたいことはありますか

空間作りが出来たら面白いかなって。壁に関してはもっと退廃的な質感を出せたらと思います。

‐他のデザイナーやクリエイターと何かやりたいとかはないですか

それは特に無いですね。知り合うことが多いので話のノリでうまくいったらやりたいとは思いますけど。

‐海外で何かやりたいという気持ちはありますか

オランダではやってみたいですね。前にオランダに行った時に楽しかったので。変な展示を海外でしたいですね。廃屋とかで。

Interview & Text:Masaki Takida, Photo:Takahito Sasaki

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