Interview

Valentim Quaresma


Valentim Quaresmaはポルトガル出身のアクセサリーデザイナー。日常に溢れるモノをラグジュリーなピースへと創り上げる彼の作品は市場に出ている普通のアクセサリーとは一線を画し一つ一つの作品が独特の存在感を放っている。Valentimの作品は2007年に行われたITS#7のアクセサリー部門においてCollection of the Yearを受賞するなどヨーロッパを中心に世界的に評価を集めている。

―10-11 A/W コレクションについて教えてください

このコレクションのタイトルは“スピード”です。
私は “早さ”と“忍耐強さ”を車に使われる原材料を用いて反映させチェスゲームをクリエイトしました。それぞれは分析されひとつひとつの作品は異なるシェープを持ち予期しない動きをします。ゲームのピースは私のクリエイティブな領域によって再構築されそれぞれの要素は性格や心理状態を現わしています。

―あなたの作品に強い影響を及ぼしたデザイナーや人物はいますか

私は他の10人ほどのアーティスト(ファッションデザイナー、写真家、プラスティックアーティスト、画家、彫刻家など)と作業場を共有しておりそれはとても刺激的な環境で彼ら全てが持っているクリエイティブなエナジーが私の作品に影響を与えます。そして18の頃から一緒に働いているAna Salazarも私に影響を与えている人物です。

―他とは違うあなた自身のスタイルの特徴とはなんですか

私の作品の主な特徴としてはコンセプトを表現しさらに深めるマテリアル選びが挙げられるでしょう。特別な効果や他の使い方をすることによって効力を発すると考えられるピースを選びたいと思っています。私はこのことが他の人達とたくさんの違いを生んでいるのかはわかりませんがそのことが私に楽しみを与えていることは間違いありません。

―あなたの顧客とはどのような方々ですか。あなたのファンはあなたの作るアクセサリーに何を求めているのでしょう

私自身が直接売るのではなく、お店で私の作品を提案してくれているので私の作品をどのような方々が買ってくださっているのか正直あまりよくわかりません。しかし私の作品を見に着けた時に特別なものを感じたい、興奮を誘発したい、もしくはコレクションする為に買う人達だと思いたいです。

―ジュエリーデザイナーになったのは偶然ですか、それともずっと望んでいたことですか

私はこの分野で16から働いています。それは私がずっと望んでいたことです。

―ブランドのコンセプトやシーズンテーマはコレクションイメージを表現する為に重要ですか

まさしくそうですね。クリエイティブな過程の理解を含んだコンセプトはコレクションのイメージを含みこれが作品への更なる発展へと誘うのです。コレクションのイメージはコレクションそのものと同じくらい重要です。

―あなたのデザインのインスピレーションはなんですか。またお気に入りのマテリアルはありますか

私はたくさんのインスピレーション源があります。アンティークショップ、インターネット、ミュージアム、本、映画、音楽、しかしメインはストーリーを蔦てくれる様々な種類のものやマテリアルがある地元のフリーマーケットです。空気感からたくさんの影響を与えてくれる2つのアトリエもまたとても重要です。アトリエの一つは古い工場の中にありその場所で引きこもり作品のクリエイティブな部分を創り上げています。もう一つは私の住んでいる街の中心に位置しわたちし達のチームが働いている場所でもあります。そこでは全ての商業的なプロセスが行われます。
メタルは私のお気に入りのマテリアルで技術の多様性を含んでいるからです。最も大きな挑戦は私の選んだマテリアルと共通の領域を見つけ効果的で思いもよらない方法に結合させることです。

―ファッションに興味を持ち始めた時のことを覚えていますか。きっかけはなんでしたか

18歳のときポルトガルで最も有名なファッションデザイナーであるAna Salazarと共に自分の作品を作成し始めた時です。私は完全に彼女の作品に魅了され、彼女は常に私のお気に入りのクリエイターです。20年経った今でも私たちは共に働き、常に刺激に溢れた挑戦でもあります。ファッションにおいて私たちは同じ考え方を持ち、彼女は常に私に刺激を与え、奮い立たせそれは作品の飽くことなき追及へと繋がるのです。

―今日デザイナーとして直面する厳しさとはなんでしょう

一番大きな問題はお金を作る為に必要とされる全ての構造をどう管理するかということです。アーティストやデザイナーにとってはトレーニングなしでそれらを管理することはとても困難です。

―ファッションデザインとジュエリーデザインの関係性についてどうお考えですか

ファッションと関係付けられたジュエリーの役割はガーメントから発展したコンセプトを再認識することです。しかしジュエリーのコンセプトはもしそれ自体に芸術的な表現を伴い、クリエイティブなプロセスを含めばシンプルなデザインから更に深いところへ行くことが出来ます。私はそれらを区別する方法には興味がありませんがそれらが共存し、補完しあえる場所を見つける事に興味があります。それこそが本当の挑戦と言えるでしょう。

―将来のビジョンについて教えてください

とてもポジティブに感じています。しかし辛抱強く作品を創りつづけなめれば何事も達成することは出来ません。

Interview & Translation:Masaki Takida

3 Responses to “Valentim Quaresma”

  1. 服部 円 / Madoka Hattori より:

    超かっこいいじゃないですか。日本でも見れますか?

  2. Masaki Takida より:

    円さん

    恐らく日本では存在自体知られていないのかと・・・。日本ではこういうマーケットが無いので厳しそうですね。残念ですが。ちなみに彼はYuima NakazatoとITSで同期でこのときYuimaも賞を受賞しています。

  3. 服部 円 / Madoka Hattori より:

    そうなんですね。。
    アートピースとして、美術館で見る、、くらいしか思いつかないですね。。
    もしくはオブジェ?インテリア?として飾るとか。。難しいですね。