Interview

CEMENT Store / Showroom 2/7

“とにかく新しいもの。みんなが手の届かないところとか、みんなの情報が行かないものを紹介するっていうスタンスでやっていた”

―(初めて買い付けに行った場所は)なんでオランダだったんですか

オランダに行ったのは結構理由があって、オランダで出てるすっごい有名なデザイナーはViktor & Rolfぐらいだと思うけど、もともとオランダ発信のジュエリーが凄い好きだったから、deux poissonsさんとか好きだったんです。行ったら何かあるだろうと。
プロダクトでああいうセンスがあるということは、なにかしら、洋服に地位がないわけがないしね。ちょうどそのころドイツも行き始めていたんだけど、ドイツって高橋君が既にやっていたし。

―DUNEですね

うん、ベルリンはもともとミニマルテクノが好きだし行くんだけど。
洋服はやっている人いるし、違うんだろうなぁって思って。じゃあアムステルダムいってみよう!って結構思いつき。ファッションウィークがあるかどうか行く前にちょっと調べては行ったんだけど。で行ってみたらまぁほとんどは大したことなかったんだけど、その中で一番最初にやったIris Van HerpenとConny Groenewegenがその中でも突出して面白かったから、可能性あるかなと。

― Irisってその頃まだ学生ですか

学生で、スーパーマーケットっていうお店がアムスにあって、そのディスプレイを彼女がデザインしていて。僕その前に彼女のアーネムの卒製の写真を色々見ていて、どうせやるんだったら新しいデザイナーだって思っていたから。
学生上がりの子で、仕事がしやすそうな子。ビジネスにこれからのせられそうな子を探していたら、たまたま僕のまた別の日本人の友達にアムスのクールマガジンっていうwebの雑誌のエディターを紹介してもらって、その子にイリスを紹介してもらって始めたのが最初。でコニーはその時たまたま行ったショールームで(違うデザイナーのアポで行ったんだけど)彼女のポートフォリオを見たらそれが凄く格好良くて、すぐ電話してやり始めたっていう感じ。

―Irisのディストリビューションってまだやってるんですか

今はやってないです、ちょっと高すぎるのも理由の一つで。

―Irisのデザインを見てディストリビューターしようって考えが凄いな、って思いますね

最初の頃は彼女の手作りの物をちょろちょろってやったんだけど、凄く90年代っぽくて面白いなって。

―面白いのは凄くわかるんですけど、売れるのかな?って思っちゃうんですよね

なんかその頃は今と全然考え方が違くて、とにかく新しいもの。みんなが手の届かないところとか、みんなの情報が行かないところのものを紹介するっていうスタンスでやっていた。だからお店をやるっていう感覚に近いんだと思う、セレクトするって言うところが。3シーズンくらいはやったと思うんだけど。

―実際どうだったんですか

実際売れなかった・・・

―ですよね、ショーは僕も見たんですよ。ロンドンファッションウィークで。凄い面白いし、パワーはあるんだけど、実際商売に結びつけるとなると…難しいんだろうなって

彼女に「もっと着れるコレクションラインを作って!」って言って、作ってもらったことがあって。「コレクションピースはもちろんあなたのクリエーションとしてわかるんだけど、もうちょっと普段着れる物を作ってもらえる?」って言ったら、とんでもなくださいのがあがってきて、これかよ。って感じで。全然展示会にもだせなくて、出せたのが5,6型くらい。30型くらい作ってくれたんだけど、自分のコレクションをただ単に転写プリントしたTシャツとかで・・・

―クリエイティブなことしか出来ないから

うん、あの子はクリエイティブなことしか出来ないから。で、その後もう1シーズンだけやったんだけど、そこから縫製工場変えたって言って、レザーのものすごくミニマルなコレクションになってて、でいいじゃん!って思ったけど、卸で500ユーロとかのものばっかりで。えっ、500のものなんて売れないよって・・・・。

―リースは多そうですけどね

リースはすごい反応あったけどスタイリストさんに。

―まぁやっぱり雑誌に好かれる服と、実際に着る服は全然違いますもんね。

うん。

―その当時オランダに行っていた、日本人なんて誰もいないですよね

誰もいなかった。とりあえず現地のファッションウィーク行って、一週間やってたけどとんでもなくつまんなくて。

―(アーネム)モードビエンナーレ(ヨーロッパ最大規模のファッション展覧会)には行かなかったんですか

モードビエンナーレは僕行ってない。僕が行く時とはシーズンがいつもずれていて。で、その後しばらくしてから、アーネムにあるカミングスーンってお店のオーナーっていうか、ダイレクションしている子に新しいブランドの子紹介してもらったり。その子はアーネム出身の子とかやっていたけど。あと、意外にロッテルダムが僕面白いと思う。良いお店もあって。

―ロッテルダムですか、あんなところに

うん、ロッテルダムの方がある。僕はやってないけど、ロッテルダムで「いいなぁ。」って思ったのが、Monique Van Heist。Moniqueはもっとこうシャツとかドレスとか、シンプルなんだけどアプローチが面白い。

―ロッテルダムは建築は有名ですけどね

建築は有名。
ロッテルダムで有名なお店だと、roiとか。凄いハイブランドにPelican Avenueとか合わせちゃうようなお店。で、オーナーさんも40くらいのマダムがやってて。あとVan dijkはロッテルダムで一番有名なお店。Van dijkはマルジェラとか、マックイーンとか、プラスベルギーのデザイナーさんとか。あとイザベルマランの直営店をロッテルダムでやったり。アムスのほうが、古着っぽい。ディスティネーションストアって言うお店があって、そこは今アムスでは一番おもしろいとは言われているけど。
もともとマラヤン(ペジョスキ)の幼馴染のロバートって言うマケドニア人がやってるお店なんだけど、ロバートはもともと古着屋さんをアムスでやっていて、それの二号店みたいな。やっているブランドはHoraceとか、KTZとか、Jeremy Scottとか、なんかアムスの方がロンドンっぽい感じ。僕はロッテルダムのほうが好き。アーティストも結構いるし、絵描きさんとか。

―そういう人達とも知り合っていって

うん、デザイナー繋がりというか、いろんなところから繫がっていって。まぁまぁちょろちょろ。

―最近はそんなに行ってないんですか

去年行ったんだけどでも日帰り。コペンハーゲンにベースとってて。デザイナーのサンプルだけをピックアップしにいったぐらいで。展示会とかコレクション付近、1月とか7月とかは僕行けてなくて。最初は行ってたんだけど、まぁあまり代わり映えがしないし大体(オランダの)デザイナーさん(海外のファッションウイークに)出ちゃう。

―あぁ、外に

うん。

―オランダデザイナー達の魅力ってなんですか

オランダのデザイナーの魅力って彼女(コニー)を例にとれば、ファーストコレクションをdroogで発表してて、、droog galleryで紹介してて。オランダのデザイナーが好きなのは(Irisは置いといて)プロダクトよりの発信だったりテキスタイルとか。オランダってそういうところがおもしろかったり。

―アイントホーフェンとかは行ってないんですか

僕アイントホーフェン行った事なくて、もう工業の町っていうイメージ。本当に田舎って地元の人も言うくらい。まぁなんかあるとしたら、あとティルブルク(Tilburg)。ティルブルクって繊維の町、繊維工業がすんごい盛んで、アーネムも実際は繊維の街。アイントホーフェンは工業より、インダストリアルよりだと思う。

―アーネムしか知らない、聞いたことないですね。

アーネムはね、何にもないけど。

―(アーネムは)Viktor & Rolfが出たことで有名になりましたよね

あの人たちも学生の頃、名前忘れたけど「叫ぶ詩人の会」みたいな変なことやってたんだよね、アーネムの学校で。

―もともと彼らはオートクチュール出身ですよね。クチュール期間に勝手にショーを披露してって

前Irisとアムスでお茶してた時に、「あなたロンドン行かないの?」って言ったことがあって、もともとロンドンにもインターンでマックイーンに行ってて、「じゃあロンドン住めばいいじゃん?」っていったら「うーん、ロンドンあんまり好きじゃない。」って言ってて、「なんで?」って聞いたら、アーネムがいいんだって。で理由が、「なんにもないから逆に考える。」んですって。本当になにもないからこそ、色々考え出せて、刺激があったりだとか、逆にいいんだよね。って。
Spijkers en Spijkersもアーネムに今もすんでるしね。

―ロンドンファッションウィークの時だけ行くということですね

うん、そう聞いてる。

―IrisもそうですけどLondonでのそういうちょっとパンチの利いてるデザイナー系のPRは全部Blow(Manish Arora, Iris Van Herpen, Gemma Slack, Craig Lawrenceなど)ですね。Blowばっかり

アウトラインっていうか、デザインが物凄く突拍子もなくて、もう勢いがあるから元気になるんだけど、実際ビジネスになると難しいっていうか。Gareth Pughみたいに、何か後ろ盾が合って、ビジネスとしてバックボーンがあって動くんだったらいいけど、あくまでコスチュームの世界になっちゃってるから。でもBlowでやっているデザイナーは凄い好き。

―Blowのブランドは面白いですけどね。ショー見たらだいたいあっ、Blowだって。

あぁ!みたいなね(笑)凄いわかりやすい。

続く

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